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雨音
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安寧の灯
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【あずまこ小説集】
文字数少なめ(500~1500字程度)のあずまこ小説をまとめました。
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5
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【ここにいるよ】
すっきりとした雲ひとつない青空に目を奪われる。空を見上げながら歩き出そうとすると、手首を力強く握りしめられた。
驚いて思わず振り向けば、捨てられた子犬のような弱々しい表情のおとうさんと目が合う。どうしたのだろう。
「おとうさん、大丈夫?」
こてんと首を傾げながら聞く。おとうさんはわたしの手を離さないまま、思い詰めたような表情で、
「
……
どこにも行かないでくれ」
泣きそうな震え声で小さく呟いた。本当にどうしたのだろう。理解しようと考えたけれど、いくら考えてもおとうさんの言葉と表情の意味は分からなかった。
……
分からないけれど。わたしはおとうさんにそっと抱きつく。
「大丈夫、わたしはここにいるよ」
過去に「置いていかないで」とおとうさんに手を伸ばして縋ったことがある。そのときぎゅっと抱きしめられて「大丈夫、俺はここにいる」と言ってくれてとても安心したのだ。どうしたらいいか分からないから、おとうさんがしてくれた行動と言葉をそのまま真似ているだけ。
「
……
真琴、真琴」
「うん。真琴だよ」
確かめるように名前を呼ばれる。頷いて返せば安心したように息をつき、力強く抱きしめられる。身動きができないほどの強い力。だけど不思議と痛くない。ぽかぽかと温かい体温がじんわりと伝わってきて心地良い。
おとうさんの言う「どこにも」が何を指しているか分からないけれど、勝手に一人でどこかに行ったりしないから安心してね。
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