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夜明 奈央
2024-05-06 08:22:21
5825文字
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お知らせ
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DR2023新刊サンプル お砂糖をひとつ
※頒布終了済み
Web再録(一部加筆・修正、改題等あり)+書き下ろし10本のSSまとめ本
A6文庫/会場¥800/P.264(内書き下ろしP.55)
サンプルは書き下ろし部分から抜粋
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今はそれだけで
セックスの後には煙草が吸いたくなる。ここに深い意味はない。なんとなく、そういう気分になる。けれど隣の男は中也が煙草を吸うのを嫌がるから、そういう時にはベランダに行くことにしている。普段なら多少の文句も悪態もコミュニケーションの一環だが、色々と発散して気分がいい時ぐらいは、そのままその気分に浸っていたかった。
今日もそのつもりで、散らばった服を適当に身につけて煙草とライターを掴み、寝台を抜け出した。それを、後ろから柔い力で引き止められる。
「なんだよ」
「煙草、吸うんでしょ。ここで吸ってよ」
「いいのかよ」
太宰は無言で掴んでいた服の裾を離した。それを了承と判断して、煙草を咥えて火を点ける。ここに住み始めたばかりの頃は部屋に臭いがつかないようにと気を遣っていたが、最近では面倒が優ってすっかり諦めていた。
煙をゆっくりと吸い込んで、同じくゆっくりと吐き出す。吐き出された白い煙は真っ直ぐに進んで、徐々に拡散していく。寝室には換気扇はなく、窓も閉まっている。部屋は瞬く間に煙に満たされた。
一本吸い終わるまでの間、太宰はただ、じっとその様子を眺めていた。
中也が煙草を吸おうとすると、マフィアにいた頃の太宰はいつだって過剰に嫌がった。どうやら本気で嫌がっているわけではないようだったが、ともかく必ず一言は文句を言うのだ。中也も喫煙者としてのマナーは最低限守るべきだと思っていたから、ある程度は聞いてやった。状況によって適当に聞き流していることもあったが。
それがどうだろうか。再会して、なし崩し的にセックスをする関係に戻って、時折今のように「吸って」と頼まれるようになった。理由に心当たりはない。四年も経っているのだから、何があってもおかしくはないと言い聞かせて、ずっと見ない振りをしている。
端末の振動する音が部屋に響き初めて、中也は真っ先に自身の端末を確認した。しんと静まり返っていて、すぐに自分のものではないと知る。
「電話鳴ってんぞ」
「えー、取ってよ」
「どこだよ」
「外套のポケットの中」
「ったくしょうがねぇな
……
」
言われるままに太宰の外套のポケットを漁ると、すぐに目的のものを発見した。
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