望野おもち
14334文字
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DRAPLS/Prologue①

エイプリルフールですね。勢いで1卍ちょい。
材料ここから▶︎ https://privatter.me/page/6940f34bc9db9
エイプリルフールですからね。




 宛もなく道なりに歩いて少し経った頃。鉄板打ちっぱなしで無機質だった空間の終わりが見えた。閉塞感に息が詰まっていたせいか、2人して出口らしきところ目掛けて走り出していた。はやる気持ちを抑えきれず、鼓動もドクドクとうるさくなっていく。

「やばアレ外かも!?」
「行こう!」
「でもさ!? ここ地下ならさ、上に登ってた感じしなくない!?」
「だとしてもひらけた場所に違いないよ、ワンチャン電波繋がれば……!」
「それだ!!」

 今歩いてきた道は廊下、通路のようなもので、研究施設らしい様子は固く閉ざされた扉たちで確認できなかった。また、どのくらいの深さの地下に位置するのか不明だ。少なくとも足に傾斜のダメージは感じていないことから、地上にたどり着いたわけではないことは分かっていた。それでも、何かを期待せずにはいられない。

「な、にここ……!」

 眼下に広がるのはまるでひとつの都市のような建物の密集地帯。建物に明かりは灯っていないため人の気配は感じられないが、かつて人々の暮らしが営まれていたことは想像に容易い。私たちが歩いてきた通路は、都市を取り囲む高い壁の中にくり抜かれる形で繋がっていたようだ。下を見ると結構な高さがあって、長いハシゴが伸びている。

「高層ビル10~12階くらいって感じ? 研究施設と言うには随分と生活感あるぽいね」
「ラプラス、この街並み何?」

◆ここはUnderground地下 Megalopolis巨大都市
東部地下研究施設第8シェルターが所属する都市です。
過去、12のシェルターが稼働
避難民を受け入れておりました。
現在は閉鎖されています。

 私もNEMIちゃんも高いところは平気らしく、下を覗いては辺りを見渡して呆気にとられていた。絶望の残党、地下シェルター、そして地下巨大都市。あまりに非現実的な出来事ばかりで信じられない、というある種の逃避が心のどこかにあったのかもしれない。

「ここで人が暮らしてたの?」

◆はい。
綴目和歌子様の利用履歴
第125番避難シェルター に類似するものです。

 かつての絶望テレビ以降、破壊と混乱の渦の中、しぶとく生きようとした人類が作った避難施設のようなものが全国各地、地図に乗らない形で残されている。私が昔居たのは「第125番避難シェルター」という比較的大きな施設だった。山の中にひっそりと建っていたそれは、かつてキャンプ場として稼働していたらしい。ラプラス曰くこの「東部地下研究施設第8シェルター」及び「地下巨大都市」なるものも、同じ形態のものだそう。
  
「ふーん。……どうする、綴りん。戻っても多分出口はなさげだけど」
「え、私に聞く!?」
「綴りん真面目そうだしハンダン力?的なの高そうじゃん?」
「(ものすごい偏見だ……)」

 今来た道は、どこに行っても行き止まりだった。扉も固く閉ざされており、叫んでも外に声は届かなさそう。眼下に広がるのは、かつて人がいた痕跡のある謎の巨大都市。

……今、この下に人はいる?」

◆はい。
天音光希様、綴目和歌子様を含む16名を
当施設にて保護しております。

「え!! あたしら以外にも人いるの!? 途中会わなかったけど、もう下にいる的な?」
「行こう。このハシゴはかなり不安だけど……
「あー……これ途中で外れたりしないよね?」
「あここ錆びてる」
「やっぱ行くの嫌になってきた、ここで幸せに暮らそう綴りん!! もしくはなんかこう……頑張って壁壊そ!!」
「休憩しながらならなんとかなるよ。……多分」 
「踏み外すとかはさ、注意してゆっくり降りりゃいいじゃん!? でもさ、ハシゴぶっ壊れたとかもうシャレにならんよ!? どうしようもなくない!? そのまま棒倒しの上の人だよ!? 死じゃん!!」
「じゃあ耐久性的にひとりずつ降りる?」
「ヤダヤダヤダ先に行くのも怖いしひとりで残されるのも怖いって!!!!」

 散々ギャーギャー騒いで、もう観念してハシゴを降りることにした。私はリュックの紐を短くして背中への密着感を上げ、NEMIちゃんは上着を脱いで腰に巻いた。チラ見え対策、とのことである。

「あ、そうだ一応……
「どったの?」
「なにかあった時のために写真。電波はダメだけどカメラは使えるみたい」

 辿ってきた鉄板打ちっぱなしのシェルターと、眼下に広がる巨大都市を複数枚カメラに収めた。できたらしばらくは登りたくない。降りるより登る方がキツそうだ。

「じゃあ……行くよ」
「一蓮托生だかんね、綴りん」

 意を決した女2人。高層ビル10階相当の高所からハシゴを伝って降りてゆく。私が先で、NEMIちゃんが後からだ。先に降りる方が、上からの落下があった際のダメージの可能性がある。けれど、私の考えは少し違った。後から降りるNEMIちゃんは、私を踏んづけないように、下を確認しながら息を合わせる必要がある。もちろん私からも声はかけるが、先をゆく私はとにかく落ちないことに集中して踏みしめて降りるのみで、基本的に下を見る必要はない。体力があるのはNEMIちゃんの方だから、必然的にそうなった。