せっかくだし全員喋るまで書こう、ってバカをやらかしたら追加で2卍ウェーイ✌️でした。原案絵や50問50答から若干性格が変わってる人がいますが、こっちが正しいということで。動くとイメージ変わりますね。
2時の方向、東北東へ
しばらく東北東の方角へ進む。特に街並みや雰囲気は変わらず、あまり気分の変化は楽しめない。外観こそ同じだが、建物の中はきっと違う、と4人で口々に話をした。
「とりあえずーあたし的には、ふかふかのベッドとまくら! まくら変わると寝れないんだよね
……あとユニットバスじゃなくて、広いお風呂と、トイレは別がいいなー!」
「オレは身体動かせるとこ欲しい」
「引きこもりたい」
私は蔭山に同意なのだが、少し考えて「やっぱり落ち着くから図書館とか」と答えた。
「綴りん、なんか図書館似合うし」
「図書館似合うって何?」
「あ、それわかるぜNEMIちゃん。綴りん図書館にいそう」
「図書館にいそうって何??」
「文学少女的なサムシングでは?」
「──せやなぁわかるわかる。知らんけど」
4人で話していたはずだが、男の声がひとつ多い。今喋った?と綾瀬と蔭山の顔を見ても、違う違うと首を横に振った。
「ところでツヅリンて誰?」
「ギャア!!?」
真後ろにいた声の主は、あっけらかんとした様子でカラカラと笑った。言葉のイントネーションはきっと関西のものだ。ヘアバンドで髪を上げており、目は細めたまま陽気な雰囲気。鮮やかな赤のつなぎは、なにか作業中だったことを思わせる、よく使い込まれた細かい汚れが所々にあった。
「ぎゃあて傷つくんやけど~~~おれオバケちゃうし」
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◆生体認証成功
国民ID:EME5171F_S27FP 難波 陽太郎 様
過去データベースに有害記録なし
健康状態スキャン 良好
心身ともに問題ありません
ラプラスの定義する「市民」に認定
「
……です!」
「いや省すな」
「西の高校生探偵です〜とか、怪しいけど味方になるタイプの糸目です〜とか諸々、ラプラス先に言うからおれの掴みネタ封殺やもん。アイデンティティーの喪失や、個性死んでまう」
メソメソオヨヨと嘘泣きの彼──難波は表情をコロコロ変えながら、まるで漫才のようなテンポで話をする。心做しか綾瀬が楽しそうな顔をしてる。先程もすぐツッコミを入れていたし、ノリやテンション感が近いのかもしれない。
「あたしはNEMI、超高校級のインフルエンサーね。こっちが綴りん、図書委員さん。あっちが綾瀬と蔭山、ラクロス部とブロガー。で、難波は何の超高校級なわけ? 超高校級の
胡散臭男?」
「超高校級のボケとか」
「漫才師、ピン芸人という線もありそうですな」
「(散々な言われようだ
……)」
ちょっとばかり嬉しそうな顔(なぜ?)をしつつ、オホン、と難波はわざとらしく喉を鳴らす。
「ピン芸人は半分正解かもなあ! おれは超高校級のライブペインター。まあ簡単に言うたら、お客さんの目の前で絵描くねんな」
ペンや絵の具、様々な画材を駆使し、その場で作品を完成させる過程を魅せるのがライブペインターだそうだ。彼はその過程で、地元仕込みの面白トークを武器にファンを獲得。今や全国を練り歩く若手注目のアーティスト、それが超高校級のライブペインター難波陽太郎である。
「あ、
TokTikで見たかも!」
「
Danstagramのリールで見たわそういえば。へーアンタが」
いろんな人目に触れる難波だが、ピンと来にくいのには理由がある。絵を描いている様子が動画になるので、その殆どか後頭部と絵で顔はあまり出ない。そういうことね、と一同納得であった。
「んできみらはなんの集まりなん? もう仲良しさんやん。NEMIちゃんあとでサインちょーだい」
「はいはい。ここにあたしら含んで16人いるって聞いて人集めてんの。合流したのは偶然。ねえ難波の他に誰か知らない?」
「おるで? おれだけ元気有り余ってウロウロしててん。連れてったるわ」
ほな、ということで少し先にいる他の人間の元へ案内してもらうことに。
