MN*B
2024-06-19 01:18:17
17331文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

余光が染める空の下で。

シリーズ中第6話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいね…いつもありがとうございます。

 
この小説、シリーズを読んでいただきありがとうございます。
とりあえずこのシリーズは、一山越えたことをご報告させていただきます。

最後のページに、あとがきという名の独り言・裏話的な内容も含まれています。
読まなくても支障はありません。気が向かれた方はどうぞ。

 
次回は、少し間をあけて投稿しようと思ってます。
ぶっちゃけ書きすぎて疲れてます、情報の整理も兼ねて休みます。
あとアニメBDを買ったんで擦り切れるくらい見ますね。
大体2週間後くらいになるかと。

 
 
車の上に立つ五条さんはカッコいいけど、普通なら車体が歪むよね。
そして免許持ってんのかな。
個人的には、身分証として持っていそうだし、スポーツカーの似合う見た目だと思います。


#オリ主 #五条悟 #夢術廻戦
2021年1月24日 20:02



 五条さんは何事もなかったかのように、俺を地面に下ろした。
俺は少しだけふらつきながら、自分の足で地面を確かめた立てる。うん

砂埃が晴れると、すぐ横の地面には子どもがぶっ倒れていた。
めっちゃズタボロなんだが何があったんだ
そう思って周りを見渡し異様な存在が、向こうにいることに気がついた。

 五条さんが身体を向けている先、俺たちと子どものいるところから正反対のところに、ソイツは立っていた。
首から下は筋肉隆々の大男、そして首から上が角の生えた牛の頭全長は2mを超えているだろう。

ソイツは、その牛の口から怒鳴り声をあげた。

「お主!!呪術師だな!」

忌々しい!と唾を巻き散らしながら、人の言葉を話す。
それを見た五条さんは、うっわ汚っと呟いた。
いや汚いけどさ、牛から声出てんだけど。
そう思った俺を見透かしたように、五条さんは解説を始めた。

「あれが石櫃に封じてあった『特級仮想怨霊』名称は『牛鬼』だろうね」


 牛鬼。残忍な性格で、人を食い殺すことを好む。
非常に獰猛で怪力、それでいて知恵も回るといわれる。
その理由は、女性に化けて襲いかかってくることもあるからだ。
その化けた女性を水面を通してみると本来の姿が見えるともいわれ、水が異様に濁っているときには、そこに牛鬼がいるともいわれる。
海中に住み、海で人を襲う伝承が多いが、川や山にも現れるという。


それを聞いた牛鬼が、会話に混じってくる。

「余は仮想などではない。海も山も川もあらゆる地において、ヒトを恐れさせた強靭なる鬼よ!」

咆哮を上げ、空気がビリビリと震えた。
コイツ、強いんじゃないのか?
俺は子どもの方へにじり寄った。

五条さんはそんな相手の咆哮すら気にも留めず、ヒラヒラと手を振った。

「またまたぁ。封じられてたクセに~」

「フン祓えぬからそうせざるを得なかった、お主ら呪術師の負けには違いなかろう。そしてその策も破られた、というワケだ」

煽る五条さんに、流す牛鬼会話が成り立っている上に、意外と相手が理性的だ。
俺は牛鬼から隠すように、子どもの前に立った。子どもは気絶しているだけのようで、擦り傷だらけだが息をしている。

