四、帰潮
――海を見ました。
故郷とは違う海。私ははじめて、故郷の海の美しさを知りました。空の美しさも知りました。故郷とは違う海も美しいと思い始めました。
私は故郷に帰れない。あの海月と同じように。
過去の自分にも、照喜納であった自分にも、帰ることはできません。それは自然の摂理だけれど、私はずっと覚えている。目で、耳で、鼻で、肌で感じた海のこと、空のことを。
それらを思い出すたびにこの世界の美しいところも醜いところも抱えながら、こころだけでも帰ることができるのだと思います。
そう、私のとなりに居てくれる刀神が教えてくれた気がするのです。
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