あけみ
2026-06-09 22:06:50
13552文字
Public SW
 

【SW】僕と貴方と私と君【A/O】未完

20年前に執筆したアナオビをこのビックウェーブに乗るしかねぇ!と思い。大公開。
一部、加筆修正。アナキンとオビ=ワンの出会いと別れと再会の話。
なんと未完である。




 アナキン・スカイウォーカー21歳。オビ=ワン・ケノービー36歳。
 二人の歳の差は15。兄弟というほど近くはなく、親子というほど離れてはいない。
 そんな近くて遠い二人の距離。

 恐ろしい夢を見た後は、この世の絶望のように感じて。
 心をどうにか落ち着かせようと思っても、目を閉じると夢で見た残像が残る。

 アナキンは震えている両腕を見つめた。
(落ち着け、あれは夢だ……
 そう。あれは夢。
 だって、そうだろ?

 マスターが―――オビ=ワンが死ぬなんて。自分が手にかけるなんて。

 そんなことありえないのだから。


-------------------------------------


 パダワンを卒業し、オビ=ワンの元から離れたアナキンだったが、戦争中での任務はほとんど二人1チームで呼ばれた。
 オビ=ワンとアナキン。ケノービとスカイウォーカー。今や二人の活躍を知らない者はこの宇宙にいない。二人そろえば、どんな困難な救出や潜入であっても「楽勝」だ。二人に不可能な任務は存在しない。そう皆が口にする。
 オビ=ワンは隣にいるアナキンにチラリと視線を向けた。
 この任務も「楽勝」であったが、いつも完璧にこなせるわけではない。いや、そのほとんどがトラブルで乗り切っていることが多い。今もそうなのだから。
 敵を錯乱させるため、囮作戦を実行させた。これは二人が得意とする戦術だ。囮役はオビ=ワンがやり、任務実行はアナキンが。それが成功の確率を上げている二人の分担だった。
 しかし、この状況は敵に囲まれ身動きがとれない。ドロイドの攻撃を二人はライトセーバーでかわしている。
「毎度のことですが、これはピンチですよマスター」
 アナキンが発する声質には緊張した素振りはない。この状況を楽しんでいるといった感じだ。そのことにオビ=ワンはニヤリと笑みを返す。
「ピンチ? お前がきてくれたんだ。ここも楽勝だろ?」
「たしかに僕はいつでも助けに行きますと言いましたけどね、これは酷いですよ」
「問題ない。いつも通りだ」
 オビ=ワンのちょっとしたミスは今に始まったことではない。優先させるべき任務を中断し、アナキンはオビ=ワンの元へ戻った。それが当たり前のように。オビ=ワンも知っている。彼が決して裏切らないことを。必ず助けに来てくれることを。

<もし、助けが必要ならいつでも呼んで下さい>

 以前、ガンダークの巣に落ちたときにオビ=ワンはアナキンの名を叫んだ。来てくれるという確信はあった。
 アナキンは来てくれた。

<あの時みたいに、すぐに飛んでいきますよ>

 別行動でわかれる時、アナキンは必ずそう言いニヤリと笑む。だからオビ=ワンは彼だから任せられた。今、こうして背をあわせドロイドと闘っていても負ける気がしない。
「そうですね。では、いつも通りにいきますよ」
「ああ」
 数分もしないうちに二人を取り囲んだドロイドは全滅した。本当の得意分野は囮作戦よりトラブルを味方にする作戦だった。そう、作戦など必要ない。
 二人そろえば、なにが起きても対処できるのだから。


-------------------------------------


 夢の内容をオビ=ワンに言うつもりはない。
 アナキンはこれまでに何度も夢を見た。未来を予言するような幻視によく悩まされた。けれど、今回のはそれとは違うだろう。幻視は曖昧だが、なにが起こるのかはっきりと見える。
 黒い影とオビ=ワンが対峙していた。その影が斬りさくようにオビ=ワンに向かうと、オビ=ワンの姿は消えていった。
(消えただけだ。死んだわけではない)
 それに、なぜ黒い影を自分だと思ったのか。アナキンは断片的になった残像を追いやった。
 ふと、視線を向けると隣でオビ=ワンが眠っている。連日する任務に体を休める場所は移動中の船の中だ。
(のんきな人だな……
 アナキンは口元を緩めた。
 いつからだろうか。こうしてオビ=ワンが自分の肩に顔を傾けるようになったのは。パダワンであったころでは考えられない状態だ。全身の信頼をアナキンに捧げている。いつも眉を吊り上げ、説教をするマスターはどこにいったのだろう。
(いや、相変わらず説教癖はあるけど)
 それだけ自分を認めてくれたということだろうか。アナキンはオビ=ワンに顔を近づける。

 キスしたい。
 抱き寄せたい。
 それから―――それから。

 ジェダイ騎士に昇格しても執着は捨てられなかった。
 遠くにいってしまったダラの言葉が聞こえた気がした。

<あなたはそれでいいのよ。ただ―――

(執着を捨ててオビ=ワンを愛することはできない)

 彼が死ぬなんて。
 オビ=ワンがいない宇宙なんて想像ができない。
 彼に名を呼ばれて見えなかった感情がはっきりとアナキンの中にあふれ出した。

<アナキン! アナキン! 君の助けが必要だ!>

(助けにいくよ。どんなことがあっても)

 だからあの夢はただの夢だ。

 僕がオビ=ワンを殺すなんて、そんなことあるわけない。

 アナキンはそっとオビ=ワンの唇に口付けた。
 子どものような触れるだけのキス。
 それだけなのに、なぜ自分はこんなにも震えているのだろう。
 アナキンは立ち上がり、操縦席へと移動するため部屋を去る。

-------------------------------------


……

 オビ=ワンは目を開けた。
 それからゆっくりと体を起こす。唇に触れると、すぐに先ほど何がおきたのかを知った。
「アナキン……?」
 部屋から去った彼の名を呟く。
 触れるだけの口付けだった。何を意味するのかオビ=ワンは気づく。いや、ずっと前から見えないふりをしていた。アナキンが自分に向ける視線と情。そして、オビ=ワンも同じように思っていることを。
「このまま、何も言わないで。本当にそれでいいのか?」
 誰に言うのでもなく、オビ=ワンはぎゅっと拳を握り締める。
 本当はずっとこのままでいいと思った。言葉にしなくても、お互い想っていればそれでいいじゃないか。

 だから、彼の名を呼ばなかった。

 もし、呼んでいたら。

 きっとすぐに来てくれたのに。


-------------------------------------


 欲しいものが二つあった。

 たった二つだ。

 どちらかを―――僕は選べなかった。

 愛はもう、こりごりだ。

 暗黒面なら悩まずにすむのだろうか。
 愛する人を悩まずに愛せるのだろうか。

 どうしてあなたは
 同じ愛を持っていてもジェダイであり続けられるんだ。

「お前を愛していた」

 どうして、僕は気づかなかった?

 どうして、言わなかった?

 助けが欲しい。  誰かの助けが。

web拍手
fedibird>@cocoapoko
bluesky>@cocoapoko