「盗人に隙あれど、守り手に隙なし。守り手が隙をつくれば、魔の手が伸びるのは至極当然のことよ」  

そう言いながら牛鬼は、力を溜めるかのようにグッと腰を落とした。
それを見ても、五条さんは飄々とした態度のままでいる。

「なるほど。盗人の昼寝ってやつを実践してたんだでもまだ昼だよ、寝てたら?」

その言葉に、牛鬼の顔と身体に血管が浮き出た。

「良かろう童の前にお主から喰らってくれるわ!!」

牛鬼が一歩踏み込んだ。

ドバァッ!!と地面から衝撃波が走る。

玉砂利が四方八方に吹き飛ばされ、散弾のごとく周りを打つ。
俺は咄嗟に顔を腕でかばった。

「ッ五条さん!!」

俺は思わず声を上げる。
彼に対して牛鬼が突進したはずだ。あんなのを真正面から受けて、無事で済むとは


「お年寄りだからボケてんのかな~。力量差もわかんないなんて、ね」

ナ、んだと?」

地面が割れ、そこにめり込んだ牛鬼。その背中を踏みつけにする五条さん。

「君が特級レベルだったのは過去の話その呪術師の策に嵌ったせいで、足蹴にされる気分はどう?」

僕なら元々の状態でも出来たけど。と、踏みつける脚に力を込めながら話す彼。

「グッおのれェ!!」

牛鬼はそこから脱しようと、身体に力をいれる。
しかし、五条さんの脚はびくともしなかった。

「その様子だと、呪術もろくに使えないみたいだね。そんなんじゃ精々2級止まりだ」

そう牛鬼に吐き捨てると、五条さんはこちらを見てくる。

「ねぇ、あれできる?君が呪霊を倒したときに出してたやつ」

言われて思い出すのは、俺がヒイラギさんと呼んだ呪霊を殺したときのこと。握りしめたグリップの感触。
手が震えた。

無理だ。大体どうやったのか、自分でもよくわかってない」

「そっか、じゃ仕方な?」

五条さんの言葉を遮って、牛鬼が笑い声をあげた。

「クッフハハ!余を抑えていた呪いの臭いがすると思ったらそうか、そこのやつは封魔の末裔か」

血走った目をこちらに向け、潰されているのも気にせずに話し出す。

「歴史を知る者は皆、死んだのだろう?愉快だな新参者すら消えたとは、この地も廃れるばかり。余が復活するのも当然の摂理」

実に面白いとばかりに、嗤いあげる牛鬼。
対する俺は、相手の言っている意味がわからないまま困惑していた。

「真実を教えてやろうこの地の者が崇めてきたのは神などではない。まさに人が生み出した業の呪い、紛いものだ」

……
つまりこの牛鬼は、俺たち人間が呪い呪霊を神として信仰していたという話をしているのだろう。

「いや、薄々気づいてたが?」

主に五条さんの反応のせいで。
御神体をバッチリ『呪物』って言ってたし。

「なにィ

唖然とする牛鬼の上で、あ~やっぱり?と言う五条さん。


「お前は信仰というもの、祀るということを履き違えてないか?」

災害だろうが、妖怪だろうが、呪霊だろうが自分たちに害を及ぼさないように祀り上げ、神に仕立て上げる。
確かにそれは人間の生み出した業とも、呪いともいえる。

だがそれゆえに、祀り上げられたものは神になる。
神にならざるを得なくなる。
自分たちを守ってくれる存在として信仰される限り、縛られ続けるのだ。
それは人間と呪いとの、ある種の契約。

「それをわかった上で、きっと昔この地にいた呪術師も、そして神に祀り上げられた水神様も信仰し、信仰されてきたんだと思うが」

それを聞いた牛鬼は目を見開き、俺に食ってかかる。

「ならばヒトは、余と同じ存在を崇めてきたと認めるのか!」

「定義でいうとそうなるが一緒にするなよ。土地を守ってきた側と人を襲ってきた奴を同じに見るわけないだろ」

コイツ牛鬼を見てハッキリとわかった。俺は、あの存在とコイツを同列に見たくない。
ダブルスタンダードってやつなのかもな。
括りでは同じ呪霊になるだろうけど、別の扱い別の存在として扱うと言っているから。

「あの存在はこの土地の水神様、お前は化け物。俺の認識としてはそうなる」

「グヌァアア!!何が違う!?余の方が強い!崇められて然るべきだ!!」

今までになく暴れ出す牛鬼だったが、それでも五条さんからは逃れられないらしい。
駄々をこねるように、ジタバタともがいている。

「あ?五条さんに攻撃して、子どもを食おうとしてたのはお前だろうが。俺はお前を崇める気はねぇよ」

自分の後ろにかばった子どもをチラリと見て、俺はそう言った。

大体、神様のことを崇めるというより、隣人として見てるって言った方が正しい。
『お天道様が見てる』というように、そばで見守っていてくれたり、時にはこちらから報告したりするようなそういう抽象的な存在だと考えていたし。

襲い掛かってきたりするのは解釈違いだ。
もし昔にでも、コイツが守り神として祀られていたなら話は別だったかもしれないが。
信教の自由。法ではそれがあるが、信仰される側にとってはたまったもんじゃないのかもな。


「殺してやるゥ!!おヌシを引き千切り、嗚咽と五臓六腑ヲ巻き散らさせてクれる!」

牛鬼は口の端から泡を吹き出し、目玉を飛び出させんとばかりにかっぴらいている。
殺してやるか。俺としてはもう死人のつもりでさえあるのにな。

「お前も封印されたときに、死ねてたらよかっただろうに」

俺だったらそう思えてならなかった。
フッと自嘲する笑みをこぼすと、牛鬼は勘違いしたのか、さらに騒がしくなる。

俺がだらりと下げていた手を緩く握ると、そこには硬く重い塊がその存在を主張していた。

出た。なんか知んないけど、これでいいっスか?」

五条さんを見れば、無言のままコクリと頷かれる。
そして彼は、牛鬼からその脚を退かした。

押さえつけられていた牛鬼は、飛び上がる勢いで俺の方へ向かってくる。
それを見ても俺は取り乱さず、ただソイツの眼前に銃口を突き付ける。


パン!と乾いた音が、境内に響いた。


すべてのものが、その動きを止めていたかのようだった。

ァ」

牛鬼の頭にも、身体にも穴一つ穿たれていない。
だが、その身を固まらせたかと思うと、パサリとさざ波のように崩れ去った。