MN*B
2024-06-19 01:11:47
15493文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

地獄の釜の蓋が開く時・上【探求編】

 シリーズ中第4話目になります。
注意書きは1ページ目に、シリーズ概要の方にもあります。
※最初の地図の入れ方だとアプリ版で見ることが出来なかったので、改めて入れ直してみました。

 このシリーズの小説の閲覧、ブックマーク、いいね、ありがとうございます。

今回の話は、上下の二つに分けて投稿することに決めました。あんまりにも長くなったので。
ある程度書いてからじゃないと変なとこがでそうだったんで、思ってたより上げるのが遅くなりました。

 話がほぼオリジナルなので、呪術廻戦要素薄いです…要素が五条先生と世界観しかない!!
書いてる本人もはよ高専行きたいって思ってます。もう少しお付き合いくださると嬉しいです。

まずシリーズ自体見切り発車だったので、ちょっと変なとこでるかもしれません…あんまりにも変だったら修正しようかと思ってます。
挿絵として地図が入ってますが、それっぽく描いただけなんで…現実に則してないです。
地図→ https://www.pixiv.net/artworks/87149262

 これを書いてる途中に別の夢小説を書いたんですが、こっちに戻ったら温度差で風邪ひきそうでした。



#オリ主 #五条悟 #夢術廻戦
2021年1月18日 22:27



 「アレは千年も前からある呪物だ。ここには確か何百年も前のはずだよ」

そっちの資料は詳しいとこまで見れてないけど、かなり長い期間この町にあったとだけ聞いてる。
こんなことならちゃんと情報を開示させるべきだったかな
僕は元々、特級呪物を回収しに行った呪術師と連絡がつかないってことで派遣されただけだ。
今回の件については、その呪物は関係ないと判断され、ろくな情報は貰っていない。

 眉を寄せて考えている彼を見て、僕はどうしようか迷った。

「この場所は大体30年前に作られたはずだ。結構最近の話だろ」

彼は独り言のように知っていることを話していく。

「その前は井戸があったらしいが枯れた。それを考慮して、環境保全のためにわざわざ水を引いてきて、この森に川を作った」

そんな場所に改めて置いたのか?と呟いて、彼は考えにふけはじめた。

 この町に住んでいるから、そのことが気になるのはわかる。
だけど僕としては、そのことが今回の件と関係あるとはあまり思えないし、ここに長居するつもりはなかった。
 彼は気がついていないが、ここは2級呪術師だった柊魚が死んだ現場だ。
血痕の量や、巻き込まれた人間などから考えるに、当てはまるのはその人物以外いない。先ほどははぐらかしたが、ここに死体があったから呪霊が寄ってきたのだ。
 子どもが居ないのならば、立ち去るのが無難だろう。ここに居てもいいことはない。

「さーて!子どもも見つからないし、次行こ次!時間は有限だよ~」

僕は彼の肩に手を置いて、森を出るよう誘導していく。
彼は肩に置かれた手を見て眉を寄せながら、素直に従った。
触られるのが嫌なのか、僕のことが嫌なのか……考えるのやめよ悲しくなる。





 止めていた車に戻り、そこでまたひと悶着起こしたあと、次の目的地へ向かった。

 彼はぶちぶちと文句を言いながら、運転をしている。

「最初に決めたのに、なんでまた運転手決めなんてしなきゃいけなかったんだ

「君が勝ったんだからいーじゃない、も~」

その横で僕も不貞腐れながら言い返した。


 車に乗り込む際、今度こそ運転は僕がしようかなって思って交代を提案したが、彼には受け入れらず
なら乗るたびに決めようと言ったがそれもダメ。
最終的にごねて、もう一回だけの勝負をしたのだ負けたけど。

 僕の気遣いを無下にするし、変なとこ強情だしと、運転する彼の横顔を眺めた。

 僕たちは、さっきまでいた小学校から一番近い、『社』に値するであろう神社に向かっている。
出発する前に、まずどの神社を回るか話したのだがこの町だと小さいものも含めてしまえば、その数30を超えてしまうらしい。
虱潰しに巡ってもいいのだが、人の立ち入るスペースすらない小さい祠があるだけの所もあるらしく、すべてを回るのは大変だという。
 なのでまずは、その中でも大きい神社をピックアップして回ることになった。
それで怪しいところがなかったら、小さいところも回ることになる




