空のありか

まゆこさま企画の「乙普イiメソンアiンソロ」に載せていただいた乙普を再録します。作業中の太乙のもとにやってくる人の話。小説のページにもすてきな背景を使ってくださって、本当にうれしかったです。ありがとうございました! ※再録にあたり、一部加筆修正しています。

「最高傑作だよ」


雲ひとつない晴れの日の日差しを受けて、それはさんぜんと輝いていた。いつかの雨の空を思わせる鈍色に、澄んだ青が映っている。両手をついて見上げた。ひんやりした金属の感触は、設計図のころから想像していた通りだ。予定よりずいぶん小さくなったけれど、機能には絶対の自信がある。こんな大作はいつぶりだろう。時間が限られていたから、間に合わないかと危惧していたが、どうやらなんとかなりそうだった。あとは単純作業を残すのみ、完成も間近だ。細かいものを組み上げるのはお手のものだけれど、修理して使いまわしたパーツも多かったから、動作確認は慎重にしなければならない。
「すごい。もう完成?」
隣に並んで、彼も両手をついていた。反射する光にまぶしそうに目を細め、ほうと感嘆をもらす。
「まだだけれど、ある程度のめどはついたよ。あとは図面通りに組み上げていくだけ」
「さすが、宝貝の匠」
素直なほめ言葉に「そうだろう」と胸を張る。つややかに輝く金属面は、強度も美しさも、彼がいなければかなわなかった。きみの宝貝のおかげだねと言えば「そうでしょう」と得意げに頷いた。
「あ、窓もつけてくれたんだね」
指さした天窓の表面に空が映っている。切り取られた四角い青を背景に、鳥が飛んでいくのが見えた。鏡のむこうを覗く瞳で、彼は羽ばたく鳥の影を追う。
思えば、設計の段階からいままでずっと見守ってくれた。飽きもせず、晴れの日も雨の日も通ってきては、隣で覗きこんで。あれやこれや勝手な口を出して、勝手に窓なんか書き加えて、でもきっとここから見える景色はすばらしいに決まっている。
「結果的につけてよかったよ」
「そうでしょう。本当によかった」
なんて顔で笑うんだろう。
いつもと同じ——いや、いつもよりもずっとほっとした、晴れの日の空みたいなすがすがしさで、
「ずっと気がかりだったんだ。——爆発の規模が大きかったから」