花筵シヂマ
2026-05-10 08:00:00
43083文字
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触穢(1~5)

触手持ち邪神父×神になった水×触手プレイ×小スカあり




 
 朝霧に包まれた村の中を歩き、山の外との境界線を目指した。
 この神也村と下の村を繋ぐ赤いつり橋は、今日もその先が霧がかかっている。
「もう五年か」
 霧の向こうにある村に、何度か行こうと思った。
 しかしその先に進もうとしても霧が濃くなり、一歩も進めないまま来た道を戻ってしまう。
 まるで結界があるかのように何かに拒まれていた。
「御方様。またこちらにいらっしゃったのですか」
 すっかり水木の片腕になった村長の絢爛が、水木の羽織を手に立っている。
「ああ、すまない」
 黒い羽織の背中には黄金で羽根を広げたような刺繡が施されている。
 水木が神になってから絢爛が誂えさせたものだが、羽根の"隠し方"が分かってからはこの羽織も重宝している。
「御方様に治して頂きたい迷い子たちが今日もお越しですよ」
「そうか、なら早く戻らねばいけないな」
 水木は神通力を得てから今では村人に治癒術を使った治療も行っている。
 たまにこの霧の橋を渡って治療を欲する外部の人間が来る。どうやって渡ってきたのかは分からないと皆、口々に言う。
「きっと選ばれたのかもしれません」
 その通りだろう。
 この村に来る際も山の下の住人にそう言われたのだ。
 水木はこの村から出ることは許されていない。
 頭では理解しているのに、足は自然と外の世界を求めて向かってしまう。
 往生際が悪い。
 絢爛が用意してくれた小屋は山の中にある。来客を治療するための山小屋だ。
 質素でいいと言えば、せっかく誂えたので作ってくれと蝶の透かし彫りがされた四連の衝立を運んでくれた。
 おんなでもあるまいし必要性はないと思っていたが、水木の治癒目的で来る中には年頃の女性もいたので今はとても活用している。
「こちらの田中と申すものですが」
 絢爛が小屋の戸を開けると衝立の前に座ったおとこは平伏しているのが目に入った。
 座高が高いので上背はかなりあると思えた。
 おとこは栗色の髪をしており、左目を髪で隠している。さらに眼鏡をかけていたので随分と目が悪いのだと察した。
「住んでいる村である呪いにかかったというのです……さ、お見せなさい」
 おとこは静かに着流しを脱ぎ、肌を曝け出した。剥き出しになった艶めかしい背中の曲線に思わず邪な妄想をしてしまった。
 その背には黒い六頭の蛇が絡み合う姿が刺青のように彫られていた。
 彫ったというよりは、閉じこめたと言った方が良いだろう。触れればその蛇が這い出してくるほどの禍々しい気を感じた。
「御方様、この蛇は、退治できますかのう……
 年を重ねた老人のような口調だ。
 誰かに——似ている。
 しかしそれが誰かのか、薄ぼんやりとしか思い出せない。
 眼鏡越しの田中の片目は血のように赤い。
 心臓を鷲掴みにされたようで恐ろしくなり、後ずさりした。
 「これは時間が掛かりそうだ」
「何と、やはり邪悪な……!」
 絢爛も怯えて恐怖に顔を歪めている。村人への危害が気になった。
 絢爛にこの小屋に誰も近づけないようにと話し、この田中に付きっきりで祓うと話した。
 絢爛が出て行くと田中はいそいそと背中の蛇を隠した。
「有難うございます。この背中の蛇はとんでもない存在でしてのう……今まで祓おうとした術師を皆……
 田中は震える唇を噛み、静かに涙を零し始めた。
 何とも憐れなおとこだ。
 仔細は知らないが、恐らく村からも爪はじきにされて逃げてここに来たのだろう。裾が擦り切れた着流しや手指の爪の長さを見るに、そう感じた。
「腹は減ってないか。俺と飯を食おう」
 絢爛に頼んだ通り、質素だが白米と芋の煮物、味噌汁を二人分持ってきてくれた。
 田中は喜び、箸を進めて食べていた。まるで子供みたいに米粒をつけているので取ってやれば、再び田中は涙を流した。
「どうしたんだ?」
「昔……儂には大切なものがおったのじゃ……そのものを思い出してのう……
「もう、会えないのか」
 田中は静かに頷いた。
 「そうか……この術が解けるまで俺が傍にいてやるからな」
 田中を抱きしめると、躊躇いながらも田中は抱きしめ返してくれた。
 今まで何人もの村人や外部の人間と触れ合ってきたのに、田中に触れると何やら妙に胸がざわつく。
 可哀想な身の上に、同情しているのかもしれない。
 水木のこの感情は、日を重ねるごとに増していった。
 田中の着流しを洗ってやったり、田中の村での出来事を聞いたりしているうちに、久しぶりに絢爛や村人以外の人間との話が面白く感じた。村の外の出来事は特に甘美な夢のようだった。
「御方様はこの村から出られないのかのう……
「ああ、俺は……この村の神だからな」
「不思議じゃ、御方様はどうみても人間に見える」
「はは、じゃあ俺も見せてやるよ」
 長い髪を束ねた水木は田中に背を向けた。
 帯を外し、着流しを脱ぎ、背中を剥き出しにした。
 肩甲骨に隠していた羽根を静かに広げると、田中が息を飲むのが聞こえた。
 普通は不気味だろう。だが田中は、震えながらこう言ったのだ。
「なんと美しい……綺麗じゃ……
 水木の羽根を撫でながら言うので、くすぐったいような心地になった。
 純粋な褒め言葉ほど嬉しいものはない。
「それに比べて儂の背中は、呪いじゃのう……
 振り向いて、俯く田中の手を握りしめた。眼鏡がずり落ちてしまっており、赤い片目を涙が浸している。
「そんなことはない。お前の呪いは解ける。お前は醜くないぞ」
「嗚呼、神様……
 水木に縋りつき、膝で泣きじゃくる田中の髪に指を入れる。田中のからだは大きいのにまるで小さな子供のようだ。
 散々泣いていた田中を慰め、布団を敷いてやった。田中と共に眠るのも何度か繰り返すうちに慣れてしまった。
「さ、寝よう」
 部屋の燭台の灯りを消して布団にくるまった。田中が小さな声で有難う、と言ったのを聞きながら水木も眠りに落ちた。