 学校の近くにはそれなりに建物や住宅があったが、進むにつれてそれがまばらになり、周りに畑が増えてきた頃、その場所についた。
神社らしく周りに木々が生え、玉垣(たまがき)で囲われている。
その近くには砂の敷かれた空き地があり、そこに彼は車を駐車する。

なんか、変だな」

車のエンジンを止めた彼は、そう言って外へ目を凝らした。
僕もその方向を見てみると、何人かの年寄りたちが本殿横に集まっているらしかった。

「ちょっとここで待っててほしい。聞いてくる」

彼はそう言うと返事も聞かず、僕を置いて車から降りると、人が集まっている方へ足早に近づいていく。

わかるよ?余所者がいると話がややこしくなりがちな田舎あるあるでしょ?
でも僕の返事くらい聞いて?実年齢的にも僕の方が年上だよ?もっと頼ってくれてもよくない?


 僕は一人車の中で悶々としていた。
しばらくすると、話を聞いてきたらしい彼が車に乗り込んでくる。

「話聞いてきたんスけど……怒って、ます?」

彼は乗り込んで早々に、慣れない敬語を使って話しかけてきた。
僕はちょっとだけドキリとして、でも平然と質問を返した。  

「えなんで?」

「いやろくに説明もせずに置いてったし。俺、態度悪いし

気まずそうに答える彼は、視線が落ち着いておらずウロウロと彷徨わせていた。
その様子はまるで、母親にババアと言ってしまったのを後悔する反抗期の息子みたいだ。
ちょっとからかってみよ~。

怒ってるっていうか、悲しいな僕返事も聞かずに置いていくなんて

顔を伏せ気味にして、肩をシュンと落とした。
それを見た彼は、どうするべきか迷ったように身体を強張らせた。
そんなわかりやすい反応に、僕は笑いがこみ上げてくる口元が緩みそうだ。
それを隠すため、口を隠すように顎に手を置く。

「あーあ僕ってそんなに頼りないかなぁ……はぁ」

これ見よがしにため息をつく。
彼はおろっとして、しどろもどろに話し出す。

「いや、えっと俺が地元の人間ですアピールはしてきたんで見に行ってもそこまで怪しまれないですむと思、います

「僕ってそんなに怪しいんだ

無言。彼からの返答なし。
いや、そこはちょっとくらい否定してくれてよくない?
チラリと彼の方を見ると、そこには真剣な顔をしてこちらを見ている彼。

「正直に言うと、その顔面力晒しながら行くくらいなら、目隠しの方がマシなんで怪しいままでいいです」

「ががんめんりょく

謎のワードに呆然としていると、さらに彼は言う。

「強いんで」

「つよてか怪しいって言った?」

「言った」

「表出て」

「出ようって言ってるじゃないスか」

 思わず脊髄反射レベルで会話をしてしまった。
なんだか全部馬鹿らしくなってきて、笑いながら彼の頭に手を伸ばし、ぐしゃぐしゃにしてやる。
ちょ、やめという彼の悲鳴は聞こえていないことにして、思う存分こねくり回した。


 数分後、若干くたびれた感じになった僕たちは、大人しく車から降りた。
二人とも、狭い車内でぶつけた箇所をさすりながら出てくる。
ぶつけた理由を相手へなすりつけ合いながら、のそのそと歩いた。


 集まっていた人たちの前を会釈しながらさくっと通りすぎ、この神社の奥本殿の隣にある小さな広場まで来た。
彼はその隅で立ち止まり、視線をそれに向けた。

「突然、崩れたんだと。その時の音を聞いた人たちが何事かと思って来てみたら、こんな状態だったらしい」  

そこには、大小さまざまな大きさの石くれが転がっている小さな祠だったのであろう残骸があった。
そばに倒れこんだ立て札がなんとも痛々しい。

「崩れてから30分経ったか経ってないかそんくらいしか時間も経ってないんだそうだ」

彼は、先ほど話した時に聞いたらしい情報を言うと、じっと残骸を見つめた。

 僕もその祠だったものを真剣に見る。
残穢はなし。何か呪力が流れていたとか、呪いが関係あるだとかじゃなさそうだ。
ただ、突然壊れたとなると、この町の状況からしても不吉なものを感じる。

