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遊音。(ゆね)
2026-06-28 15:45:27
6745文字
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初恋
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はつこい。番外編SS
はつこい。の番外編をまとめていきます。全4篇。
本編はこちらです。
https://privatter.me/user/yune100m?category=113868
1
2
3
4
めこめこ。
「このメコメコの箱なに?」
寝室の棚の隅に置いておいた、いつかのプレゼントの箱をトガシが見つけて手に取った。
「あぁ
……
クリスマスプレゼントです」
「クリスマス
……
あのときの?」
「あのときの」
無言で見つめ合ったあと、トガシはまた箱に視線を落とした。
「用意してくれてたんだ
……
」
「絶妙なタイミングで別れ話されたんで、渡せませんでしたけど」
「なんでこんなにめこめこ
……
?」
「踏みつけたんで」
「
……
今更だけど、ほんとごめんね
……
」
「いいですよ、謝らなくても」
謝ったのは成長だと思いますけど、とカバキは苦笑する。
「
……
あけていい?」
「
……
何か着てからにしたらどうですか? そもそも水取りに行く途中でしたよね?」
だるさで起き上がれないカバキがベッドの上から問いかけると、そうだった、とトガシはキッチンに向かった。服を着る気があるかどうかはわからない。
水のペットボトルを2本持ってトガシが帰ってきた。
「カバキくん、起きれる? シャワーあびる?」
「無理ですね
……
今までで一番だるいです」
「ちょっとやりすぎたね
……
」
苦笑するトガシが、ペットボトルのフタを外して渡してくれる。待ってて、と言うので水を飲みながら待つと、しばらくして濡れタオルを温めて持ってきてくれた。
「朝浴びればいっか。とりあえず体拭いて寝る?」
「そうします
……
」
水を飲んだカバキは、あまりにだるくてされるがままになる。思いのほか、トガシが甲斐甲斐しく対応してくれて、あらゆるところを拭かれて少し恥ずかしくなったが、気持ちよさのほうが勝ってしまった。少し熱めの濡れタオルで拭いてもらえるとすっきりする。拭き終わると布団をかけられた。
「トガシさん、シャワーしてきてもいいですよ
……
」
半分目を閉じながら言うと、うーん、とトガシが悩む。
「いや、俺もこのまま寝ようかな
……
プレゼントだけあけていい?」
どうぞ、と伝えるとトガシは棚からプレゼントを取ってベッドに戻ってくる。
「中身無事かどうかは知りませんけど」
適当に包装紙を破る様子にこういうのは性格がでるな、とカバキは小さく笑った。
「あ、腕につけるやつ!」
思わずカバキは噴き出す。
「腕につけるやつて
……
スマートウォッチです
……
」
「あれでしょ、心拍数とか、歩数とかわかるやつ」
「他にもできますけど
……
前に欲しがってたでしょ。便利そうだって」
「あ、覚えててくれたんだ」
電源を入れてみると無事に使えそうで、トガシは微笑んだ。
「箱が丈夫だったから大丈夫そうだよ」
「そですか。良かったです」
「ありがとう。設定手伝ってくれる?」
「明日にしてください」
あくびを布団で隠すと、トガシは苦笑して、プレゼントをベッド脇に置いた。
「俺、何も用意してなかったのに
……
ありがとう」
「まぁ、別れ話用意してましたもんね」
「ほんと、ごめん
……
」
苦笑するトガシが電気を消して布団に潜り込んでくる。
「なんで取っといてたの?」
「
……
なんでですかね
……
なんとなく? 怒りを忘れないように、みたいな」
「
……
俺、もしかして一生恨まれる?」
「今、気づいたんですか?」
そっかー、とトガシは頭の下に腕を差し込んで抱きしめてくる。
「
……
腕痺れますよ?」
「いいよ、別に。こんなんじゃ償いにはならないし」
「償ってくれるんですか?」
「だって一生恨まれるんでしょ?」
トガシの首筋に顔がぴとりとつくと、好きな匂いがする。
「そですね、あれは一生許しません」
「どんだけ償っても?」
「ダメですね。一生無理です。ずっと俺に償ってくださいね」
「そっか、困ったな、一生か」
そんなレベルの酷さだったのか、と言われながら髪を撫でられる気配がするが、どんどん意識が遠くなる。心地よい。
「そです
……
ぜったい、ゆるしません、から
……
」
「わかった、絶対許さないでね。一生恨んでね」
そしたら俺は君に許されるまで愛し続けるから、と言われたのが夢の中なのか現実だったのか分からなかったが、そしたらやっぱり一生許せないままだな、と思いながらカバキは眠りに落ちた。
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私はトガシが破り捨てた包装紙になりたい。これは浅草たちに説教をくらってしばらくした後、少し人間味のましたトガシさん。
カバキくんにめちゃくちゃ甘いトガシさんがいるはず。
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