あけみ
2026-06-09 22:06:50
13552文字
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【SW】僕と貴方と私と君【A/O】未完

20年前に執筆したアナオビをこのビックウェーブに乗るしかねぇ!と思い。大公開。
一部、加筆修正。アナキンとオビ=ワンの出会いと別れと再会の話。
なんと未完である。




 アナキン・スカイウォーカー16歳。オビ=ワン・ケノービー31歳。
 二人の歳の差は15。兄弟というほど近くはなく、親子というほど離れてはいない。
 そんな近くて遠い二人の距離。


 アナキンはオビ=ワンが好きだ。
 自分のマスターが嫌いなパダワンはいないだろう。それはあたりまえのことだ。
 けれど、オビ=ワンの前ではカッコよく見せたいとか。オビ=ワンに認めてもらいたいとか。オビ=ワンの意識を自分にだけ向かせたいとか。そんなことを思うのは、はたしてパダワンがマスターへ向ける情としてあたりまえのものなのだろうか?
 アナキンは先日、フェラスがオビ=ワンに何かを話しているのを見た。
 フェラスはアナキンと同じジェダイの修行生だ。成績優秀で、任務の仕事振りは評議会でも高く評価されている人間だ。ただ、アナキンはフェラスと折が合わない。言わば、ライバルといった関係だった。
 フェラスの目は警戒心でアナキンを見つめていた。アナキンの中にある何かをフェラスは注意深く見ているのだ。言いたいことがあれば面と向かって言えばいいものをと、アナキンは思う。フェラスの視線を無視し続けていたアナキンにとって、フェラスがオビ=ワンになにを話しているのかすぐに分かった。
 他人のマスターとパダワンの間に割り入り、勝手にでしゃばるフェラスに怒りを感じた。それだけではない。オビ=ワンが少なからず、フェラスを気に入っているのもアナキンは知っている。めったに褒めないオビ=ワンがフェラスの行動に関心の念を抱いているのをアナキンは何度も見た。そう思うとアナキンのイラ付きがますます大きくなった。

 この感情を示す名は――――嫉妬だ。


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「彼は危険です」

 フェラスにそう言われ、オビ=ワンは困惑した。けれど、決して顔には出さない。
 まだ修行生であるフェラスがジェダイマスターに直接言うことではなかった。他人のパダワンに対してこんなことを言うなど、普通ではない。それでもオビ=ワンはフェラスを厳しくいさめることはしなかった。
「アナキンはあなたをマスターとして以上に情を向けている」
 慎重にそして、注意深くフェラスが言葉にする。オビ=ワンは一瞬、何のことかと考えをめぐらせた。マスターに情を向けることは悪いことではない。互いの絆を深めるのはジェダイでは奨励されている。
……フェラス、それは一体……?」
 オビ=ワンの答えに、フェラスは開きかけた口を閉ざした。
……失礼しました。こんなこと私が言うべきではありませんでした」
 目を伏せ、フェラスは深く頭を下げる。その場を去るフェラスに、オビ=ワンは追いかける言葉を探したが見つからず、そのまま見送った。
……
 フェラスの言葉に思い当たるふしがあるのをオビ=ワンは否定しなかった。
 アナキンの時たま見せる視線が、熱を持っているのを知っている。父と子の愛よりも深く兄弟のように近くにあるものじゃない。オビ=ワンをそれを何と言うのかわからなかった。

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 アナキンは食堂で重たいため息をついた。
「どうしたんだい? 最近、元気ないな」
 隣にいるアナキンの数少ない友人トゥルーが顔を覗きこむ。アナキンは乾いた笑顔を向けた。
「いや、なんでもない」
 本当はトゥルーに聞きたいことがあった。マスターを独り占めにしたいと思ったことがあるのか? だとか。マスターに深い情を向けたことはあるか? というものを――聞けるはずなかった。
「こんにちは、御二人さん。隣、いい?」
 背後からかかる声に、アナキンとトゥルーは振り向く。そこにはアナキンとは対照的な笑顔を向けるダラがいた。「もちろん」とトゥルーが答えると、ダラは満足したようにアナキンの隣に座る。トゥルーとダラがアナキンをはさむ状態になった。ダラがチラリとアナキンを見ると、彼の皿にあるニンジンをフォークですくいあげる。
「ジェダイは好き嫌いしちゃいけないのよ」
「別に嫌いだから残していたわけじゃない」
 ダラはアナキンが残したニンジンを食べ、くすりと微笑んだ。その顔にアナキンはムッとしたが、次の彼女の言葉にギクリとするはめになる。
「マスターに対しても好き嫌いはしちゃだめだけどね」
 ダラはしれっとした顔で食事をした。トゥルーは何のことか分からずに首をかしげていたが、アナキンはまじまじと彼女の顔を見つめる。
「なによ。それで辛気臭いため息をしていたんでしょ?」
「どうして」
 アナキンは呟いてから口を閉ざし顔を歪めた。これでは肯定したのも当然だ。けれど、アナキンをよそにダラは真剣な表情でこちらに顔を向ける。
「マスターへの想いは自由よ。あなたはそれでいいのよ。ただ、執着はよくないってだけ」
……それが難しいんだ」
 アナキンはダラから目をそらす。
 好きな女性はいる。ずっと昔から愛している女性はただ一人だ。
 けれど、オビ=ワンに対する愛はまた違った形だとアナキンは思った。
 共に任務を遂行する中で、互いの信頼を裏切ったり距離を置くこともあったが、それでもアナキンとオビ=ワンは強い絆で結ばれていた。お互いの息の合わせ方も知っている。言葉などなくても気持ちを伝えるすべを学んだ。

 僕はマスターをオビ=ワンを愛している。
 けど、フェラスとオビ=ワンが一緒にいるところを見て嫉妬するこの感情も愛の一部だ。
 これはジェダイが抱いてはいけない感情だ。
 だって、これは執着と言うんだろ?

 アナキンは、何か恐ろしい過ちをおかすような気がした。
 こんなことで不安になるなんて、情けなかったがどうしても思わずにいられない。

 愛なんてもう、こりごりだ。
 重要なことなんて何一つない。悩みの原因になると知っているのに、どうして感じなければならないのか。
 執着を捨ててオビ=ワンを愛することなんてできない。
 アナキンはそんな恐ろしい事実に思い当たった。


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 任務も成功している。パダワンとの間にできた溝も修復できた。
 なのに、なぜだろう。
 オビ=ワンはアナキンとの間にできた新しい隔たりを感じてならない。彼の中に何かを押し隠している。それを追求してはいけないことはオビ=ワンも感じていた。

 このままでいいのだろうか。

 何かが、おかしい。
 フォースはなにも報せてくれない。けれど、オビ=ワンの直感がなにかを言っていた。
(直感か)
 普段は信じてもいないものなのに。こんなときだけよく口にできるな。アナキンに何度も言い聞かせたというのに。
 オビ=ワンは苦笑する。

 このままで、いいのか?

 アナキン?

 オビ=ワンは確実に成長していくパダワンの背に無言の問いかけを投げた。

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