無窓居室
2026-04-20 03:53:18
5419文字
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ブックサンタ2024

クリスマスイブの👦その両親と😈とあの人。👦の両親の描写はほぼ捏造です。
👦の父×👦の母はCP表記した方がいいんでしょうか…?



12月24日午後22時00分


 眠り込んださとしの枕元にプレゼントが置かれるのを見届けると、ブラックは窓の外からさとしの家の屋根の上へと登った。
 頭上では空飛ぶ橇に乗った壮年の男性が、白い縁取りのある赤い服に身を包み、空を横切っていくところだった。ブラックの姿を目に留めると、八頭だてのトナカイ達を止めて深くお辞儀をする。長く白い髭が橇の足元に着きそうになっていた。

「B様、お久しゅうございます。こんなところであなたにお会いできるとは」
「懐かしい名前ですね。今のオレちゃんは悪魔ブラックですよ、聖ニコラウスさん」
「それこそ懐かしい響きです。今はサンタクロースと呼ばれているのはご存知の通り。ほれ、こんなに腹も出てしまいまして」

 男性は大きな体をゆすって笑った。その体の何倍もある袋を橇の荷台に積んでいた。

「この家の子は大丈夫ですよ。あなたは親のない子、親がプレゼントを用意してあげられない子のもとへ行ってあげて下さい」
「かたじけない。毎年たくさんの人がわたしの仕事を手伝って下さるので助かります。しかし、まさか悪魔の王がサンタ業務の代行とは」

 男性の優しい目元が悪戯っぽく細くなる。ブラックも口角を上げた。

「あなたとは逆に、オレちゃんは今夜お休みしようと思うんです。好きなYouTuberさんが何人も長編動画を上げているので」
「ホッホッホ!」

 男性が特徴的な笑い声を上げた。夜の空気は一際澄みわたる。

「悪魔の行いを止めさせるのは、十字架でも聖水でもなく、動画の配信でしたか!」
「人がみな誰かの喜びのために働けば、悪魔のつけいる隙は無くなるものですよ。今夜はそういう晩です」
「では、配信のお時間に遅れませんようこの辺で……メリークリスマス!」
「メリークリスマス」

 悪魔には至極不似合いな挨拶を交わし、鈴の音と共に遠ざかっていく橇を見送ると、ブラックも魔界への扉を開いてその場を後にした。
 後には、どこまでも静かなクリスマスイブの夜空だけ。


  2024/12/25