【カミ東】書きたいところだけ詰め合わせ

裏垢でのふせったー含む🔪🍮詰め合わせセット。幻覚強めご注意。


寒くなんかない



殆ど愚痴大会しか開かれなかった夏の日々が終わりを告げ、あってないような過ごしやすい秋の季節も駆け足に過ぎ去ってしまい、温かい食べ物の美味しさが身に染みる寒い冬の季節が諸手を振ってやってきた。
夏の空と違い何処までも澄み切った青色に満たされた世界で深呼吸をすれば肺の中が冷たく綺麗になる気がする。
白い吐息をくゆらせカミキリと他愛ない話を話している間、東雲は夏の終わり頃から感じていた違和感の正体に薄々気付き始めていた。
「(やっぱ避けられてるつーか)」
夏が我が物顔で闊歩していた日々の記憶ではよくカミキリとの接触は多かった。手を握るのも特に問題なくしていた。
だが、徐々に気温が過ごしやすい日が増えるにつれカミキリから距離を取られるようになった。
「(してる最中に暖房入れた時は流石に驚いたし、逆にのぼせちまったしなあ)」
まだ暖房を入れるまででもない気候だったがため余計に驚いた。
今も尚、さり気なく手を繋ごうとすればスルリ避けられてしまう。兎角嫌われているわけではなさそうなのは、カミキリの寂しげで悲しそうな顔を毎回目の当たりにしているからだ。
「なあ、カミキリさん最近おかしくね?何かあった?」
包み隠さず理由を東雲が問い掛ければ、カミキリの大きな目がやおら逸らされ俯いた。
「大家さん、寒がるト思って」
「?」
「僕の傍いる、涼シイ。でも、今は寒くなル」
「あー、そういうこと」
何故避けていたのか分かった。カミキリが自分を気遣っての行動に東雲の顔が朗らかに緩む。
腰を屈めカミキリの頭が丁度自分の肩口に埋まるよう東雲が抱きしめる。
「でも、私はカミキリさんと冬だろうが夏だろうがこうしていたいんでね」
はじめこそ慌てていたカミキリだったが、ずっと我慢していたことが我慢しなくていいことに嬉しさが溢れ返り、東雲の首に自分の腕を絡めぎゅーっと抱きしめるのだった。