あけみ
2026-06-09 22:06:50
13552文字
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【SW】僕と貴方と私と君【A/O】未完

20年前に執筆したアナオビをこのビックウェーブに乗るしかねぇ!と思い。大公開。
一部、加筆修正。アナキンとオビ=ワンの出会いと別れと再会の話。
なんと未完である。




 アナキン・スカイウォーカー12歳。オビ=ワン・ケノービー27歳。
 二人の歳の差は15。兄弟というほど近くはなく、親子というほど離れてはいない。
 そんな近くて遠い二人の距離。


 あれから3年。
 月日が流れれば、お互いのことも見えてくる。

 アナキンは聖堂の退屈な暮らしに辟易していた。9歳まで普通の家庭で育ったのだ。母親の愛情も知っているまだ育ち盛りの子どもであった。そんなアナキンが聖堂でおとなしくしているわけがない。夜中にこっそり聖堂を抜け出して、立ち入り禁止区域で壊れたドロイドを拾って持って帰る。ドロイドを直して悪戯に使ったり、友達の少ないアナキンにとってドロイドいじりが楽しい遊びだった。
 また違う日は、違法のポットレースに出たりしていた。オビ=ワンがいつも眉を吊り上げてはアナキンの帰りを待っている毎日だ。よく考えたら、あれはオビ=ワンの気を引きたいがための子供じみた行動だったのかもしれない。
 アナキンはちらりとオビ=ワンを盗み見た。
 ずっと見てきた綺麗な横顔だ。ただ、3年前と違うのは眉間のしわが増えたということだろうか。
 アナキンはそっと目を伏せる。

 オビ=ワンは僕だけに見せてくれた笑顔をもう見せてくれない。

 この若いマスターは小さなジェダイ候補生に人気がある。
 アナキンの同期生らも楽しそうにオビ=ワンの話をするのだ。
 アナキンはそんな候補生を見るたびに、そんな話を聞くたびに、ジェダイとして抱いてはいけない薄黒い感情が渦巻いてくる。

 オビ=ワンは僕のマスターだ。
 僕だけの。

 けれど、オビ=ワンは僕を選んでパダワンにしたわけではない。
 オビ=ワンが僕をパダワンにしたのは、敬愛するマスタークワイ=ガン・ジンに託されたから……

 アナキンはそう思うたびに暗くて寒い夢に悩まされる。


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 アナキンの素行の悪さは今に始まったことじゃない。
 毎晩頭痛に悩まされる。ここ数年、ぐっすり眠れたことがないような気がする。
 アナキンと一緒にいて心休まる日はない。
 今もそうだ。

 アナキンと二人だけの任務はこれが初めてではない。しかし、まだまだ経験不足のパダワンをつれた任務だった。
 目的の惑星に無事着いたのはよかった。任務も無事に終わった。アナキンが大人しくしていたおかげで、問題なくコルサントに帰れる。そう安心していた矢先の事故だった。フォースが危険を告げていたのはオビ=ワンも気づいてすぐに反応できた。地盤が緩んでいた岩山が崩れて落ちてきた。オビ=ワンは目の前のアナキンを咄嗟に庇い、自分にふりかかる覚悟で飛び込んだ。
 大きい鉄の塊がオビワンの両足をつぶし身動きが取れない。それでも、目の前のアナキンはかすり傷ひとつだけ。それを見て安心したのか、オビ=ワンは静かに目を閉じた。
 まったく、この子といると気が休まる時がない。ホッとして口元を緩めるオビ=ワンの心中にあったのは、パダワンに向ける叱咤ではなく深い愛情の意味にあたる。
 オビ=ワンはアナキンが思っている以上にパダワンである彼を愛でていた。

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 アナキンは目の前が真っ暗になった。

 ―――どうして?

 こういうのを知っている。
 昔、母もこうして自分を庇って傷ついた事があった。その時、どんな絶望を味わったか。
 そして今も同じことが起こった。
 フォースを感じ取ったのはオビ=ワンだけではない。アナキンもしっかり感じ取った。
 それでも、オビ=ワンが庇わなければアナキンの位置から避けるのは困難だったのは確かで。
「マ……マスターッ、オ……、オビ=ワン! オビ=ワンッ!!」
 混乱してうまく言葉が出てこない。
 アナキンは胸に眠る強い炎の感情が芽生えるのを感じた。

 嫌だ……!!

 嫌だッ!!

 死なせたくないッ!!

 オビ=ワンが死ぬのは嫌だ!!!