 次に僕は、その祠の物だったであろう立て札の内容が気になり、目を向けた。

『__水神 すいじん奇魂 くしみたま

文字のほとんどが掠れて読めなくなっていたが、その四文字だけは見えた。

 奇魂一霊四魂 いちれいしこんか。
僕がそう一言こぼすと、彼はそれが聞こえたのかこちらを見てくる。

「一霊四魂知らない?荒御魂 あらみたまとか言うでしょ、それのことだよ」


 一霊四魂。
一つの霊と四つの魂を、人や神は持っているという考え方。
四つの魂はそれぞれ、荒魂 あらみたま和魂 にぎみたま幸魂 さきみたま奇魂 くしみたま と呼ばれる。
そしてその四魂を、一つの霊である 直魂 なおひ がまとめている。
 神社などの場合、神自体は本殿で祀ってあるのだが、それとは別に魂だけを祀ることもある。


「よく聞いたり見たりするかもしれないけど、これって意外と新しい霊魂観なんだよ。明治くらいから流れ始めた説だからね」

彼もそこまでは知らなかったのか、なるほどと頷きながら話を聞いてくれた。

「神社には複数の神が祀られてることが多いけど、ここもそうなんだろう?」

僕がそう聞くと、彼はそうだと言って本殿の方を見る。
彼が話し始めると、今度はこちらが頷きながら聞く番になった。  

「ここで主に祀ってあるのは目の神様。昔、目が悪い娘さんのために偉い人が別の神社から勧請 かんじょうしてもらって、ここにできたんだとか」

「ここで目の神様を祀ってから、この辺りで湧いてた水で目を洗うと目が良くなった、以後その家系には目が悪いひとは出なかったとか逸話がある」

なるほどね。ここに奇魂が祀ってあるのもある意味納得かもしれない。

「奇魂っていう魂は、観察力や探求力なんかの『智』の役割を果たしていると言われてる。場合によっては超常的な力のこととも言うね

 呪術師にとって、呪いが見えるというのは当たり前のことだが、それは特別な力だ。
それがまずできなければ呪術師にはなれないと言われるほどに。
もしかしたらここは、そういった意味合いもある神社なのかもしれない。

 僕の考えを話せば、彼は得心が行ったような顔をしている。
そうやって話し込んでいると、周りからの目線も気になってくる頃合いだった。
彼曰く、目隠しとサングラスの怪しい二人組だから仕方ないね。

 僕たちは顔を見合わせると、そそくさと車まで引き返した。





 一つ目の神社ではちょっとしたハプニングが起こっていたが、さすがにそんなことはもうないだろうと話しながら向かった二つ目。


「いやなんでだよ」

 唖然とした彼の声が、虚しくこぼれた。

 またもや神が祀ってあったはずの祠が崩壊していた。
もちろん主祭神ではない、同じ境内にあった小さい祠がだ。
人が立ち入らないようにか、壊れた祠の周りにはカラーコーンが立てられている。


ね、ここには何が祀られてたの?」

動揺している彼の意識を戻すように、僕は声をかけた。
彼はハッとして僕を見たあと、戸惑いながら答える。

「え、あぁ水神様だったはずだ。というか、この辺での大きい神社には大体こうやって祀られてる」

詳しいことは本を見ないとわからないがと小さくなっていく声で話した。

 これは本格的にきな臭くなってきた。
同時期に作られたのなら、同じ時期に壊れることもなくはないかもしれない。
しかし、それだけだと考えない方がいい状況にある。


 まずはこれがいつ頃壊れたのかを知らなければ
僕は彼を連れて、とりあえず境内の外に出た。
周りを見渡せば、家、道路、用水路、畑、畑……人がいないか探すと、よく見れば畑の中に人影がある。

「おーい!あの~っ、すみませーん!!」

いきなり大声を出した僕を、彼はぎょっとした顔で見てくる。

 僕の声に気づいてくれたのか、その人影は作業を中断してこちらへ向かって来てくれる。
それに合わせて僕たちも少し場所を移動し、畑の前でその人を待った。

「なんだぁ、道に迷ったんかね?」

少し訛った言い方で、僕たちへ話しかけてくれるお爺さん。

「いえ、ちょっとお聞きしたいことがあって。あそこの神社に参拝させていただいたんですが、壊れてるところがあったんですけど

「んああ、水神さんのことか?ありゃなぁ、3日いや4日前くらいに壊れちまったんだ」

なんでかねぇまぁ古いといえばそうだげども。としみじみ話してくれた。