花筵シヂマ
2026-05-10 08:00:00
43083文字
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触穢(1~5)

触手持ち邪神父×神になった水×触手プレイ×小スカあり




 
 
 田中は不思議な魅力があるおとこだった。
 眼鏡の奥から覗く眼差しや、手招きする白い手の曲線も、なぜだか神である水木が少しも逆らえはしなかった。
 田中の背の蛇のような触手が水木の肉体を這い回るたび、味わったことのない快感に犯された。
 それは少しずつ水木に、危うい快楽を教え込んだ。


「誠にありがとうございます、この度は神様のおかげで長年の頭痛が消えました」
 年老いた母と共に訪れた中年女が、深々と頭をさげている。水木ははっと息を呑んだ。
 悩める相談者と対峙しているのに、水木の意識は部屋の片隅の衝立にあった。
 田中はそこに座し、ゆらゆらと扇子で風を起こしていた。
 田中の白い肌に、ほんの少し浮いた汗が鎖骨に溜まっている。その下にある胸筋が逞しいことを、水木はもう知っている。
 水木の視線を感じたのか、田中は人差し指を口元に当てた。
 恥ずかしい。
 これでは、早く抱かれたがっているおんなと大差ない。
 来客は会釈を繰り返し、さっさと部屋を出て行った。
 田中がゆるりと立ち上がり、水木の肩の羽織を正した。
「いけませんぞ、そのように儂を見ては」
 襟を撫でていた手が、悪戯に胸に入り込む。
「っ、ん……
 果実を摘むように、硬くなった乳頭を摘まれた。
「それとも内に籠った化け物が、儂を唆しておられるのか……
 田中の背から出てきた触手がするすると水木の太ももを滑る。そのまま柔い尻を触手が撫で回してきた。
 太い触手が熟れた雌穴に入り込んできた。欲しかった塊に尻肉が引き締まる。
「はぅっ……
 生温かい、人間ではない触手はゆっくりと水木の腸壁を蠕動する。人間の指などでは届かない場所を二本の触手が這う。
「ん、オッ、ぉ、おッ……
 内腿が震え、快楽を求めて足が開いていく。
 田中は目元を緩め、水木のからだから触手を抜いた。
 排泄感に似た感覚に、身震いをした。
 もう終わってしまうのか。
 物足りなさに田中の襟を握る。
「もっとしっかり、清めましょうぞ」
 田中はそう言い、水木のからだを抱き上げた。
 羽根を痛めないように布団を敷き、そこへ水木を寝かせた。水木は裾をたくし上げ、待ち侘びたとばかりに足を広げた。
 田中はそんな水木を揶揄しない。
 柔らかい太腿を手で押さえて、ふっくら熟れた雌穴に視線を落としている。
「たくさん清めておるのに、なんとまあ、禍々しいことか……
 触手がするすると、雌穴の縁をなぞる。
「あ、ぁっ……
 滑った触手が滑るたび、気持ちよさに、だらしなく雌穴がぱくぱく開く。
「はやく、たなかさん……魔のものが暴れて、ンッ……
 うるさいとばかりに太い触手が肉襞を開いて入ってくる。腸壁をくすぐる触手が、次第に増えていく。
「あ、ァッ、っ、ひ……ッ」
 触手が直腸の、手では届かぬどん詰まりを突く。
 淫らに勃起した水木の性器から勢い良く潮が飛ぶ。
「御方様はすぐ絶頂なさいますな」
「ふ、あ、だってぇ……ッ」
 別の触手が水木の着物を掴み、胸を曝け出す。
 膨らんだ乳頭が触れて欲しそうに硬くなっていた。
 よだれを垂らした触手がそんな乳をじっと見ている。
「あ、んっ、……!」
 たまらないとばかりに先端の割れた触手が水木の乳首にしゃぶりついた。強弱をつけながら器用におとこの雌乳首を吸い上げる。
「んっ、あ、ぁ、あ、いくっ、イくっ……!」
 からだを反らせながらそう叫び、あっけなく絶頂してしまった。
 田中の愛撫によってすっかり、胸は性感帯の一つになっていた。
