黑野羊
2024-03-24 00:57:08
6939文字
Public 意味不明小説
 

意味不明小説《4》

意味不明で、ちょっと怖い、不条理だったり、シュールだったりする、短いお話集
掲載作品)
欠けた月が浮かぶ空の下/大きな世界の隅っこの羽化/小噺:自殺の形/いつもより静かな朝に/ビルとビルのすき間のビル/白い風が吹き消したのは/待ち合わせの喫茶店で/スキマの/地球儀/賢者


ビルとビルのすき間のビル


「やれやれ、困ったものだね」

そろそろ定年という壁が見えて来た男は、軽く溜息を吐く。
実はその業界では成功をおさめた会社の人事部長だ。
今日は戦力増強の為の面接日。
しかし、困った事に面接を予定している人間が来ないのだ。
遅れるとの連絡は受けているのだが、その後一行に来ない。

「もういい。彼の携帯に連絡して、伝えろ。不採用だ、と」

しびれを切らした部長はそう部下に言う。
もう次の面接者が来る時間だ。
とりあえず、お茶を飲み、気を落ち着ける。

面接者が来るはずの時間。
入って来たのは、部下からの「面接者が遅れるそうです」という連絡。
部長はまた溜息を吐く。

朝からこれで5人目。
遅れるという連絡の後、実際に来た者はいない。


「まぁ仕方ない。辿り着いた人間を採用する仕組みだしな」




ちなみに、その会社の名前は「株式会社忍者派遣サービス」という。