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戌丸アット
2022-05-29 23:25:46
12178文字
Public
戦国basara
狸の親心
三家(戦国basara)
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「三成、忙しい所すまん!この書類の確認を頼む」
「どれだ」
「野球部とかサッカー部なんかの運動部の備品補給の予算だ」
「分かった」
「あ、ご飯の後で良いからな?お前はよく食事を疎かにするから心配だ」
「ふん、余計な世話だ」
お昼休み、政宗や幸村の熱心(物理)な予算を増やす催促をくぐり抜けて三成の所へ行くと案の定、何やら書類を作成していた
家康がさりげなくご飯を食べる事を進めるが、相変わらず三成もはっきりと嫌がる
三成と言う男は無駄だと感じたりすれば、前世から容赦なく切り捨てる男であった
その為に食事も最低限しか取ろうとしない
だが家康はそれを見逃さず、心配して口煩く告げていた
すると日常となってしまっている、そんな光景を繰り広げる二人に一人の派手な生徒が突っ込んで来た
それは前世で三成に救われたと話す島左近であった
「三成様ー!一緒に食べましょ
…
あ、家康!?って事は仕事っすか?すんません!邪魔しました!」
「いや、大丈夫だ!それよりも三成がちゃんと食べるか一緒に食べて見ててくれ」
「もちのろんだぜ!」
「チッ、左近、貴様も余計な世話を焼かんで良い」
三成の周りで妙な結託をしている二人の様子に心底、面倒臭そうに眉間の皺を深め、容赦なく舌打ちをしながら三成は読んでいた本を乱暴に机の中へ仕舞う
実は口煩く食事を取れと煩いのは、家康だけではないのだ
仕方なく、鞄から栄養バランスを整える為のゼリー飲料を取り出していると、家康が三成のゼリーに気付いて顔をしかめる
そしてすぐさま家康は持っていた鞄から紫色の布に包まれた弁当を三成の目の前に突き出した
「あ、駄目だぞ!ゼリーだけじゃ!ほら!これ、お前の分の弁当!」
「貴様
…
また作ってきたのか
…
」
「うっわぁ!今日も美味そうな匂い!三成様は食費浮いて良いっすね!」
「いらん」
「えぇ!?」
「それでは駄目なんだ!ゼリーじゃ栄養が偏って身体に悪い!」
突き出された弁当の匂いで美味しそうだと評する左近の意見を無視するかのように、やはり三成ははっきりと要らないと断る
しかし頑固さなら家康も三成に負けてはいない
家康は、ゼリーだけでは不健康だと力説した後、容赦なく三成のゼリーを奪ってお手製の弁当を三成の目の前に無理矢理に置く
この暴挙に当然、沸点の低い三成はブチ切れた
「返せ!!!私は!必要ないと!言っている!!!」
「ま、まぁまぁまぁ!!!お二人さん、落ち着いて!三成様、折角貰ったんだし全部じゃなくても食べられるだけ食べましょ?家康もそれなら良いだろ?な?」
「あぁ、まぁ、それなら構わないが
…
」
「チッ、良いだろう
…
」
三成の怒り様に左近が慌ててフォローを入れると二人とも納得したようであった
だが、これも婆沙羅学園の名物なのである
本人たちに自覚はないが、三成と家康の喧嘩、そしてそれを周りが宥めるのは学園内では名物であり、日常なのだ
だが仲が悪い訳ではない
仲が悪ければ周りは宥めたりしないし、何より三成が家康を相手にしないのだ
だが気難しい三成を相手にしている家康も密かに変わり者扱いされる事があった
その一つの理由として、突然現れて目的を終えるとアッサリ引いてしまう所にあるからだ
今日もその性格は表れ、用事は済んだと弁当を押し付け教室を去ろうとしていた
「三成がご飯を食べるなら用件は済んだし、じゃあな!二人とも!」
「え?一緒に食べないのかよ?」
「あぁ、この後、秀吉殿と半兵衛殿にも見せておきたい書類があるんだ!」
「
………
食べて行け、家康」
「三成?」
あまりにアッサリと去ろうとする家康の腕を掴み、三成は引き寄せて止めると文句を言い始めた