 ぐっしょりと濡れた陰茎を見下ろして、田中は手で水木の竿に触れた。上下に扱かれるとぐったりしていた陰茎が芯を持ち出す。
「んく、ぁ、だめです、そこ、ぁっ」
「また果ててしまうからですかのう?」
「そ、ぁ、んっ、ぁあぁっ」
 亀頭を指の腹で撫でまわされ、返事をするように汁が滲みだす。
 奥が甘く疼き、腰を浮かせて擦り付けた。
 田中は今気づいたとばかりに大げさに反応した。
「おお、そうじゃったな、ここも触れてやらねば御方様はお辛いでしょう」
 おとこの冷えた指が肉の筒に沈み込む。ねっとりと絡む穴に田中の眦が下がる。
「御方様はさすが覚えが良い……すぐにでも迎え入れる準備ができておられる」
「んぅうぅッ……~~~!」
 指を出し入れされるたびにもっと硬い、もので穿ってほしい。
 水木が首を振ると長い髪がシーツにとぐろをまき、白い羽が左右に動く。快感を逃がすように羽根が水木を包もうとするが、押しのけるように田中が圧し掛かる。
 水木は力がほとんど入らない腕を伸ばし、田中の首に絡めた。引き合うように、唇が重なる。
 胸の奥が切なく疼き、甘えるようにおとこの下唇を擦った。田中は拒むことなく、水木の唇を吸い返してくれる。
「んふ、ぅ、ん」
 舌が離れていけばどうしようもなく寂しくなり、濡れた目で見上げてしまう。
「御方様……水木」
 ————水木。
 その単語が熱を持ち、陽光のように水木のなかに静かに光射した。
 神になってから、水木はずっと“御方様”であった。
 それ以外の何者でもない。
 白い髪を撫でながら、水木の火照った頬に田中が触れる。
 田中が静かに眼鏡を外し、隔たりをなくした目で水木を見つめる。
「水木、寂しかったのだろう。こんな場所で、たったひとり」
……さびしい……
 田中の言葉から逃げられない。反芻し、飲み下す。
「儂にはたくさんありのままの水木を見せておくれ……
「おれ、寂しかった……のか……?」
 熱い熱量が雌穴に触れた。
 田中の背後から伸びた触手が水木の頬にすり寄ってきた。
「可哀そうになぁ……背負いきれぬ期待で甘える場所を失っておったのじゃ。もう心配はない……
「ぁ、ぅ、ぅ……ッ」
 十分に熟れた雌穴におとこの欲望が入ってくる。先ほどの触手で濡れ切ったそこは難なく、おとこを咥え込んでいく。
 俺は寂しかったのか。
 寂しいからあのつり橋に行っていたのか。
 田中はその間も絶え間なく水木の頬に接吻を落としていく。
「そのように泣かずとも良い……
 田中の舌が眦をなぞっていく。いつの間に泣いていたのだろう。
 心地よいリズムでからだを揺らされて貫かれているせいで、在りもしない子宮が恋しそうに熱くなっている。
「ぁ、あ、ぁん、たなか、さ、ぼく、ぁ、んッ」
 田中の背に爪を立ててしがみつく。
 今までどこかで何かを探していた。
 それが目の前の田中なのかもしれない。
 田中の細腰に足を絡めてしがみつけば、緩やかだった律動が激しさを増していく。
 肌がぶつかり合い、広げられた腸壁が田中の陰茎に吸い付いていく。
「わかっておる……水木、ここから出してやろう」
「でも、ぼく、ぁ、かみさま、ひぃっ、んんっ!」
 硬度を増したおとこの欲がごりごりと前立腺を押しつぶした。
 つま先が跳ね上がり、田中の腰に絡んだ足に力が入る。
「そんなもの、辞めてしまえば良い」
 ゆっくり、時間をかけて極太い欲が腸壁を擦り上げる。
 まるで教え込ませるように、たっぷりと濡れた雌穴におとこの欲を擦りつけられる。
 田中に従うように、触手たちが水木の陥没した乳頭を強く吸い上げていく。
「ぅぅうゥッ~~———……!」
 吸われすぎて赤くなった乳首が粘液にまみれて触手の口から出てきた。
 気のせいかじんわり、白濁の液体が乳首から滲んでいる。