「あいつらも超高校級やったなあ。起業家、農家、ミニチュア作家。家3軒並んでるやん~~~言うても誰も反応してくれんくて泣いとってん」
「でもほんとはそうじゃないじゃない?」
「え、なんでわかるん綴りん。関西の民? 関西電
気保安協会言うてみ」
「いや違うし言わないけど
……さっき
胡散臭男とかボケとか言われてちょっと嬉しそうにしてたから」
「え恥ず。そういうやつバレるんいっちゃん恥ずいんやけど!! 綴りんのえっち!!」
「(嬉しいというか美味しいと思ってるんだな
……)」
しばらく歩くと、人の気配が3つ。いずれも同じ「超高校級」の高校生らしいが、
「なんか増えてるのー。
陽太郎それ誰なのー?」
小柄で中学生くらいに見える女の子と、
「あら? そこにいるのって
……」
高校生には全く見えないプロポーションな女の人と、
「
…………」
背が高くて、前髪と分厚いメガネで顔が隠れた男の人。私達も中々の凸凹カルテットだったが、難波が合流していた4人もなかなかの凸凹に見える。
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国民ID:IFE5A323_S01TP 御畝 穂乃花 様
国民ID:EFB33E5C_S05TP 如月 美麗 様
国民ID:IMEAD7A4_S24FP 闇雲 創一 様
過去データベースに有害記録なし
健康状態スキャン 良好
心身ともに問題ありません
ラプラスの定義する「市民」に認定
「ちょっとちょっと! アナタやっぱNEMIちゃんでしょ! こんなとこで会えるなんて光栄。あ、アタシは
如月美麗、キサラギテクノCEO兼超高校級の起業家。お見知り置きを」
豊満なものがドインドインと揺れながら駆け寄ってきた美人でセクシーな人は
如月美麗と名乗った。懐から出てきた名刺にもそう書いてある。綾瀬と蔭山は鼻の下を伸ばしていたので肘で小突いておいた。
「有名人ですなあNEMI氏」
「まあね。オタク界隈ならアンタのが有名なんじゃない?」
「身バレしてないんで、吾輩=
徒然丸日記の中の人とはなりませんし、ここまではいかないと思いますよ」
「え、アンタ徒然丸日記の人なの!? 嘘ぉ!! 読んだことあるわ、もっと頭良さそうなイメージあったのに意外」
「あのーサラッとディスやめてもろて。とはいえ閲覧感謝ですぞ」
キサラギテクノと言えば、高いIT技術を誇る急成長中の企業で、特に地方の後継者不足問題にメスを入れたことで一躍有名になった。しかもその若社長は現役女子高生で、今最も忙しいJK、とも言われている人物だ。よく見ると綺麗なお化粧がしてあるし、腕時計もビジネスマンがしてそうなハイテクなもの。私とNEMIちゃんは制服だけど、如月さんはスーツだ。これがきっと俗に言う「オフィスカジュアル」というものなのかもしれない。あまりの逞しさに思わず
姐さんと呼びたくなるほどである。
「ほのか知らなーい。だれがだれ?」
「あたしがNEMI、インフルエンサー。こっちが綴りん、図書委員さん。あと綾瀬と蔭山」
「扱い雑くなってきた、オレが綾瀬駿、ラクロス部ね! 蔭山はブロガー」
「
対よろ」
ぽけー、とよく分かってなさそうな顔の小柄な彼女は暫くウンウン考えて、
「じゃあ、
NEMIと
綾瀬と
蔭山と
綴りんかなあ。おっけー覚えた! ほのかはねー農家さんやってるの」
と、早速あだ名を付けてニコニコと笑った。
御畝穂乃花といえば、有名レストランのシェフや腕利きの料理人がこぞって材料調達をしたがる農家の娘。仕入れ値はオークションのようにみるみる上がってしまい、幻のトマト、などと言われるそうだ。のんびりしているように見えて、作物の世話となれば時間厳守秒単位行動、花ひとつ、芽ひとつから丁寧に世話をする姿から超高校級の冠を頂くこととなったそうだ。以上、私がドキュメンタリー番組で見た知識である。
「ほのか的には、ここカビ臭くていやなの。風通しも悪いし、お水も流れてないし、なによりお日様がでてないとかむり。地獄よりひどいの」
「まあ地下らしいし仕方ないね。ところでアタシ幻のトマトって気になるわあ。どんな品種でどんなお世話をするの? ねえねえねえ気になるの、教えてちょうだいな。すっっっごいお金の匂いがするわあ」
