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無窓居室
2026-04-20 03:56:35
7617文字
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Pixv投稿企画
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雪(Pixv執筆応援プロジェクト12月)
👦の背中を押すために👹に電話をかける😈で終わる予定の話だったんですが予想外に長くなってしまいました。
カテゴリ一つしか登録できないので👦👸タグですが後半は😈👹です。
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冬休みの直前で学校は短縮授業になっていた。窓の外には夏と違う形の雲が真珠色に光っている。
家に着いてからというものずっと、さとしはスマホの電話帳を開いてはある番号を眺めて溜め息をついていた。そして電話帳を閉じてはまた開き、もういちど溜息をついて
……
。
「ひめちゃんの携帯番号をそんなに見つめて、何するつもりなんです?キモいですね〜www」
挙動不審を見かねたと言わんばかりにブラックが笑う。いきなり背後から声をかけられ、さとしはベッドから飛び上がった。
「いきなり何だよ、ブラックに関係ないだろ!」
「仮にも共同でチャンネルを運営してる相手が編集室で奇行にふけっていたら目障りでしょ?」
「俺の部屋を勝手に編集室にするなー!!ってか仮あつかい!?」
つつけば無限に中身の無いリアクションを続けそうなさとしに、ブラックは呆れた調子で問いかける。
「電話したいならすれば良いじゃないですか、何をためらってるんです?」
「な、何ってさぁ
……
」
「よっぽど後ろ暗い考えでも」
「ないわッ!!
……
いや、な
…
ない、と思うけど
……
」
つまりはこういうことだ。今日はクリスマス。小学校5年生ともなれば前夜にもらったプレゼントの興奮も半日でどうにか通常の嬉しさの範囲に収まり、放課後にはなんとなく特別なことをしなければいけないような落ち着かない気分だけが残る。
女子が誰と誰がデートするらしい、どんな人と過ごしたい、と面白半分に盛り上がるのはほとんどファッションだが、それを真に受けるさとしのような影響されやすい男子は哀れなもので、憧れのひめちゃんにデートを申し込むべきか否かを考えて帰り道は気もそぞろ。帰宅してからもそのことばかり考えているのだった。
「一年に一度のクリスマスだもん、俺はひめちゃんと過ごしたい!」
「完全に一時の雰囲気に乗せられてますね〜」
「でもひめちゃん去年もクリスマス当日まで塾で勉強してたくらいの頑張り屋だから迷惑になりたくない
……
。それにもし予定が空いてたとしても、ひめちゃんは人気者でもう他の誰かと約束しちゃってるかもしれないし、断られたら恥ずかしいし、ショックだし
……
」
「カカカッ!考えは軽いのに腰は重いんですね」
「じーっ」
カメラちゃんと共にひとしきりさとしを弄りたおすと、ブラックは急にスマホを取り出して聞こえよがしに通話を始めた。
「──もしもし、アカネさん?今日のご予定はいかがですか?
……
なぜって、クリスマスですから。
……
ええ、もちろん。ではその場所で」
気取った仕草で会話を終えると、さっそくブラックは背中に翼を生やし、さとしの部屋の窓を開けた。冷たい空気が子ども部屋に入り込む。
「ちょ、ちょっとブラック、行っちゃうの?」
「約束がありますので」
そしてブラックは黒い翼を広げ、カメラちゃんを連れて窓から飛び立っていってしまった。さとしに意味ありげな視線と、こんな台詞を残して。
「チャンスは逃したら戻って来ませんよ。動画の撮影も、人間関係もね」
カーテンがひるがえり、冬の眩しい日差しが射しこむ。さとしにはブラックが消えた方角すら分からない。
「ちぇっ、なんだよ。俺だって
……
」
仕方なく室内を振り返ったさとしは、スマホを片手にまた思い悩みはじめるのだった。
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