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柚鈴
2024-05-10 18:09:41
9640文字
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でぃあぷろ夏イベ
夏霞デイドリーム
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第2話 ⚓️☂️🍀「ラズライト」
◇レイラ・カーティス
来たる八月某日。
「海だ〜っ!」
陽に照らされて、煌めく白と青──輝く地平線と水平線。
レイラ達は、約束どおり、そして予定どおり、海に来ていた。
「ミアさん、あんまりはしゃぎすぎると転びますよ!」
「あははっ」
「聞いてないし
……
」
ミアとハレリの会話に微笑ましさを覚えつつ、レイラは見るともなくみんなを見渡す。
──海に行くにあたり、レイラには問題があった。
それは──水着なんて、水泳の授業用のものしか持っていなかったことである。
私も賛成、と首肯してから、そのことに気づいた。なんと愚かしい。
しかし、それをミアに話せば、
「じゃあ、せっかくなので、みんなで買いに行きましょう、水着! 私も新調したかったですし!」
……
ということで、全員、新しい水着を身に纏っている。
ミアは、縁にボーダーのフリルがあしらわれた赤いビキニ。元気な彼女らしいデザインだ。
ハレリは、上は炎のように真っ赤な下地に白い花柄、下は動きやすそうなショートパンツタイプで、朱色に白の水玉の上着も着ている。スポーティかつおしゃれで、とてもお似合いだ。
フウカは、たくさんのフリルとリボンで飾られたクリーム色の水着だ。トロピカルな花柄がプリントされており、非常に可愛らしい。
シノは黄緑色で全身を纏めていて、腰にパレオを巻いている。大人っぽく控えめな彼女にぴったりだ。
レイラのものはというと
……
ミアが選んでくれた、真っ黒なビキニである。
似合っているのかは、正直わからない。
けれど──ミアが、選んでくれたから。
似合ってますよ、と、そう言ってくれたから。
それがとってもくすぐったくて、うれしくて、購入するにいたったのだ。
「
……
ふぅ」
「楽しめてますか? レイラさん」
すこし休憩、と砂浜に座ったタイミングで、声が降ってきた。
そこにいたのは、シノ。髪を耳にかけながら、「隣、いいですか?」と問われたので、レイラはすぐにうなずく。
ちなみに、残り三人は、砂浜で城を作っている。
先導しているのはミアかと思いきや、どうやらフウカがこだわりを持って建設しているらしい。
「楽しめてるよ。海なんて、小学校の頃に宿泊研修でしか来たことなかったから、海水浴は初めてだけど
……
海で泳ぐのって、楽しいんだね」
「ふふっ。それならよかったです。
……
あれ?」
シノは、いつもどおりやわらかくあたたかく微笑んでから、海辺のほうへ視線を向け──そして、不思議そうに声を漏らした。不思議そうに声を漏らした?
つられるように、そちらを見れば──女の子が、一人でぽつんと佇んでいる。
十歳くらいの、幼い少女だ。水色の髪を、愛らしくふたつに結えている。
「
……
迷子?」
「で、しょうか
……
話しかけてみます」
「あ、私も行く」
迷いなく立ち上がり歩みだしたシノにつづいて、レイラも少女に近づく。
「こんにちは。お父さんと、お母さんは?」
「
……
、
……
」
何も答えない少女に、レイラは思わず息を呑む。
これは、接近してわかったけれど──迷子の少女は、顔がとても整っていた。心を感じさせないその表情が、美しさを引き立てているように思える。まるで、人形だ。
「あれ、レイラさん? シノさん? どうしたんですか?」
砂の城組が──というか、ミアがレイラ達に気づいたようで、気づけば三人とも至近距離にいた。びっくりした。
「この子、迷子みたいで
……
私達も、いま話しかけたところだから、わからないんだけれど」
そうレイラが説明しているあいだにも、シノは根気強く少女に話しかけているが
……
一向に、答えが返ってくる様子はない。
まるで、シノの声が聞こえてないかのような────いや、
「待って。
……
その子、小さい声で、何か言ってる」
「えっ?」
一瞬で、レイラ達の周りだけ、静謐な時間が訪れる。
そうしてやっと、少女の声は、途切れ途切れに鼓膜へ滑りこんできた。
「
……
れ、い」
「れ、い? れいちゃん、かな?」
「そういえば、お名前聞いてませんでしたね。名前、言えるかな?」
シノの問いかけに、少女の表情が、ようやく、何かの感情を示した気がした──と同時に、今度はハッキリと、その名は呼ばれる。
「
……
レー、テ」
「レーテちゃん! お名前を言ってくれてたんだね? 聞き取れなくてごめんね〜! お母さんが見つかるまでの間、一緒に遊ぼっか!」
そんなふうに、にぱっと笑ったミアは、少女──レーテの手を取った。
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