いを
2026-05-27 18:35:07
2332文字
Public 刀神
 

潮月抄・第一幕

「帰潮」
青嵐


一、海へ

 空はただただ青く、海もまた空の色を映しだしてさざめいている。
 故郷の海も、ここの海も、場所が違うだけでたどれば同じ場所へと行きつくのだ。
 ここの海の満ち引きにふれると、ひどく冷たかった。故郷の海はまだ、温かかった気がする。私は冷たく刺すような潮風にも慣れた。浜辺を歩いていると、ときおり、流木や藻が足もとに誰かの落とし物のようにてんてんとしていた。