Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
夜明 奈央
2024-05-06 08:17:56
13063文字
Public
中太小説
Clear cache
Meant To Together
中太オメガバースパロ β×α
*α太宰の運命の番っぽいモブΩが出てきますが中太としてハピエン
*全年齢程度の性行為描写(中太のみ)があります。
2023年9月1日初出
1
2
3
4
5
「ねぇ、この後どうかな?」
仕事終わりの太宰に袖を引かれて、またか、と思った。この場合は夜のお誘いである。夜が明けるまで、あと数時間しかない。つい3日前に抱き合ったところだというのに、随分と元気なことだ。
幹部になってからというもの、太宰は目に見えて忙しくなった。毎日朝から晩までびっしり予定が詰まっている。それは明日だって同じことで、どれもこれも居眠りしているわけにはいかない重要な案件ばかりだ。抱き合った後眠るとなれば、1、2時間寝られるかどうかということになるだろう。 碌に寝る時間もないのにセックスのお誘いとは如何なものか。
中也が渋面を浮かべると、乗り気でないのを悟ったらしい太宰も口を尖らせた。
「頑張って働く私にご褒美ぐらいくれたっていいでしょう」
「俺はむしろ手前がぶっ倒れねぇか心配してるんだが」
「大丈夫だよ。私がαなの知ってるでしょ」
そう言われると、中也に強く反論することはできない。
この世界には、男女とは別にα、β、Ωという第2の性が存在する。
βは良くも悪くも普通の人で、本来の性である男女以外の機能はもたない。
重要なのはαとΩで、αは孕ませる性、Ωは子をなす性である。男女問わずαはΩを孕ませることができ、同じくΩは男女問わず子を孕むことができる。そしてΩは子をなすために3ヶ月に1度αを誘うフェロモンを出す。1週間続くその期間を発情期、その状態をヒートという。その間、Ωは性行為をするだけの獣に成り下がる。
ヒートを軽くする抑制剤や、発情期の頻度を一定に保つ制御剤の発達、法整備などによって昔に比べればΩの地位も向上しているが、定期的に「使い物にならなくなる」Ωはまだまだ社会的に弱い立場となりやすい。いくら法整備が進んでも、3ヶ月に1度必ず1週間の休みを必要とするΩに重要な仕事を任せられないのは自明である。
対して、それを補うためかαは容姿、頭脳、体力、何れにおいても他の性より優れている。もちろん、社会的立場の高い者が多い。αがΩと番になり、Ωに庇護を与える。世界の仕組みはそれを望んでいる。
太宰は、第2性を聞かずともαであるとわかる程、全てにおいて優秀であった。瞬く間に中也を置いて出世街道を駆け上り、天下のポートマフィアにて歴代最年少幹部の座に着いた。幹部となってもその歩みは止まることはなく、マフィア内での評価は鰻登りだ。
対して、中也の第2性はβであった。中也も評価が悪いわけではないが、太宰には頭1つ分先を越されている。
中也は自分の第2性が嫌いだった。一般的には、βというのは最も面倒が少ない性だ。Ωのように発情期に人生を左右されることもなく、αのように突然Ωのヒートに巻き込まれることもない。可もなく不可もなく。多くを望まなければそれなりに幸せを掴むことができて、努力次第でαより優れた実績を残している者もいる。忌むべきものはない。
けれど中也にとっては、そうではなかった。Ωであれば、太宰と番になることができたかもしれない。第2性を突き付けられる度に、そんな思いが胸の内で首を擡げる。
結局太宰の誘いを上手く断ることはできなくて、黙って歩き始めた。元々太宰相手に口で勝てたこともない。中也がその気になるまでいつまでだって粘るだろうことは想像に難くない。太宰を少しでも多く寝かせようと思ったら、下手に断るよりもさっさと抱いて寝かせてしまった方がいい。
中也の了承の意が伝わったのか、太宰は軽やかなステップで後ろをついてきた。くだらない軽口を叩き合いながら中也が運転席に座ると、太宰も我が物顔で助手席に乗り込んだ。
元気そうに見えてはいたが、太宰はシートベルトを締めると「着いたら起こして」と一言告げて目を閉じる。やっぱり疲れてるんじゃないかと呆れた気持ちが沸いてくるが、短く返事をして車を発進させた。向かう先は中也の家だ。
*
中也の家に着くと、貪るようにお互い欲を発散させあった。Ωでも女でもない太宰は本来受け入れるような器官を持っていないが、抱かれることに慣れた身体は快楽ばかりを拾い上げるらしい。こんなところも優秀らしい。もっともっとと強請られるままに回数を重ね、太宰が満足するまで抱き合った。
「お風呂できたら起こして」
快楽の余韻が引いていくのに合わせて、太宰は意識を手放した。その寝顔を眺めるのが好きだった。黙っていれば美人と評される美貌はさることながら、満足そうに安心して意識を手放すその姿に、信頼されていると感じるから。他人の気配ですぐに目を覚ましてしまう太宰が、中也の隣でだけはよく眠る。それは間違いなく中也の自尊心を満たした。
しばらくその寝顔を堪能してから、散らばった衣服を漁る。中から探し出した下着だけを身に着けて風呂の準備に向かい、戻ってくると太宰が目を覚ましていた。腹ばいになって端末を弄っている。
「そろそろできるぞ」
「んー」
生返事をする太宰の傍に座る。幹部の端末を覗き見するわけにもいかず、かといって何かをする程の気力もなく、太宰の背中を眺めていた。シーツに覆われていて見えないが、その中身はおそらく裸のままなのであろう。中也が包帯を剥ぎ取ったから、あちこちに古傷が散っているのが見て取れる。それに紛れて中也の付けた歯形やキスマークが見えるのがどうにも艶めかしい。
そんなことをぼんやりと考えていると、太宰が端末を覗き込んだまま口を開いた。
「明日護衛で来てもらうことになってる取引先なんだけどさ、普段はいないΩのご令嬢が帰ってるらしくてね。たぶん大丈夫だと思うけど、そういう意味での護衛も頼むよ」
突然現実に引き戻された気分だった。慌てて脳みそを回転させる。
「は? そういうことはもっと早く言えよ」
「早くても遅くても対処の方法がないんだから同じでしょ」
「だとしても、」
中也はまだ文句を連ねようとしていたが、端末の画面を落とした太宰がくるりとこちらを向いて手を伸ばしてきたので中断する。
「大丈夫だって。それよりお風呂、連れてってよ」
可愛らしく首を傾げられ、それ以上の言葉を呑み込んだ。柔らかな黒髪がふわりと揺れて、期待する微笑みを向けられる。小言を封じるためだとわかっていても、中也はこうして甘えられるのに弱かった。
お姫様抱っこで抱えあげると、嬉しそうに中也の胸に頭を預けてくる。触れ合う素肌と確かな重みが、今中也の手の中に太宰がいるのだと実感させた。
永遠なんてないとわかっていても、こんな幸せがいつまでも続けばいいと思う。
1
2
3
4
5
ご感想喜びます
/ 転載・AI学習禁止
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内