 これはきっといけない感情。

 不安、恐れ、怒り。

 アナキン、だめだ。だめだよ。
 アナキンはそう自分で言い聞かせるが、感情は暴走する一方だ。

「オビ=ワン……ッ!!!」

 アナキンが叫ぶと、オビ=ワンが目を開ける。

……大丈夫だ。死なないよ。それより、……フォースを使ってこれを除けてくれないか?」
「オビ=ワン! 大丈夫?! 僕のせいで」
「アナキン、大丈夫だ。落ち着きなさい。ほら、ね」
……!!」
 涙で前がよく見えないアナキンに、オビ=ワンは安心させるようにふんわり微笑んで見せる。
 それは昔、よく見せていたオビ=ワンの笑顔だった。
 僕だけに見せるオビ=ワンの笑顔だ。
 大丈夫。オビ=ワンは死なない。二人でコルサントに帰るんだ。
 アナキンは静かに目を閉じ、気を落ち着かせる。
 オビ=ワンの足をつぶしている鉄の塊を見る。

 ―――こんな大きな物、動かしたこがない。

 アナキンは一瞬たじろいだ。
 そんなアナキンの想いを感じ取ったのか、オビ=ワンが静かに答える。
「大きさは問題じゃない。やるか、やらないかだ。大丈夫、お前ならできるよ」
 アナキンは目を閉じて、フォースに集中させた。混乱していた感情が嘘のように消えていた。不思議な感じだ。
 オビ=ワンの笑顔と声を聞けば、乱れていた感情が静まる。
 アナキンはオビ=ワンの足をつぶしていた鉄の塊を除けると、深く深呼吸した。
 オビ=ワンはゆっくりと体を起こす。
「アナキン、ありが……
 オビ=ワンの声が途切れたのは、アナキンがオビ=ワンを抱きしめたからだ。
……アナキン、」
「オビ=ワン! 大丈夫?! 足は……ッ、足は平気? オビ=ワンが死ぬんじゃないかって僕……ッ!!」

 怖かった。

 救えるはずの命が失われるのが一番怖い。アナキンは初めてその恐怖を味わったのだ。
 肩の震えが止まらなかった。

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 オビ=ワンはその小さな肩を愛しく思うと同時に、ジェダイとしての教えに揺れ動く。アナキンのその感情はジェダイとして持ってはいけないものだ。
 けれど、今はその小さな肩を押しのけるようなことはしない。そう、今はただ、
「ありがとう、アナキン。私は大丈夫だよ」
 と、その肩を優しく撫でることだ。
「本当?! 足は?」
「大丈夫。しばらく動くのは困難だが、フォースを集中させれば歩けないことは無い。そうだ、アナキン」
 オビ=ワンはふんわりと微笑みながらアナキンを見つめた。
「今日は何の日か知っているかい?」
……え?」
 突然聞かれた問いにアナキンは目を見開いた。
「僕の誕生日……?」
「そう。パダワンは13歳の誕生日にマスターから特別な贈り物を貰う。コルサントに戻ってからあげようかと思ったんだが……
 オビ=ワンはそう言うと、懐から手のひらに乗るくらいの石を取り出した。
「手をだして」
 アナキンが手を出すと、オビ=ワンはその石をアナキンの手のひらに乗せた。アナキンがオビ=ワンに問うように見上げた。
「これは……私が13歳の誕生日にクワイ=ガンから貰った贈り物だ」
「!!」
 オビ=ワンの言葉にアナキンはじっと手のひらの石を見つめる。
 オビ=ワンにとって、この石がどれだけ大切な物だったのか。アナキンはしっかりとその石を握り締めた。
「この石にクワイ=ガンのフォースが強く感じられるんだ。私はよくこれを握りしめてはクワイ=ガンを思い出していたが、もうその必要がなくなった」
……え?」
「この石はもう私のフォースしか感じられない」
 オビ=ワンはにっこりとアナキンに微笑んだ。
 アナキンは眩しそうにその笑顔を見つめる。
「オビ=ワン! あ、違った……えーと、マスター! ありがとう。大好きだよ!」
 アナキンはまたオビ=ワンに抱き、そして彼の頬に口付けた。

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 オビ=ワンが僕をパダワンにしたのは、敬愛するマスタークワイ=ガン・ジンに託されたから。
 もういいじゃないか。
 そんなことはもう関係ない。
 アナキンはもう一度手のひらにある石を握り締める。
 オビ=ワンのフォースが強く宿る石。
 僕にとってこれ以上の贈り物はないよ。

 ほんの一瞬芽生えた熱い想いは、今はただ押しとめるだけ。

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