戌丸アット
2022-05-29 23:25:46
12178文字
Public 戦国basara
 

狸の親心

三家(戦国basara)



放課後、約束していた家康はHRを終えると慌てて下駄箱に走った
HRを終えたら下駄箱で会う約束だったのだ
だが、かなり急いだにも関わらず、三成はもう下駄箱で待っていた

「あ、三成!すまない!待たせたか?」
「いや、今、来たばかりだ」
「良かったぁよし、帰ろ!今日は卵が安いんだ」

お世辞は言わない三成の言葉にホッとしつつ、事前に買い物をする事を伝えていた家康はチラシを出して確認しながら嬉しそうに話す
そんな家康の言葉に三成は、ふっと不思議に思い、率直に尋ねた

貴様の家はそんな事に気を使わねばならなかったか?」
「ん?あー今は母さんが仕事で、殆ど二人で役割分担して生活してるんだが念の為に節約だ」
「そうかだから親の姿を見なかったのか」
「そういう事だ、ほら!卵が無くなる前に行こう!」
「ならば走れ!家康!」
「うわっ!?待ってくれ!三成!」

流石の三成も聞いてはまずかったかと思ったらしく、困ったように眉を潜めた事に気付いた家康はあえて気にせずに明るく応えた
すると家康の態度で平気だと感じたらしい三成は、いつもの無表情に戻るとチラシを奪って走り始めた
三成の俊足に流石の家康も瞬時には反応出来ず、慌てて走りながら追いかけた

その後はなんとか卵を持った三成に追いついて晩ご飯を買い、二人で話をしながら家康の家へと帰ってきていた

「ふーっ!ただいま!まだ帰って来てはいないのか、あ!今、飲み物を出すよ!ゆっくりしていてくれ」
あぁ」
「しかしすまなかった、米を急に買ったせいで荷物持ちをさせてしまって
「10kg程度、大した事はない」

予定になかった米を買ってしまい、三成が持つと聞かずに帰宅して申し訳なさそうに家康は受け取った米をしまう
すると二人の後ろから家康によく似た声がかかってきた

「へぇー顔に似合わず力持ちだな、おめぇ」
「っ!貴様は!!!」
「あ、おかえりなさい、元康様!」

壁に寄りかかって微笑む元康に、家康は微笑み、三成は目を見開いた
だが元康は、そんな両極端な態度の二人に気にする事もなく、三成の横を通ると机の上の買ってきた袋を覗き込みながら話を続ける

「うん、ただいま、家康!あ、今日は何作るんだ?」
「とりあえず玉子スープと野菜炒めにしようかなと思ってます」
「お!そうなのか!なら」
「元康!貴様、家康から離れろ!!!」

三成は家康へ近付こうとした元康を跳ねのけると、家康の腕を取って引き寄せた
そう、三成は元康を敵視していた
三成は家康が裏切った原因に元康があると考え、尚且つ今なお本音を隠そうとする態度を嫌っているのだ

「わ!突然どうしたんだ?三成!」
………ひゃー!突然、叫ぶなよー全く短気な奴だなぁ」
「黙れ!私は此奴だけは許さない!」
「なっ!?三成!お前まだそんな事を言っているのか!離反はワシの意思でもあったと言っただろ?」
「構わん構わん!気にするな、家康」
「しかし!」

自分の後ろに家康を隠すように立つ三成にやっと慌て始め、前に立つ三成の背を押しながら三成を宥める
しかし三成の態度を気にしない元康は、慌てる家康を制して非を認めた

「ま、影武者だったお前に無理をさせたのは事実だからな、否定はせん」
「元康様!ワシは無理などした事などありません!」
「家康!貴様は黙っていろ!貴様が居なければ家康は離反などしなかった!だから私は貴様を許さない!」

非を認める元康に家康は食ってかかった
家康にしてみれば元康は闘病を余儀なくされていたのだから、影武者の自分が代わりを務めるのは当然の事なのだ
元康が謝る事などないと思っていた
しかしそんな家康の考えも三成には関係ないとばかりに否定し、自論を言う
その自論を聞いた元康は突然、笑い出した

「ははは、随分と短絡的発想だな!それは無い!」
何?何故、言いきれる!」
「影武者は主君を守る為に似ている者がなるが家康はワシに性格すらも似ている、ワシが決断しなくとも遅かれ早かれ謀反していただろう」
「っ!黙れ!例え家康と貴様が似ていようと家康は家康だ!」
「三成
「貴様から必ず家康を引き離してみせる今世こそ家康には裏切らせない!」
………ま、好きにしてくれ!どうしようと家康とは血縁関係だから引き離そうと兄弟だ」
「も、元康様っ!」

力説する三成の言葉を最後まで聞いた元康は微笑んだまま三成と家康に近付くと三成の肩越しに家康の頭を優しく撫でた
まさか敵意を示す三成に近付いてまで頭を撫でられると思って居なかった家康は三成の反応を気にしながら元康を照れつつ制した
そんな家康の反応と元康の挑戦的な言葉に元康の腕を払いのけようとした所で、三成の携帯が震えた

