〈後日談〉紺色彼氏とオートクチュールプラン

7600字ほど〈後日談〉 一次創作BL「レンタル彼氏」物 社会人CP 眼鏡年下大型ワンコ×紺色が好きな、しっかり者だが変わっているところがある美人 ハンドルネーム上の名前は櫂人(かいと)×透萌歌(ともか)です。後日談で名前がわかります。

〈前編〉https://privatter.me/page/664a204f44652
〈後編〉https://privatter.me/page/664b23ce56b99



 これはある種、突風か何かを追いかけて不思議な王国へ行って非日常を過ごしたあとの、日常に帰ってきてからの話のようなものだ。
 
 山の標高のような倍率を突破して憧れのアンティーク品も取り扱っている雑貨セレクトショップのアルバイトとなり、三ヶ月の研修期間があって、僕はなんと正社員になれた。
 面接で、自分の得意分野として、おとぎ話モチーフの雑貨について語ったのが良かったのかもしれない。
 仕事として、採用されたくて、具体的に本心、好きな物を訴えかけるというのは初めてしたことだ。それがもしかしたら功を奏したのかもしれないと連絡を聞いて、僕はくじらと月のような金色の小さい竜のような一体と緑色で細長いヒレの付いた龍のような一体の二匹を抱きしめていた。くじらは学生時代、夏休みの旅行でそのショップに行ったときに買ったものだった。
 でも研修アルバイト採用の連絡をすぐ信じられなくて、もう一度呼び出されて行くまで、落ち着かなかった。

 巨大な店舗と隣の建屋の本社で働いた。
 三ヶ月後、また面接があり、正社員にならないかと言われて、僕は跳び上がるほど嬉しくて勢い良く返事をした。このときは、その場が僕の嬉しがりように、ちょっと驚いていたくらいだ。
 仕事は、胸の高鳴る、経験の連続だった。使い捨ての雑用モップ人形のように扱われた前の職場とは本当に全然違って、楽しかった。残業しても、疲れの質がまったく違っていた。
 毎日、「行ってきます」と出勤のまえに撫でて二匹に言った。買い物して帰ってきてから撫でた。そして、櫂人との一日を思い出しては、撫でる手を下ろした。