 気づいた田中が濡れた乳首を指で強く搾った。
「立派に乳も出て、もう雌になる準備はできておられる」
「は、ぇっ、あァアァッ……!」
滲むだけだった母乳が潮のようにびしゃびしゃと溢れ、平たい胸を濡らしていく。
むず痒いような快楽で思わず雄膣で田中のものを締め上げてしまった。
……っく……良く締まる……
 水木の足を掴まえた田中は腰を回すように振る。
「ぁあぁ———ッ!」
 締め上げることに夢中だった雌穴が、広がって緩んでいく。
 糸が切れた人形のように激しく揺さぶられて身動きが取れない。
 田中は短く太い息を吐きながら、水木というただの弱い雌に腰を打ち付ける
 無茶苦茶に揺れる視界のなかで悲鳴のように田中に叫んだ。
「ぁ、ォッ、おぅ、ぃ、あ、ぁっ、たなかさん、またい゛ッちゃう、ぅう……!」
 栓さえできない水木の陰茎がぺちぺちと間抜けな音を立てて粘液を垂らす。
 田中は返事すらせず、水木の白い髪を掴んできた。
 歯がぶつかるほど勢いをつけて口腔に太いものが入り込む。
 それが田中の舌だと認識するにはあまりに長すぎた。
「ん、ごぉ、ッ、うぶ……ぅぅ……ッ」
 ずろずろと咽頭に入り込む太い舌に鼻水が滲み、視界が白む。
 噛めもしない軟体はまるで陰茎に似て熱い。
 喉奥で口淫をするように頭を上下にゆすられ、じんわりと股間が熱くなる。
「ぅ、ぐぅうぅ……ぅうんん———~~!!」
 直腸の中に粘液を叩きつけられ、同時に喉奥に唾液を流し込まれた。
 水木の喉は反射的に、生臭い唾液を飲み干していた。
「う、はぁァッ……
 ずろっと抜けた舌が田中の口腔に戻っていく。濡れた下半身から田中の萎えた陰茎が抜けていくのが見えた。
 足を閉じる力も入らず、生まれたての小鹿のように足を震わせる。
「はっ、はぁっ、ん、………ゥゥッ」
 まだ陰茎が雌穴に入っているようでじくじくと疼いている。びゅるびゅると水木の陰茎から余韻のように精子があふれていった。
 開ききっただらしない下の口からも、田中の欲が垂れていった。
 一滴もこぼしたくない。
 小さな指で何度もあふれる粘液を押し込み、指先で腸壁に塗り込む。
「ん、ぁ、だめだ、出ないでくれ……んッ」
 くちゅくちゅとはしたない音を出して自慰の真似事をする水木の手を、田中がやんわり掴んだ。
「水木、儂の子をはらんでくださるか?」
「田中さんの子を……?」
 困惑する水木をよそに、田中は真面目に深く頷いた。
「さすれば、この村を出れる。神を辞められるのじゃ」
「でも、田中さんには……どなたかがおられるのでしょう?」
 今度は田中に動揺が走った。
 不可解そうに眉を寄せているので、疑念を静かにぶつけた。
「田中さんは、素敵な方ですから……背中の呪いを解いたら村を出て待っている方と一緒になるのかと……
 精液が絡んだ水木の手を田中の指が絡む。
「そのようなものはおりませぬ……ああ、以前とても薄情なものはおりましたが」
 田中の片目が急に温度を無くした曇り色になる。
 田中の腕が強く水木の腰を抱いた。窄まりからあふれた粘液が内腿を伝う。
「儂の心を弄ぶ、それこそ、悪の化身のような魔性で……あなた様はどうかそうは……ならないでください」
 田中の胸に誰かが住んでいた。
 それを考えるだけで胸が痛む。だが、水木はそんなやつじゃない。そんな風に田中を扱わない。
 田中の胸にしなだれながら、ゆっくり瞼を下ろした。
「それでどうすれば、僕は神で無くなるのですか」
 田中は待っていたとばかりに、とつとつと儀式の内容を語り始めた。



 田中と住むようになり、村長の絢爛が小屋を訪れる回数は以前より減った。
 村祭りを明日に控え、村長である絢爛が忙しいということもあった。
 そんな絢爛が祭りの際の装いを持って小屋に現れた。
 白い顔布と、白い着物、そして下着の褌だ。