「惑わされるな、家康!コイツはっ!携帯、か
出たら、どうだ?」
………チッもしもし、はいはいっ」
どうしたんだ?三成」
「両親が同窓会で帰りが何時なるか分からないらしく、帰らねばならない
「え来たばかりなのに
「ふむ、それって晩飯の心配か?」
………だからどうした、貴様には関係ない」

元々時刻的にも長居の出来る状況ではなかったのだが、まさか帰らなければならないとは思っていなかった三成には明らかな焦りが見えていた
晩ご飯の心配だと確認を取ると、元康は名案だとばかりに泊まる事を提案してきた

「まぁまぁ!そんな顔すんなって!ワシらの家に泊まれば万事解決だろう?」
「貴様、何を言って」
「なんだおめぇ、家康と一緒に居たくないのか?」
「な、なんでワシを出すんですか!」
……………暫し待て」
「ゆっくり話してな、家康は風呂の準備しててくれ」
「わ、分かり、ました

何故、泊まる事に関して自分が出てくるんだと焦りつつ家康は元康に言われた通り、風呂場へ行くとシャンプーなどの量の確認から簡単な掃除をしてから湯を入れ始め、戻ろうとした頃
脱衣所に元康が朗報だ!と入ってきた

「おーい!家康、喜べ!石田殿は泊まるそうだ!」
「わー!!!大声で言わないで下さい!」
「と言いつつ家康、おめぇ顔がニヤけてるぞ?」
「っ!わ、ワシの顔は元々ですから!!!それより晩御飯の支度にしましょ!」
「ははっ!照れるな照れるな!誰だって好きな相手が泊まるなら嬉しいものだ!」
「て、照れてません!!!」

元康には家康が三成を想っていた事はとっくの昔、前世から知られており、豊臣傘下の時代にもよくからかわれた事を思い出しながら、家康は元康の背を押して脱衣所を出た

その後は晩ご飯を三人で喧嘩する事無く無事に終え、元康は風呂へ
家康と三成は、出てくるまで勉強会と言う事になった

「あ、なるほどこの問題はこっちの方程式だったんだな」
「あぁ、この問題は引っ掛けだ」
っふぅー!三成が泊まってくれて助かったよあ、休憩がてら飲み物を取ってくるな!」
「あぁ」

家康は典型的な文系の為に数学はあまり得意ではないので、理数系に強い三成に指導して貰う事にしたのだ
意外にも三成の指導は的確で分かり易く、お風呂に入るまでに宿題を終えそうだと言う所で家康が休憩にと飲み物を取りに出た
しかし暫くして、バタバタと慌てた様子の家康が部屋に入って来て三成は驚いた
慌てて入って来た家康は、今にも泣きそうだったのだ

「っふ
「どうした家康!………はっ!奴に何かされたか!おのれぇえ!!!あの狸ぃぃぃ!!!」
「み、三成!大丈夫だから落ち着け!別に何もされていない!」
「家康、隠すな!ならば何故に頬が赤い……涙まで浮かんでいるではないかっ!」

慌てて入った家康は言葉に反して顔を隠すように体育座りで体を丸くしようとする
しかしそこは自慢の速さで三成は家康を引っ掴むと、たどたどしい手つきで家康の目元の涙を拭いてやる
そんな三成の行動に驚いたのか、家康は涙による赤面とは別に赤く染まりながら、ぼそぼそとだが話し始めた

「こ、これはワシがつい感極まって………と、とにかく!本当に何もされてはいないんだ!本当だ、三成!ワシはもう二度とお前に隠し事も、裏切りもしたりしない!」
あの日の誓いに誓ってか?」
「あぁ、勿論だ!ただ…………いやなぁ、三成ワシは"家康"と名乗って良いだろうか?」

"あの日に誓って"と力強くだが、ゆっくりと確かめてくる三成に家康もしっかりと頷いた後、頼りないか細い声で家康は自分が"家康"と名乗って良いか尋ねた
今の家康は不安で怖くて堪らなかったからだ
しかしそれには気付かずに、だがしっかりと三成は応えた

「突然何を言っている?………ふん、誰がなんと言おうと家康は貴様だ、顔が似ていようが仕草が似ていようが貴様だけだ、何も心配する必要はない」
「そうかうん、ありがとう三成っ」
「っ!?お、おい!泣くな!!!どうした!」
「ごめっぅ、今、だけっふ」
好きにしろ」
うっ……うん」

不器用だが家康の存在を確かなものだと応えた三成の言葉に家康はとうとう耐えきれずに涙をホロホロと零した
そしてぎこちなくも己の背に添えられた暖かさに、涙を流しながら家康は目を閉じた
己が、自分こそが家康なのだと確認をするかのように三成の肩に頭を寄せながら



END





ーーあとがきーー
元康もとい本物の家康は、狸と呼ばれ嫌われてる家康、三成とそりが合わず仲が悪い家康のイメージで書いてみました
竹千代口調、難しい!
でもBASARAの関ヶ原は傘下時代かなり仲良しなんで尚更、本物とは仲を悪くしてやろうと思ってこうなりましたww
でも基本的に元康は三成が嫌いではなく、反応を楽しんでる感じです
あと家康が薬に詳しかったのも元康の病を治す為だったら良いなぁと思っております

ちなみに裏設定ですが、徳川兄弟の家は母親が代理人やってるデカイ会社の金持ちボンボンです←



オマケ→