遊音。(ゆね)
2026-06-28 15:45:27
6745文字
Public 初恋
 

はつこい。番外編SS


はつこい。の番外編をまとめていきます。全4篇。
本編はこちらです。 https://privatter.me/user/yune100m?category=113868



たすけて。


 付き合って別れてよりを戻して——今日は久しぶりにトガシが自宅に来る。
「期待すんなってのが無理やろ……
 身支度を整えてカバキは大きくため息をついた。
 するかどうかもわからないのに時間をかけて丁寧に準備までしてしまった。
 バレンタインにしたときは、カバキに合わせると言っていたトガシである。そういう欲求はやはりそこまで無いのかもしれない。
 カバキには――ある。めちゃくちゃしたい。
 だが、本人がそこまでしたい気分でない場合、無理に合わせてもらうものではないと思ってもいる。
 できるなら――嬉しいが、やはり相手を尊重したい。
「ま……流れ次第やな……
 そろそろ着くころか、と思っているうちにインターフォンが鳴った。マンション玄関の施錠を開場して「どうぞ」と促す。
 何度もトガシが家に来たことはあるはずなのに、やたら緊張する。カバキは一つ呼吸をとった。
 もう一度、インターフォンが鳴って自室の前までトガシが来たことをモニターで確認して、扉をあける。
「こんにちは」
 声をかけると少し微笑んだトガシが一つ頷いた。バレンタイン以来だ。
 内側に促して扉を閉めると、トガシが玄関先で立ち止まる。
……どうしました?」
……あ、のさ……
 どこか緊張した様子のトガシを見て、カバキは内心でがっかりする。
 ——やっぱ、急には変わらんか……
……今日、家じゃない方がよかったですか?」
 それなら外でも、と落胆を隠して微笑むと、トガシの方が慌てる。
「いや、そうじゃなくて……
 靴も脱がないまま、目を伏せて戸惑った様子のトガシを見て、小さくため息をついてしまう。
……はっきり言っていいですよ」
……いいの?」
 視線があがって上目遣いで見つめられると、戸惑ってしまう。何を考えているかわからない。
「何でも受け止めますから、言いたい事とか、思ってることあるなら、ちゃんと言ってください。言わないとわからないんですよ」
 じゃあ、と靴を脱いであがってきたトガシに腕を取られたかと思うと、突然唇を塞がれた。
……んっ……?」
 驚いて目を丸くしていると壁に押し付けられて、さらに深く舌を絡められる。
 わけもわからないままカバキはトガシの背中に腕を回すと、強く抱きしめられる。
……とがしさ…………?」
「あ、のさ……
 唇を離したトガシが、まだ戸惑った視線で見つめてくる。
「今日、カバキくんに会えるって思ったら、昨日からしたくて仕方なくて……いや、家でも抜いたんだけど全然おさまらなくて……こんなにしたいとか、我慢できないとか、初めてで、どうしたらいいか……
 視線がかちあう。黒いトガシの瞳が濡れていて、心臓が一気に早く鳴る。
 脚の間に押し付けられたトガシの股間がすでに反応しているのが布越しに否応なくわかる。
……助けてほしい……
……トガシさん……
 ふふっと笑いがこみあげてきて、カバキはくすくす笑ってしまう。嬉しくて顔がにやけるのが止まらないが、トガシは眉を寄せて怪訝な顔をする。
……俺、結構真剣に困ってるんだよ……?」
「ごめんなさい、分かってます、すみません……
 笑いながら応えてしまうが、嬉しくて止まらない。俯いて笑っていると、トガシが「ねぇ」と不機嫌な声をあげる。カバキは背中に回していた腕を解いて、トガシの頬を両手で包んだ。
「俺、もう準備してあるんで――すぐできますよ」
 今度はトガシが目を瞠る。
「トガシさんの好きにしてください」
 首に腕を絡ませてキスをすると、貪るように応えてきたトガシが、乱暴に上着を脱いでいく。
「カバキくん……好き、大好き……
 キスの間に囁かれて、それだけで体の奥が疼く。こんなに求められる日が来るとは思わなかった。
 カバキは頬が緩むのを止められなかった。





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続き、続きが欲しい!と思ったので書いてます(近々あげます)。
このトガシからしか得られない栄養素があると思っています。