カレット
2025-09-24 20:44:00
5178文字
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アメリコ小話詰め合わせ3

アメリコやアメリコ前提のまとめ/大体111話の後に書いてるメガボルテージ編より後の話/何でも許せる方向け



夜の海を眺める




 パルデアの人けのない浜辺で、たびたび部下たちと接触した。通信は傍受などの危険が伴うので、情報共有は直接会ってすることにしている。俺のロトムの位置情報を仲間だけに共有しており、向こうが探しに来てくれる。
 今日も手数をかけてすまないと言えば、ジルもコニアも、とんでもないです、アメジオ様のご無事な様子を確認してハンベル様とクレイブ様に報告するのも大切な仕事です、と返す。それが心底やりたいことだと言うような、前のめりな態度で。部下たちの忠誠心は見上げたものだ。知らずのうちに表情が緩む。
 腕が落ちていないか見てやろう、とボールを構えた。ソウブレイズとアーマーガアと、サイドンとゴルダックとのバトルが始まる。手加減は無用と伝えたが、部下たちのバトルはまだまだ粗が目立ち、一方的な展開で決着した。要改善の要素を伝えると、ふたりは真剣な表情で頷いた。未だエクスプローラーズの末端に収まる彼らだが、戦ったポケモンたちを労る様子を見れば、ストロングスフィアに心が揺らぐことなど無いだろうという信頼が強まった。
 その後もソウブレイズとアーマーガアの打ち合いを見学していた部下たちは、夕暮れ時に拠点へと戻っていく。
 飛び去る部下たちを見送った景色には、おじい様の白いジガルデがいた。
 かつては対のような存在の黒いレックウザを独自に追っていた。ペンダントの任務から外された焦りを抑えて、少なからず憧憬や冒険心に動かされて。
 ジガルデは遠くの空を見ていた。あるいは世界の均衡を直に見られるのだろうか。
 同じ方向を向けば、瞬く間に、橙から藍へと空と海の色が変じていく。何とは無しに、その様子を眺める。季節が一巡りする間、あの島でしていたように。あの時と全く違う思いを抱きながら。

 寝起きしていた潜水艦の中で火は使えないため、温めたものを口にしたいときは浜辺で焚き火をしていた。とはいえ、きのみはいつも焦がしていたから、早い段階でそれは食事のためではなくなり、毎晩の習慣になっていた。炎はソウブレイズが生み出したもので、夜の海の色はアーマーガアを思わせる。焚き火の爆ぜる音、寄せて返す波の音、それらを感じることでも、堂々巡りの思考で疲弊した頭を休めたかったのかもしれない。
 なにせ、ラクアでのことは毎日思い返された。ギベオン様にかけた言葉を、返ってきた答えを、その後のバトルを、そして結末を、何度でも。そのひとつひとつに、もっと上手くやれていたらと、反省と後悔を塗り重ねながら。
 全ての色を重ねると黒になるのだと言う。目の前の吸い込まれそうなほどの黒い海は、怒り、悲しみ、諦め、羨み、その他多くの感情が目茶苦茶に混ざり合った自分の中身と大差無かった。
 それが、あの日に一変した。海を越えて部下たちがリコを連れてきた日に。真っ暗だった目の前は、ひのこの鮮烈な赤と、こちらを見つめる輝く空色で照らされた。なのに照らしてきた彼女は、かつて自分こそが照らされたのだと言う。他でもない俺の言葉に。
 目の前にもう道はないと思っていた。それは大きな誤りだった。いつだって道は歩いて切り拓いてきた後ろにしか無いのだ。その確かな後ろの道が、俺の前を照らし出した。

 夜の海を眺める。今宵の満月に照らされ、傍らに立つソウブレイズを思わせるその色合いを、心地よく思う。風が前髪を揺らした。今の長さは視界が開けていて悪くない。ふと手をポケットに入れていることに気づく。手が冷えるわけでもないのに。普段はこんな、不真面目なポーズは取らない。心許せるパートナーとふたりきりで息をつく、今だけだ。
 終着点は定まっても、そこへ行き着くまで先の見えない日々なのは変わらない。ジガルデのセル集めもまだ半ばで、己とポケモンたちの鍛錬に限りはない。それでも。夜の海を眺めれば、どこまでも優しく強い彼女の、白い手が振られていたのをありありと思い出せる。胸の内に再び灯された火を確かめられる。
 だから、もう少しだけ。夜の海を眺めていたい。


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ライジングアゲイン編OPとEDのシーンと、そこに乗ってる歌詞から