 田中は相変わらず人の好い笑みを浮かべているが、絢爛はどうも田中が好きではないらしい。不快そうに顔を歪めている。
「おや……これは御方様の羽根じゃありませんか」
 絢爛が拾ったのは白い羽根だ。
 水木の背から生えているものと同じものだ。
 一枚だけではなく、何枚もの羽根が水木の足元に落ちていた。
「いつの間に……?」
 己の羽根に触れると気のせいか少しぱさついている。
 絢爛の表情は徐々に曇っていく。
「神通力を使いすぎておられるのでは? 控えた方がよろしいかと。しばらくの参拝者は控えましょう」
「すまないな……
 確かにひっきりなしに悩みを抱えた人間が来る。だがさほど神通力など使っていない。ただ話を聞いて手をかざし、羽根を見せるだけで勝手にありがたがるのだ。
 絢爛がしゃがんで羽根を拾おうとすると、田中が先にしゃがんでいた。
 拾った羽根を回して、品定めでもしているようだ。
「これ、貴方。それは御方様の大事な羽根なのですよ」
「おお、すいませんですじゃ。お返ししますじゃ」
 わざとらしく田中は絢爛の手に羽根を乗せる。憤慨していた絢爛はさっさと羽根を集めて小屋を出て行った。
「おかしいな……羽根が抜けるだなんて……
 しきりに背中に触れる水木を気遣うように田中が肩に触れた。
「きっと、御方様は生まれ変わられるのじゃ」
 眼鏡の奥で田中が怪しく笑う。
 その笑みの意味も分からず、水木は特別な感情を抱き始めたおとこの胸にしなだれた。


 祭りの前夜、宵宮が行われた。
 村の子供たちが水木の小屋の前に作られた神楽舞台の上で舞い踊り、お供え物を並べていく。
 小屋の前の松明の火花が散って小さな破裂音が響いた。水木は少し顔を顰めて小屋の戸を閉めた。
「何かあったのか?」
「いや……どうにも、あの火が爆ぜる音が苦手なんだ」
 田中は囁くように、水木の欠けた桜の花びらのような耳元で囁く。
「銃を思い出すから?」
 首根っこを摘ままれたように、田中を見上げた。田中は相変わらず、感情の読めない微笑を浮かべる。
「祭りの流れをもう一度教えてくれんかのう……どうにも忘れっぽいのじゃ」
「あ、いいぞ」
 微かに感じた違和感を拭うように水木は口を開いた。
「祭りは早朝に俺が滝で身を清めるところから始まる。それから小屋の前の神楽舞台で神楽と、舞が行われ、それがすめば村人たちは村に出ている屋台に行くだろう」
 水木はその間、この小屋にお籠もりをする。お籠もりとは名ばかりで、ただ小屋のなかにいるだけだ。
「ふむ、中は誰も改めに来ぬのじゃな」
 田中は顎を撫でさすりながら、急に小屋の戸を開けた。
 薄曇りになって気づかなかったが、見事な三日月が出ている。
「明日は三日月か」
 そう呟いた田中の声に抑揚はない。
「なら、儂が教えた通りのことが誰にも邪魔をされずに出来るのう……
 背の高い田中がしゃがむことなく、静かに水木を見下ろした。逆光になり、表情が読みにくい。
 水木の肩に重荷が乗っかる。それが田中の手だと理解しているのに、岩のように硬く感じる。
「あ、ぁあ……そうだな」
 田中に言われた言葉が過る。
 祭りの最中にこの小屋で、田中の行う儀式を受ければ水木は村から出られるという。
 詳細は聞いていない。ただ、毎日受けているあの行為と同じことをするのだろう。
 田中の膝が水木の股を割って入る。驚いて腰を引いても田中に肩を掴まれて動けない。
 膝頭が強弱をつけて水木の股を擦り上げる。
「ぁっ……
「もっとお喜びなされ。ようやくこんな重圧から解放されるのですぞ……五年。長かった……
 田中に抱かれ、水木は何かが引っかかっていた。
 それは頭の中で揺れ動き、落ちることなく、ぶら下がり続けていた。


 祭りの朝は姦しい蝉の鳴き声で目が覚めた。汗ばんだからだを一刻も早く流したい。