「フツーのトマトさんなの〜」
「企業秘密ってコトね!!? 交渉のしがいがあるってもんじゃない燃えてきたわ
……!! 」
ビジネスチャンスを虎視眈々してる美女と、興味なさげで頭にお花畑が咲いてそうな女の子の後ろの方。建物の影に隠れて少しだけこちらを伺う最後のひとりに注目が集まって、そのまま隠れた。
「ねー! あとアンタだけなんだけど、こっち来なよ!」
「あー
闇雲な、全然喋らんねんなー。知ってる? ミニチュア作品。中の人らしいんやけどなんかイメージちゃうわ〜」
ミニチュア作品、ヤミクモ。私の中でピンと来た。確かにイメージとは違うが、きっと本人なのだろう。
「あ、知ってるかも
……。やみくも、ってあのヤミクモくん?」
「綴りん知ってるの?」
「うん、これ」
Dwitterで見かけて、気になってフォローしていたミニチュア作家のアカウントがある。日常に存在するあらゆるものをミニチュアに見立てて、ユニークな表現を写真に収める、正体不明のアカウント【ヤミクモくん】。作品を淡々とアップし、時折なんでもない事をポストする様子がなんだか面白くて、見かけたらイイネを押していた。
「え、これすご! これアンタが作ったの? こまか!」
「待ち受け画像使わせてもらってます
……まさかご本人に会えるなんて」
待ち受け画面用、個人使用なら🙆♀️
と添えてポストされた投稿は4万イイネを超えていた。待ち受け画像、壁紙シリーズの中で気に入ったものを複数枚保存させてもらってて、ランダムで画像が変わるよう設定している。ちなみに私のお気に入りは「フランスパン風新幹線」「ブロッコリー風ツリーハウス」「横倒しのショートケーキの上でスキーをするミニチュア人形」などなど。ちょっとクスッと笑えるような、独特で不思議な世界観が妙にツボに入った。今朝のランダム待受画面は「白米を雲に見立てた空の様子と小さい飛行機」だった。
「
……………………………………」
「なにあれ、ソワソワしてる怖」
「嬉しいけど褒められ慣れてなくてどうしたらいいか分からん感情を処理しきれずボックスステップ踏んでる感じやな、アレは」
「物陰でダンスする
闇雲ブキミなのー」
「陰キャ特有の香りがいたしますなあ」
「図体デカい割に案外小心者なのねえ」
「(みんな言いたい放題である)」
私の携帯の待ち受け画面を見て物陰を出たり入ったりする挙動不審の、かなり大柄の男ことヤミクモくん。だけれど、よくよく考えると気持ちは分からないでもない。自分の作品や何かを保存し待ち受け画面に設定している人が現れたとして、嬉しいか嬉しくないかで言うなら、おそらく前者。もし照れ屋さんなのだとしたら、こんな複数人の前で伝えるのはあまり良くなかったかもしれない。反省である。長い前髪と分厚い瓶底メガネで表情は汲み取れないが、気を悪くしたらいけないから次の機会にでもこっそり謝っておこう。
「あのね、今人集めてるとこ。あたしら入れて16人いるから、全員集めて考えよって感じ。詳しくは綴りんよろしく」
「あ、はい。ここを道なりに真っ直ぐ進んだらちょっと大きめの噴水広場があるから、そこを目印にできたらなって」
私がメモした簡易の丸い地図を覗き込んだ
如月さんは、ずいっと私の顔を覗き込んでにんまりと笑った。近い怖い。谷間がすんごい。同じ高校生とは思えないけど、いや普通で平均なのは私の方で如月さんのほうがおかしい。零れますよ胸、と思わず隠したくなるほどである。
「アナタ
……いいわね。欲しいわ。我が社に」
「へ?」
「こっわ、ヘッドハンティング初めて生で見たわ」
「
姐さんスゲー見境なしだ、なあNEMIちゃん、
綴りん取られてるよ」
「んじゃあお母さん兼秘書かな」
「さらに働かせる鬼畜で草」
スカウトをやんわりお断りしつつ、合流については合意を貰えたようである。そんなこんなで、難波、御畝さん、如月さん、闇雲くんには中央の噴水広場へ向かってもらうのであった。
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