 灯りが全て消えて水木の寝息が聞こえ始めたのを確認し、ゲゲ郎はからだを静かに起こした。
 この村に入るのは骨が折れた。
 いつも忌々しい霧がかかっている橋を蛇を使って煙を吹き払い、髪の色を変え、村人には別の人間に見えるように幻術を見せた。
 念のために眼鏡も掛けてきたが驚くほど水木はゲゲ郎に気付かなかった。
 やはり覚えていないのだろう。
 這うようにして水木に近づき、そっと布団を捲り上げた。肌寒いのか丸くなり、浴衣を羽根が押し上げている。
 気を抜くと羽根が出るのだろう。
「ようやく会えた……水木」
 ゲゲ郎の背中から這い出した黒い蛇たちが水木の剥き出しになった足に絡んでいく。
「ん、んん……
 蛇たちの体に切れ目ができたかと思うと赤い眼が開いてきょりきょろと周囲を見渡している。
 ゲゲ郎と同じ目だ。
 水木の柔肌を這いまわる蛇たちが胸を這い、首に絡み、顔を這う。
 神だと崇められるおとこの、肉体を貪っている。
「んぅぅっ……
 黒蛇が水木の口に入り込んだ。
 息苦しそうに眉根を寄せた水木の眦に涙が浮かんでいる。
 ゲゲ郎は思わずその蛇を鷲掴み、引き離した。
 蛇が威嚇に舌を出して来るがゲゲ郎が睨めば萎縮してしまう。
「儂のものじゃ。触れるな」
 ゲゲ郎は自らの舌を出して、水木の唇の形をなぞる。
 散々と足では弄られたが、この唇をまだ貪り尽くしていない。
 赤い舌をじっとりと水木の口腔に沈める。
「んふ……
 唾液を絡めて口づけるうち、興奮した触手が粘液を滲ませる。
 肉づきの良い太腿を這う触手が股を擦ると、水木のからだが小さく跳ねる。
「んぅ……は、ぁっ、ん、む」
 水木の短い舌を吸いながら、触手から溢れる粘液を擦りつける。
 滑った水木の肌を見ているうち、我慢が効かなくなってくる。
「水木……何と甘い舌じゃ……
 剥き出しの乳頭に近づいた触手——蛇が口を開けると歯の代わりに細い触手が生えている。
 吸盤のように乳頭に吸い付くと、じゅっ、じゅっと執拗に吸い上げる。
「は、ひ……ぁ、あぁん……
 もう片方の乳頭も指で撫でまわし、搾ってやる。
 水木の浴衣の前を触手がめくり上げると、そこは恥ずかしいほどに勃起し、粗相したように濡れている。
「いやらしいお汁を沢山漏らして、我慢しておったんじゃな」
 触手を使って下着を下げ、顔を出した陰茎に触手が絡む。
「ぁ、あぁっ、ひ、ぅう……ッ」
 腰が引けていたが、次第に擦りつけるように突きだしてくる水木は起きる気配はない。
 唾液に催眠効果のあるものを混ぜていたのだ。
 朝まで起きないだろう。
 触手たちはひっきりなしに洩らしている水木の陰茎に食らいつこうとしていたが、ゲゲ郎自らが唇を寄せた。
「さぁ、たんまり出すのじゃ……明日からは儂もお主に注がせて貰うからおあいこじゃよ」
 ゲゲ郎の舌の先が二股に割れ、ちろちろと誘うように亀頭の割れ目をなぞる。
 そのまま喉深くに飲み込み、舌でなぞりながら口淫を繰り返した。
「ァ、ヒ、ぃ、いっ、ぁあ~~———……!」
 涙を流して絶頂した水木の精液はとめどなく溢れ、だらしなく開いた口の中の舌が小さく痙攣している。
 精液を飲み干しつくし、水木の小さな舌を白濁で汚れた舌で舐め上げた。
 汗ばんだ前髪を撫で上げながら、後頭部を押さえて深く口づける。
「は、ふ、ぁ、ん……
 快感で敏感になった水木の肉体は口づけする度に射精している。
 何と快感に従順なのだろう。
 触手で絡め取った肉体を、触手と共に抱きしめる。
「気が付く頃にはお主はもう、神などではない」
 黒い触手が甘えるように水木のからだを這いまわる。
 指に触れた羽根を、引きちぎる日が待ち遠しかった。