 隣の田中はまだ眠っている。珍しい、いつも早く起きるのに。
 起こさないように小屋を出ると、先に絢爛と他の村人が待っていた。会釈だけし、森の中を草履で進んでいく。
 歩きなれた森でも時折足を滑らせそうになったが、何とか滝までたどり着いた。白い着物を身に着けたまま、水の中に足を沈めた。
 川の水は足を芯から凍らせる。まだ人間じみた感覚が残っているのかと思うと面白くもあった。
 滝にからだを預け、俯いて手を合わせた。
 石礫のような水が頭を打ち、水木の記憶を揺さぶった。
 過るのは、田中のことばかりだ。
 昨年まではこうではなかった。
 村人のことばかりだった。
 ————俺はなんて欲深な……
 水木を頼ってくる村人や村の外からくる参拝者の笑みや安堵の表情が浮かぶのに、すぐにかき消されてしまう。
「御方様」
 絢爛の声が良く通って聞こえた。弾かれて顔を上げて滝のなかから這うようにして出た。ずぶ濡れになった肉体を擦りながら岩肌に足をかける。
 用意していた別の羽織を水木に掛けた絢爛は、異変に少しも気づいていない。
 穢れを落とすための神事なのに、からだから田中が出て行かない。
 きっとまだ、魔のものが水木のなかに蔓延っているのだ。
 夢の中を歩くように、水木は小屋に戻った。絢爛たちは村に行ってしまったので、お供えや神楽の準備に追われるのだろう。
 水木は濡れた浴衣を脱ぎ、あらかじめ準備していた褌を手に取った。
 真新しい浴衣を身に着けるころにはすっかりと髪は乾いている。
 絢爛が運び込んだ鏡台の前で白い顔布をつける。
 一息つく頃には小屋の戸を叩くものがいた。朝餉だろう。
「儂が」
「田中さん、起きていたんですか」
 いつの間に起きていたのか、田中が膳を受け取ってくれていた。
 いつもは会話があるのに、静寂に満たされた空間で朝餉を口にした。視界の端に、田中が敷いている布団が見えた。
 褌で締め上げた場所が、疼いてしまう。
「楽しみですのう」
「えっ」
「祭りが」
「祭り、ああ、はい。そうですね」
 我ながら邪念の塊だ。味噌汁を慌てて流し込んだせいで、舌を少し火傷した。
 

 太鼓の軽快なリズムが小屋の戸を開けるように誘う。
 水木が進んで出れば、神楽舞台の上で鬼面と翁面を着けた少年が剣舞をしていた。
 銅拍子を叩く少年はまだ幼い。母らしい女性が袖をまくり、太鼓を叩いていた。
 大きく腕を振りかぶり、一心不乱に太鼓を叩く女の形相は鬼気迫るものがあった。
 やがて女の掛け声とともに、舞は終わりを迎える。水木の傍らにいた田中が善人らしく拍手をしていた。
 次いで女の着物を纏った少年が現れる。方々を気にしながら、何かを探しているようだ。
 やがて女が何かに驚いて口元を押さえる。白い着物を着たおとこが身をくねらせて現れた。
「なるほど、この神楽はこの村の民話や伝承をなぞらえておられるのですな」
 水木より先に絢爛が反応を見せた。
「お分かりですか」
「あの娘は、あの生き物を殺めるのでしょう」
 田中がそういえば、女は懐から短刀を出しておとこに突き立てた。無論、フリだが、警鐘のように銅拍子が鳴り響く。
 白い男は倒れ伏し、代わりに被衣していた赤い着物を投げ捨てて、おんなが真っすぐに立ち上がった。
 その目元は赤く縁取られている。
「一つ分からぬのはあれは、神を殺したのか? それとも別の生き物かのう……
 絢爛の表情から喜色が消えた。紙のように色を失っている。
「よそ者には知る必要のないことです」
 絢爛は田中を一瞥して口を閉ざした。
 おんなは蝶のように舞い踊っていた。いつの間にか倒れていた白い男は、いなくなっていた。
 

 神楽を終えると村人はぽつぽつと小屋から離れていった。
