ナガレ
2022-08-24 18:12:52
8991文字
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SSまとめ(その4)ぶぜまつ

すべてページメーカーで作って上げたもの、もしくはポイピクからの再録です。(メイクアップアーティスト豊前※現パロ、桃を貰った松井、細川江二振りの七夕、リップクリームの話、ワンライ企画作品)


【松井と篭手切の七夕】
細川二振りは仲良し

五節句の一つ、七夕。今年も本丸の庭には大きな笹が飾られた。笹は短刀達の作った五色の吹き流しと色彩豊かな七夕飾りで鮮やかに彩られ、曇天の空に色を添えている。

「篭手切は何をお願いするんだい?」

朝、ひとり一枚と言って短冊を渡された。特に願い事の無かった松井はそのまま短冊をしまいこんでいたが、八つ時後に篭手切が短冊を吊るしに行きましょうと部屋にやって来た。
可愛い弟分に誘われては断れない。松井は白紙の短冊を持って庭に出た。篭手切の手には願い事の書かれた短冊が握られていた。
彼は一体何をお願いするのだろうか。気になった松井は、少しでも高い位置に短冊を吊るそうと躍起になっている篭手切に尋ねてみた。

「歌って踊れる付喪神により近づけますようにと……
「芸事の上達か。七夕に相応しい願い事だ」

貸してと言って篭手切から短冊を受け取ると、松井は笹の高いところに短冊を吊した。風に吹かれ、笹の葉と短冊がさらさらと音を立てて揺れている。

「夜は晴れるといいですね」
「そうだね」

雨は降らないらしいが、今日はあいにくの空模様。天の川を楽しみにしている者も多い。夜までに雲が晴れてくれるといいのだが。

「松井さんは何をお願いするんですか?」
「それが何も思いつかなくて……

松井の短冊は白紙のままだ。松井には天に願掛けするような事が特に無かった。皆の健康と本丸の平和を願ってもいいのだが、せっかくの七夕だ。それでは何だか味気ない気がするし、篭手切の期待を裏切るのも悪い気がする。
どうしようかとしばし考え込んでいた松井だったが、ふとある願い事が思い浮かんだ。七夕は棚機とも言うし、これなら織女星に願うのもにぴったりだ。

「思いついた。書いてくるから待っていてくれ」

松井は急いで部屋に戻った。部屋に戻ると文机の上の硯箱から筆ペンを取り出して、願い事をしたためる。書き終えた松井は筆ペンを硯箱に戻した。まだ墨は乾いていないけれど、垂れてくるような事もないだろう。再び庭に出た松井は、どうだい?と書き上げたばかりの短冊を篭手切に見せた。

「篭手切の手伝いができるようにね」

元は機織りや裁縫の上達を祈った行事だ。針仕事の上達を願うのは理に適っている。よいしょと手を伸ばして笹の枝を引き寄せると、松井は先程よりも高い場所に自身の短冊を吊した。

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