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ふみ
2026-02-23 16:15:27
6256文字
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プロット
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✈️👨✈️✕🎸👨🎤 別の話(思いついたのでメモ)
・前世の記憶なし(夢には出るかもしれないけど、あくまで現代AU)
・ノン20代後半くらい設定(25~27,8)
・殿下30代半ば前後くらい設定(33~36)
今はどちらも具体的な描写はないんですが、もし何かしら発生することになった時点で仔細記載します。
あと文まとめてないので粗いです
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その次に会ったのは、「何となく」足を運んでいた1ヶ月後のラウンジだった。
もちろん「何となく」は嘘だ。 人間は目的もなく同じ場所に何度も来ない。
男は先にファイノンを認めると、片手だけを上げて挨拶した。
「ファイノン」
名を呼ばれて、声のほうへふりむく。
「
…
機長」
思い出したように後付けされる、役割。
「あ
……
」
ここでやっと名前を呼ばれた事実が追いついてきて、ファイノンははっとする。
「どこで知ったの?」
少しだけ嬉しい。
「自己紹介していただろう。機内で」
淡々としている。
男がグラスを傾けながら言う。
「
…
声を覚えていた」
ファイノン、言葉に一瞬詰まる。
「
…
それ、良い声だったって褒めてる?」
「事実だ」
他愛のない話をした。
…
主にファイノンが。
これまでにあった面白かったこと、巡った国、おきたトラブル。
アジアの空港で迷子になった話。パリで荷物が消えた話。イタリアで死にかけた話。乗客同士の恋愛騒動。乱気流でワインを浴びた話。次から次に口をついて出た。
男は止めない。相槌は少ないけれど、静かに聞いている。視線をこちらにむけたまま、退屈そうにもならない。
ファイノンは途中で気づく。
——
あれ?止められていない。
今まで誰かと話すと、いつもどこかで話題を変えた。退屈しないように、笑いを用意した。
今日は、喋りすぎてしまった。
彼は、ただ聞いている。そして何も聞き返さない。煩わしいからもういい、と言われそうなものなのに、最後まで止められなかった。
話し終わったあと、空白が落ちる。
ファイノンはそこでやっと気づく。
僕は、この人のことを何も知らない。
ライブに行くと言った。
名前も、バンドも、調べていない。
自分から聞くこともしなかったのに。知っているわけがない。
なぜだ?
理由は単純だ。
調べたら、終わるからだ。
偶然の余白がなくなってしまう。
ファイノンは深入りしないことを選んでいた。本能的に、境界線を越えることを避けていた。
越えたら責任が発生するから。
「じゃあ、また」
別れ際の挨拶は軽い。
踏み出そうとして、足が止まる。また会うための約束が欲しかった。
けれど、何を話す?何て聞く?
ただ会いたいからアドレスを教えてと?
――
欲しいのか?
初めて、自分に問いが生まれる。
ファイノンはやめる。
聞かない。
生まれてはじめて、聞くことにためらいを感じてやめた。
その日の夜、同僚に誘われて会員制の小料理屋へ行った。
何人かの同僚と、自分を含めた男性と同じ人数の女の子たち。
いつも通りの流れ。美味しい食事。楽しい会話。相手が笑う。
でも、何も刺さらない。
頭に浮かぶのは、窓の外を見る横顔。
ブラックで、と頼む声。
——
「どうしたの?」
肩に触れられて、ファイノンは我に返る。
だが、理由を説明できなかった。
「ごめん」
何となく申し訳なくて謝った。
名前を呼ばれて嬉しかった。
話を最後まで聞かれた。
連絡先を聞けなかった。
パーティーが楽しくなかった。
はじめてが多い一日。
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