 絢爛が最後に水木のほうに向きなおり、深々と頭を下げる。
「それでは、私たちは御暇いたします。舞台のほうは明日、片付けに参りますので」
 絢爛の姿が、夏風のように村へと消えていく。それを待っていたように、田中が静かに立ち上がった。
 水木には何の声もかけずに静かに小屋の中へ消えていく。
 水木も慌てて小屋に入り、戸を閉めて閂もかけた。薄暗くなった小屋を一本の燭台が照らす。田中は布団の上に正座し、眼鏡を外していた。
 ゆっくりと肩から浴衣を落とせば、その背からあの触手たちが這い出して来る。床をずるずると這うと、先端が割れて開いた口の中からぎょろりと赤い目がこちらを見ていた。
「早う」
 呟くように田中が言う。水木は見ていない、正面の鏡台だけを見ている。
 音をたてないように、床板を踏みしめる。羽織を脱げば薄い襦袢だけになる。田中の大きな、掌が無造作に水木の胸に触れた。
 大きさを確かめるように下から揉みしだく。
 やわやわとした手つきに気をとられていると、尻に触れる手に気づかなかった。
 尻肉を撫でまわし、尻の割れ目に食い込んだ褌の紐をなぞる。
 「ほう……
 薄布越しに弾けそうなほど張り詰めた尻を掴んでは、離される。
 まるで餅を弄ぶようだ。
「随分と魅力的なものを身に着けておる」
 触手が水木のからだを検分するように這い、ぬるついた体液を絡めてくる。
 顎を撫でまわされて目を閉じると田中の舌が絡まってくる。粘っこい唾液を交換するように舌を擦り付けあう。
「ふ、ぅ、う……ッ」
 きつく縛った褌のせいで窮屈そうな陰茎が布地を押し上げて勃起している。
 田中はそれを知ってか知らずか、水木の桃尻と胸を揉みしだいて触れてくれない。
「ん、ぁ、ア、ッ!」
 尻の間に食い込んだ褌を引っ張られ、きゅんと雌穴が締まった。狭い空間のなかで陰茎が弾け、しっとりと布地を濡らした。
「は、はっ、はぁっ」
「相変わらず早いのう……助平な神様じゃ」
 水木の足に絡んだ触手が先端で吸盤のように吸い付いてくる。内腿や手に鬱血が刻まれていくが水木は気づかない。
 触手が残した体液が絡み、襦袢が肉体に張り付いていく。硬くなった乳頭が襦袢を押し上げてくっきりと形を見せていた。
「弄りがいがあるのう」
 指でひっかく様に乳首を弄られた。胸を見せつけるように突き出し、「ぁ、あ、ぁっ」と声にならない喘ぎ声をあげた。
 そのせいで尻を突きだす格好になり、襦袢の隙間をかいくぐった触手が尻と褌の間を滑る。
「ひぅっ」
 尻と褌で陰茎を擦るように触手が自慰をしている。ぬちゅぬちゅと擦れ合う音が響きあい、それに興奮したのかもう一匹の触手が水木の内腿を滑った。
「ぁ、あ、ぁ、だめ、ア……ッ」
 褌の隙間から膨らみを撫でまわすように這いずり、やがて布の隙間に入って陰茎に絡む。
 意地悪い田中の眼光が熱を帯びた。
「人ではないものに犯されて随分と嬉しそうじゃ」
 びんびんに勃ちあがった両方の乳首を田中の指が摘み、開いた口で舐めしゃぶられる。
「ぁ、ぅっ、たなかさ、ぁ……ッ、イく、いぐっ……!」
 雌穴に、吸盤のように触手が吸い付いた瞬間、またしても極めてしまった。
「みずき、口をお開け」
 髪をひかれて上向かされ、田中が出した舌を受け止める。
「ふぁぃ、ん、ちゅ、んんっ」
 舌の先端を吸い上げて唇で挟んで扱く。濡れそぼった褌の紐を解かれ、蒸れに蒸れた陰茎を出された。下生えに精液がこびりつき、ぐったりした陰茎が横たわっている。
 胸を押されて、布団の上に倒された。
 仰向けになった水木のからだを勝手知りたるとばかりに触手が検分する。
 精液のまとわりついた陰毛や陰茎を触手が割れて出てきた細かい触手たちが触れたり絡めたりして遊ぶ。
 じっとりとして濡れそぼった窄まりを田中の人差し指が入り込む。田中だけのために熟れたそこを、綻ばせていく。