「貴様は私に煩く弁当なんぞ寄こす癖に自身の事は顧みない
…
食べろ」
「心配症だなぁ、お前みたいな無理はしていないぞ?」
「黙れ、拒否は認めない」
「
…
分かった、書類は次の休み時間にするよ」
周りからすれば文句にしか聞こえない言葉も家康の理解力があれば心配の言葉に聞こえる
無理はしないと言っても聞かないので、結局は家康が折れるのも常だ
そうでなくては昼休みが終わるまで言い合う羽目になるのは目に見えていたからだった
すると左近が弁当を持ってこいと急かし始めた
「なら決まりっすね!早く弁当持って来いよ!」
「あぁ
………
ところで三成、離してくれないと取りに行けんのだが?」
「
…
そのまま逃げるかもしれん、左近、行ってこい」
「ちょ!?三成!」
「了解っす!確か窓側の前から三つ目だよな?」
「あ、あぁ」
「んじゃ行ってきまーす!」
「
………
行ってしまった」
三成が拘束を解くことなく、家康が困惑している間にサクサクと三成と左近はあっという間に決めてしまい、教室を出ていく左近を捕まっている家康は見送る他なかった
しかし三成も左近も至って当然のように動くので、すぐさま家康は仕方がないと諦めて三成の前の席の椅子を借りて座った
すると座ったのを確認した三成が喋り始めた
「ふん
………
それよりも
…
放課後、貴様に話がある」
「え?あ
…
そ、そういう事か」
「?
…
なんだ、用事か?」
そこで家康は左近が三成の為に気を使った事を察した
左近が教室を出ていなければ三成は家康を放課後まで誘わなかっただろう
その事実に内心、恥ずかしくなり照れつつも左近に感謝して慌てて提案をする
「違う違う!ただ、その、ワシの家では駄目だろうか?買い物があるんだ」
「
……………
分かった」
「?
…
うん、すまない」
「謝るな、元々は私が誘ったのだ」
「なら
…
ありがとう!」
「
…
ふん」
ありがとうと訂正して笑う家康に三成も何処か満足そうに顔を家康から背ける
そんな二人を弁当を取りに行った筈の左近は廊下から覗いて、呆れ返っていた
そう、左近は三成と家康の生温い会話の一部始終を廊下から見守っていたのだ
「あーあ、どっちもどっちだねぇ
…
こりゃあ」
「
…
そんな所で何をしているのだ、左近」
「うぉわっ!?か、勝家か!吃驚させんなよ!
…
いやさ、仲を取り持つのも難しいなぁと思ってな」
かなり怪しい姿をしていた左近に話しかけてきたのは柴田勝家であった
呆れた目線を含みながら見てくる勝家にたじろぎながらも左近は教室を指し示して事情を伝えた
すると勝家は教室の中を見て、納得したらしく眩しそうに目を細めながら二人を見つめる
「
…
あの二人か、見たところ随分と入学式の時よりは仲睦まじく見えるが?」
「ん?あー
…
入学式の時は三成様、凄かったもんなー
…
ま、あの後、色々あったみたいだぜ?今は昔みたいに戻ったしな!」
「
…
徳川殿が居るのに嬉しそうだな」
どうやら前世での関ヶ原での左近の態度しか知らない勝家は、左近の嬉しそうな態度に不思議そうに尋ねた
それはそうである
左近もまた主君の三成ほどではないにしろ、怒りを家康へ向けていた一人なのは前世を覚えている者であれば知っている事である
だが左近の考えは元々、柔軟なものだった
「あ?あー
…
ま!そりゃ三成様が生き生きしてるからな!家康も昔とは違って結構素直になったし良いかなってさ」
「そうか、お前も変わったのだな
…
」
「そうでもねぇよ!俺は今も昔も変わらねぇ
…
それより勝家!お前も一緒に飯食おうぜ!俺、あの空間に一人で入るのはキツイ!!!」
「はぁ
…
最初からそう言え
…
」
「やったー
…
!サンキューな、勝家!」
困った、しかし何処か楽しげに微笑む勝家に左近の特徴でもあるオーバーリアクションで喜ぶと、意気揚々と家康の弁当を取りに行った
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