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無窓居室
2023-02-03 02:53:31
8889文字
Public
鬼と悪魔の事情
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新年デート
正月ネタのつもりが別にお正月らしいことしてない。😈👦👹👸でショッピングモールへ行く話。
😈👹と少し👦👸っぽいデート風景がだらだら続きます。多分あとで改題する。
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「ねぇ、あの二人
…
」
「うん、大分いい雰囲気よね。二人っきりにした甲斐があった」
フードコートの窓際の席ではさとしとひめが、中庭ではしゃぎ回る年上二人を遠目に眺めながらようやく落ち着いてタピオカミルクティーを飲んでいた。予想外のことがあって時間を取られたこともあり、多すぎるかと思ったLサイズのカップの中身も半分より減っている。
「あのくらいの感じにはこれまでもなったことあるんだよ。ブラックが意地悪するからいつも鬼ごっこになって終わっちゃうけど。
……
でも最近、さすがにブラックもちょっとは真面目に考える気になったみたい」
必要もなく声をひそめて笑うさとしの方をひめは見なかった。
「まるで絵本のしろいうさぎとくろいうさぎね」
話を聞いているのかいないのか、歳とはあべこべにひめの口調には無邪気なものを見る大人のような響きがあってさとしは笑うのをやめた。
そして手元のドリンクのプラスチックカップに目を落とす。ひめと一緒に過ごしているだけで、さとしにとってはカップの中身がおとぎ話の世界から切り取ってきた宝物のようだ。褐色のお茶はたくさんの金を含んだ泥の層だし、底に沈む黒い粒は一つ一つが小さな国を買えるほどの宝石だろう。だってひめの好きな飲み物で、これを飲み終わってしまうまでは一緒に居続けられるのだから
…
。
「あのさ、今日、会ってくれてありがとうね」
唐突にさとしはなにか思い切ったたように言った。改めて見ると自分のタピオカミルクティーはそろそろ残り少なかったせいかもしれない。
「うちの両親お正月も忙しくてさ、ブラックやアカネちゃんが遊んでくれるけど友達はみんな家族で出かけたりしてるから、今日もそうなんだろうなって思ってた。でもダメ元でひめちゃんを誘ってみて本当よかったよ!」
ひめは驚いたように窓の外からさとしに視線を戻し、それからゆっくり微笑んだ。
「ひめの方こそタピオカご馳走様。来月の話だけど、バレンタインには期待しててくれていいかも」
「ひ、ひめちゃん
…
!!」
感無量で声もマトモに出ないさとしに、ほんの少し白い歯を見せてからひめが呟く。
「ひめね、本当は今日も塾とレッスンだったの。中学受験のための冬休みコースとピアノにバレエ、カラーコーディネートの勉強も」
「えぇっ、二日から!?クリスマスも塾だったじゃん!」
「うん。でもサボっちゃった。生まれて初めて、きれいに全部サボっちゃった」
くすくすと喉を鳴らすひめに、さとしは何と言うべきか分からないのでただ隣にいてくれることの感謝を込めて笑いかけた。傾きつつある窓からの日差しがドリンクカップを通って、本当の黄金の色に輝かせる。
「明日からまた頑張るね。世の中には才能のある子なんていっぱいいて、頑張ってもダメかもって思っちゃうこともあるけど、やっぱりひめには頑張ることしかできないもん。今日はいい気分転換になったよ。それに
…
」
ひめがさとしを見つめたまま笑みを深くするので、さとしはすっかりどぎまぎして真っ赤になってしまう。ひめはそれを眺めながら可笑しそうに言った。
「さとしくんを見てたら頑張れること自体が才能のうちだってことを思い出したの。さとしくんみたいに何も頑張れない子の分まで、やれる人がとことんやらなきゃ!」
「それって喜んで良いのかな俺!?いやひめちゃんが元気出してくれたんなら嬉しいんだけどさぁ!!」
結局こんなオチかと涙を流しながら、さとしは心なしかほろ苦いミルクティーをヤケになって飲み干した。
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