「あ、ん、ンッ、ふ……
 たくさん教え込まれた窄まりは前立腺をなぞられるとそれだけで反応して収縮する。勃ちあがって腹に立った陰茎が芯を持ち先走りを溢す。
「水木は儂の前では神でなくても良い、ただの人間になってしまえ」
 中指が前立腺を押し上げて刺激した。
「ア、っ……ぅうっ……〜!」
 おんなのように潮を吹いて悦んでしまう。
 大股を開いて余韻に震えている水木の前で、田中は己の欲望を取り出してくれた。
 水木は生唾を飲んで舌で唇を舐めあげた。ひくついた穴倉に、田中は陰茎を扱きながら押し付けてきた。亀頭が襞口を擦るだけで、大げさな声が出てしまう。
 その間も水木の膨れた乳首を両手でほじられる。
「おっ、んおぉっ……!」
 硬い他人の欲望を恍惚な眼差しで見続けてしまう。
 張り出した亀頭、太い幹、同じ雄なのに田中の前だと水木はただの雌になってしまう。
「最初は狭かったここも、良く熟れた肉風呂になったのう」
 結腸口まで容赦なく突き上げられ、呆気なくまた果てた。薄い色になった精液が臍に垂れていく。
「ぉっ、おぉっ……〜〜ーー!」
 こんなの。
 こんなのは、おかしくなる。
 放心状態で果てる水木をよそに、田中は容赦なく腰を打ち付ける。水木の痴態に興奮した触手たちが先端から粘液を垂らしながら腋の間に入ってくる。
「ひ、あ、っ、あ、んうぅっ!」
 まるで陰茎を擦り付けるように太い触手を腋で扱かれる。ひっきりなしに粘液を吐く触手が水木の丸い頬を濡らしていく。
「随分と良いみたいじゃ……羽根が出ておるぞ」
 水木の背中からいつの間にか羽根が出ていた。白い羽根がはらはらと桜のように散っている。
「じっくり見たことがないゆえに、見てみたいのう」
「あ、え、あぁあ……ッ!」
 水木の手首を掴み、田中の上に馬乗りにさせられた。大きな羽根が慌てふためき、羽音をたてる。
 焦点の合わない水木の顎を掴み、首に歯を立てられる。
 いつもより硬い質量を感じ、下から容赦なく突き上げられる。大きな尻肉がぶるぶると震え、形を変えるほどに田中の手が揉みしだく。
「あ、あん、ゃ、おっぱい、吸わないでくれ……ッ」
 触手たちが、ぢゅっ、ぢゅっ、と汚い音をたてながら水木の肥大した乳頭を吸い上げる。
 粘液まみれになった肉体はてらてらと光り、発情した肉体を魅力的に魅せていた。
「水木よ、儂の他のものもお主に種を仕込みたいと言うておるぞ」
「ひ、あ、ぁ、なに、っ」
 二本の触手たちがうぞうぞと水木の眼前に迫る。先端がくぱっと割れた触手たちは、唾液のように粘液を垂らしている。
「むり、むりだ、もう、俺のなかはいらない……
 田中の欲望を埋め込まれた水木の雌穴は限界まで広げられている。
 田中もわかってくれるだろう。
 双眸に涙を溜めながらもう一度田中を見上げた。
 田中は、満面の笑みを浮かべ、水木の眦から涙を拭き取った。
「大丈夫じゃ、……手伝ってやるから」
 そういうなり、無情にも田中の手が水木の尻を左右に割開いた。ぐぽっと開いた淫らな雌穴に、するすると蛇のような触手が入り込む。
「ひ、ひぎぃっ……!」
 田中の陰茎に絡まるように入った触手たちは、好き勝手に動き回る。田中の陰茎とは違い、形の変わる触手は、腸壁を這い回り、粘液を吐き出してはもっと奥へ行こうとする。
 結腸の奥。
 何にもない腸のなかへ、どぷどぷと何かを産みつけていく。
「う、くっ、ふぅうっ、……
 生ぬるく粘った粘液は田中の陰茎に絡み、動くたびに敏感な腸壁に塗りつけられていく。
「堪らぬなんと心地よい肉の穴倉じゃ……
「アッ、おっ、おおぉっ……!」
 水木の胸に顔を埋め、田中は肩甲骨に手を伸ばす。その手が羽根を鷲掴んだことを、水木は気づかない。
「この邪魔な羽根……なんとも恨めしい……儂の水木は天へなどやらぬ……
