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夜明 奈央
2024-05-05 13:55:38
10159文字
Public
中太小説
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クリスマスカウントダウン
付き合ってる(っぽい)中太がそうなって初めて迎えるクリスマスまでの約1ヶ月のお話
2022年12月1日〜25日の間にTwitterで連載していたアドベントカレンダー企画
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12/1 探偵社
「あ、太宰さん! 24日のお昼って空いてますか?」
太宰が外回りを終えて探偵社に帰ってくると、敦の浮足だった声が飛んできた。
「24日?」
疑問符を浮かべて社内をぐるりと見渡す。鏡花と賢治が同じようにわくわくと瞳を期待に輝かせていて、谷崎兄妹や与謝野はそれを微笑ましく見守っているようだった。乱歩は相変わらず駄菓子をぼりぼりと口に運んでいて、国木田がやれやれと言わんばかりに口を開いた。
「今年のイブは土曜日だからな。社も休みだし未成年も多いから、パーティーは昼間にやろうかという話になっている」
国木田の補足を受けて、得心がいった。クリスマスパーティーの話をしていたらしい。敦はおそらくクリスマスパーティーは初めてなのだろう。鏡花はわからないが、賢治もそうかもしれない。いずれにしろ随分と楽しみにしているらしい。
部屋の隅にはおそらく太宰の外出中に出されたのだろうクリスマスツリーがキラキラと存在を主張している。そういえば社の扉にはクリスマスリースがかかっていた。
「パーティーか。楽しそうだね」
年長者として、期待に応えてやりたい気持ちはある。あるけれど、それはそれとして、おそらく恋人という範疇に収まっているだろう男の顔が浮かぶ。
クリスマスを一緒に過ごしたことぐらいはある。けれど、こういう関係に収まってからクリスマスを迎えるのは初めてだ。まだ何の約束もしていないどころか、約束するつもりすらなかった。当日押しかけることになるんだろうなと思ってはいたが、その程度だ。
だって、事前に会う約束をしたことなんてない。実を言うと連絡先だって教えていない。会うのはいつだって太宰の気まぐれ。それを恋人と呼べるのかと問われれば、太宰にだって多少の疑問が残る。
一緒に過ごす、つもりでいてくれているだろうか。一抹の不安が過ぎる。
「空いてるし、参加しようかな」
太宰が了承すると、敦と賢治がわかりやすく歓声を上げた。鏡花も声こそ出さなかったが、嬉しそうに頬を綻ばせている。
素直に喜びを顕にする姿を見ると、心の奥がじんわりと温められるようで、こういう過ごし方も悪くないかなと思う。本当に光の世界を歩いているようで。
中也の仕事の予定は確認していない。けれど、会うならきっと夜だろう。どうせ日中の予定などない。
「大人組はその後いつも通り街に繰り出す予定だよ。次の日も休みだし、朝まで呑み明かすよ」
「あはは、そっちは遠慮しておきます」
与謝野の誘いを断りながら、もし中也が相手してくれなかったら、そっちに混ざってもいいなと思う。きっと散々に揶揄われるだろうけれど、去年までのようにどこかの誰かをホテルに誘うのは気が引ける。
「色男も大概にしときなよ」
揶揄いの言葉を苦笑いで躱す。すると、一連のやり取りを黙って見ていた乱歩が駄菓子をごくりと飲み込んで、太宰ににこりと笑みを向けた。
「気が変わったら来るといいよ」
いつもと変わらぬ笑みのはずなのに、なんだか含みを持っているように見えて、ひくりと口許が引きつった。
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