あけみ
2026-06-09 22:06:50
13552文字
Public SW
 

【SW】僕と貴方と私と君【A/O】未完

20年前に執筆したアナオビをこのビックウェーブに乗るしかねぇ!と思い。大公開。
一部、加筆修正。アナキンとオビ=ワンの出会いと別れと再会の話。
なんと未完である。




 ふとしたときに、アナキンがオビ=ワンの手を握ったことがあった。
 繋がれたそれからアナキンの熱が伝わり、オビ=ワンは少し戸惑ったことがある。顔を向ければ、無言のまま見つめる視線にぶつかる。そうして、アナキンの口から呟かれたのは親愛の意味より熱がこもった言葉だった。

「愛しています」

 オビ=ワンはなんと返せばいいのかわからなかった。
 本当は、にっこりと微笑み返せばそれですんだことだったのかもしれない。ずっと彼が幼いころから聞いていた言葉だったのだから。「私もだよ」と返せばそれでよかったのかもしれない。
 けれど、そうしなかったのは。アナキンのそれが執着を意味する愛だったから。困惑するオビ=ワンは無言のままだった。
 どう返せばいい?
 それはいけないことだと? その愛はジェダイが抱くものではないと? 愛を奨励されているジェダイが愛を拒むのか?
 答えようとしないオビ=ワンにアナキンは苛立ちを見せたが、それも一瞬のことだった。アナキンは口を開きかけてすぐに閉じると、繋いだ手をすぐにほどいた。
 たったそれだけのことだった。

 アナキンの「愛しています」はオビ=ワンの体をすり抜けて、消えていった。
 アナキンがオビ=ワンに見せる情熱はずっと変わらずそこにあったが、それ以来アナキンは口に出さなくなった。
「愛している」と。
 だから、このままでいいと思った。
 言葉にせずともそれは伝わる。言葉にしたら、その情熱は激しさを増すだろう。激しさを増した愛は、執着を生む。互いに執着しあえば、どんな恐ろしいことになるか。
 オビ=ワンは考えたくなかった。

 けど、本当は。

 アナキンを想うこの愛こそが執着であると。

 あの時、気づいていたのだ。


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<貴方が憎い>

 アナキンは炎の星で叫んだ言葉を今でも覚えている。
 あんなに愛しいと感じていた存在が、憎悪という感情で覆い隠された。

 黒い衣服を身にまとい、半分機械となった不自由な体でアナキンは監視記録のホロをじっと見つめる。
 少し前からだ。アッサやコルサントのジェダイ聖堂でジェダイらしき人物が現れたと聞いた。報告を受け、すぐに脳裏に浮かんだジェダイの名をアナキンは消し去った。体が半分になった自分が生きているのだから、彼も生きていることになんら不思議はない。けれど、ひっそりと身を隠している彼が表世界へと現れるのがどうにも考えられなかった。
 そうして、思い知らされる。
 今、冷静にホロを見つめている自分がそれに反して感情が穏やかでないこと。
 愛しいと思えば思うほど、彼が憎い。
 ホロに映されたそれは、彼を知らない人間だったら気づくことなく電源を消してしまうだろう。
 帝国軍士官の制服に身をつつみ、髭をそったためひどく年齢より若く見える人物からアナキンは目をそらさない。

(なぜ、あなたがここにいる? オビ=ワン)

 数日前の監視記録だから、今彼がどこにいるのかは知らない。
 帝国の審問官マローラムの話では動いているジェダイは一人ではないというが、アナキンにとってそれはどうでもいいことだった。オビ=ワンが近くまできていたことに、どうしようもなく狼狽している。

<愛しています>

 昔、彼の耳に囁いた言葉がなぜ今になって思い出すのか。
 アナキンは怒りのままにフォースでホロを停止させ、火花を散らして破壊した。

 今でも愛しているとでもいうのか?

 馬鹿馬鹿しい。

 彼と過ごした日々を思い起こさせるものが消えてしまえばいいのに。
 あのジェダイ聖堂も破壊させてやろうか。
 マローラムがジェダイ聖堂に居座り続け、勝手にオフィスを構えているのにも限界だった。ジェダイでもない人間にそこを踏み入れられたくない。マスターとパダワンが歩いていた廊下、始末書を提出することが多かった評議会の部屋、ジョカスタ・ヌーが管理していた記録保管室、そしてオビ=ワンとアナキンの部屋。
 破壊させてやる。
 マローラムが拒めば、彼ともども聖堂のチリにしてやればいい。

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「アナキンは生き延びれなかったのですか?」
 フェラスのそんな言葉にさえ、胸が鷲づかみにされたように息苦しくなった。
 彼一人を向かわせて、オビ=ワンはタトゥイーンに戻ってきたことに後悔はしていない。短い間だったが、これで自分は今やるべきことに集中できると確信できた。
 タトゥイーンを離れてもアナキンを想うことが多かった。思い出すたびに、オビ=ワンは苦しんだが今はそれを奥底にしまう。


<愛しています>

 と、囁かれ。

 答えもせず、否定でも肯定でもない態度を見せた。
 それなのに、あの最後の日に自分はなんと叫んだ?

<愛していた>

 一瞬、傷ついたようにアナキンの顔がそこにあった。

 愛していただと?
 今でも愛しているのに?

 オビ=ワンは幼いルークを遠くから見守りながら、そっと涙した。

 私にはできなかった。けれど、彼ならきっと君を連れ戻せるだろう。


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 ここはなんて寒いところだろうと思った。
 暗い部屋の中で、耳障りな呼吸音が響く。
 体が自由に動かせないのもあり、ますます苛立った。

 目を閉じれば。

 オビ=ワンと対峙する自分が見える。

 昔見たあの夢だった。

 赤いライトセーバーが、オビ=ワンの体を斬りさく。それを何度も見る。何度も何度も斬りつけても、手ごたえがない。
 愛しい存在だからこそ、この手で殺してやろう。と、夢を見るたびに愛憎が増していく。

 殺しても、手に入らないのか。

 今でもこんなに<愛している>のに、貴方は僕を残して消えてしまうのか。


 貴方が憎い。

 貴方が―――――


 fin


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