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雨音
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安寧の灯
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【あずまこ小説集】
文字数少なめ(500~1500字程度)のあずまこ小説をまとめました。
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【いってらっしゃいとおかえり】
「いってらっしゃい」
学校へ行く日、買い物に行く時。わたしが外出するとき、必ずおとうさんが玄関まで来て送り出してくれる。
わたしが帰ってくるときには、
「おかえり」
と出迎えてくれる。
それも毎日。毎日だなんて大変で面倒だろうに。それでもおとうさんは一日たりとも玄関に立たない日を作らなかった。
白神家にいた頃。
実の両親に「いってらっしゃい」と「おかえり」を一度も言ってもらったことがない。
これらの言葉は今まで国語の教科書か小説の中でしか見たことがなくて、フィクションだと思っていた。
憧れはあった。でも一生叶うことはないだろうと諦めていた。
わたしにそう言ってくれる人なんていない。そんな時間をわたしのために割くなんてもったいない。
……
そう言い聞かせて本を閉じた。
でも今は言ってくれる人がいる。
当たり前のようにそこにいて、温かさを感じる言葉で送り出して出迎えてくれる。それがとても安心できて、嬉しい。
「おとうさん、いってきます」
「いってらっしゃい。道中気をつけてな」
笑顔で手を振るおとうさんに見送られて、わたしは玄関の外へ足を踏み出す。
今日も「おかえり」と言ってくれるだろうか。いってきますと言ったばかりなのに、もう帰ってきたときのことを考えている。変なの。変なのに何だか心がぽかぽかと温かい。何だろうこれは。
……
まぁ、それは帰ったらおとうさんに聞こうかな。今は学校に行かないと。
わたしはリュックを背負い直し、穏やかな朝の空を見上げながら学校へと歩みを進めた。
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