「お、っ、ふぅっ、う、うあ、ぁッ」
 雌穴から陰茎で掻き出された粘液が溢れ出る。
 粘っこい液体のなかに透明な卵のようなものが浮いていた。
 動き回る触手が何度も液体をびしゃびしゃと撒き散らす。
 薄かった腹がぱんぱんに膨れ上がり、臍がだらしなく広がっている。ひっきりなしに雌穴から粘液が溢れ出していた。
「あ、ひ、うう……っ、おなか、ぐるし……ッ」
 しかし田中は労わるどころか、ふっ、ふっと短く息を吐き欲望を突き立てる。
「水木よ、まだ儂は終わっておらぬが……
「ひぐぅっ!」
 触手が陰茎にまとわりついたせいで、歪に形を変えた陰茎が腸壁を抉る。前立腺が押し上げられ、精嚢を擦られた。
「あ、あ、う、うっ、でる……ッ」
 水木の陰茎から大量の潮が吹きこぼれ、田中の陰茎を強く締めた。田中は、水木の羽根に勢いをつけて噛み付いた。
「ッ、あ」
 痛みよりも腹の中を逆流しあう粘液と精液で腹が破れそうに苦しい。鼻汁を流して震えながら、腹に注がれるのを堪えるしかない。
……ではない」
 呟くような声だった。
 暴力に似た行為に意識も朦朧としたまま、もう一度、耳を傾けた。
「田中ではない。……儂は、ゲゲ郎と言う」
「げ、……?」
 妙な名前だ。
 まるでセンスというものがない。
 適当に考えたのだろうか。
 口元が緩んで、だらしのない笑みが浮かんでしまう。
 鼻水を垂らし、ぼんやりした目で笑う水木を田中ーーではないおとこは目を丸めてみていた。
「随分と惚けておる」
 水木を仰向けに寝かせ、萎え切った陰茎を抜いたゲゲ郎は肩を揺らした。それは次第に、引き攣るような笑みに呼応していく。
 どうしたのだろう。
 体を起こして、麻痺したように感覚がない背中に触れようとした。
「ンッ、……あ、……ッ」
 窄まりに出された液体が縦に割れた雌穴から溢れる。
 白濁の精液とともに、透明の卵が浮いた液体が混じり合って溢れていく。
 ーーー人じゃない、何かに腹の中に出された
 冷静さを取り戻していくうち、なんてことをしたのだと混乱が並みのように襲う。
「はは、はは、ケケケッ」
 妖怪のようにからだを揺さぶり笑うゲゲ郎の口元が裂けたように三日月を描いている。
 人、ではない。
 触手たちがゲゲ郎の背で蠢いている。
 水木は震える手で後ずさるが、触手たちが水木を羽交締めにした。もがけば、触手が羽根に噛み付いた。
「うぎゃあ、ぁあッ……!」
 声にならない悲鳴が出て身悶える。羽根がばらばらと抜け落ち、黒血が床板に点々と落ちていく。
 倒れ伏した水木の前で、ゲゲ郎は己の左半に爪を立てていく。皮膚が裂け、赤い血が縦断していく。
「今宵は三日月。片目に傷さえつければ、儂とて神になれる」
 喉の奥が熱くなった。
 水木は今や神通力は使えない。たっぷりと精液を注がれ、犯されて穢れてしまった。
「最初から、……神になるつもりで……俺を……騙したのか……!」
 悲鳴のように叫べば、ゲゲ郎は己の股ぐらから萎えた陰茎を出した。
「これに縋ってひんひん泣いておったのはお主自身じゃ」
「ち、ちがう……!」
 陰茎で冷たく頬を叩かれる。みたくないのに、悲しいかな体はゲゲ郎を覚えて欲しがっている。
 噛みつこう、と口を開ければ、ゲゲ郎は舌を出して尿をかけてきた。
 水木の体に浴びせるように黄金の水が叩きつけられる。惨めで、情け無い。愕然と倒れ込む水木にゲゲ郎はしゃがみ込んで目線を合わせてきた。
「まだ終わらぬよ、ちゃんと……堕としきらぬとな」
 部屋の隅の桶を触手が加えて水木に水を浴びせかけた。ぐっしょりと濡れた水木のからだを、ゲゲ郎は乱暴に布団に投げ捨てた。


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