柚子茶
2026-02-14 22:41:04
4016文字
Public 私とリオルシリーズ
 

私とリオルとときどきいとこ 後

リノンのいとこがイッシュに来る回後編。
仲直りできるかな。


 おはようございます。リノンです。朝起きたら、知らないお部屋のベッドでぎゅうぎゅうになって寝てました。夜遅いからと牧場に泊めてくれたみたいです。シングルベッドに私とリオルとユキハミとエルフーンとワタシラガが一緒に寝てたので、かなりみちみちでした。
 外に出ると、大人の皆さんが先に起きていました。私だけ寝坊しちゃったみたい。誰かさんが「おそよう寝坊助」なんてからかってくるけれど、私にはそれよりも重要なことがあるのです!
「おはようございますお姉さん! ゼブライカと仲直り作戦は上手く行きましたか!?」
「あれ、無視?」
 そう、お姉さんとゼブライカ! 私はぐっすりだったのでお手伝い出来なかったけれども、仲直りできたのですか!? そもそもちゃんとゼブライカを呼べたんですか!?
「大丈夫、しっかり仲直りできたよ。本当にありがとう」
 お姉さんが視線を向ける先では、青いリボンを付けたゼブライカが赤いケープのチュリネを頭に乗せて、牧場のメリープたちと遊んで、遊んでるのかな? 囲まれてなんだかオロオロしてるような……。でもとにかく仲直りできてよかった!
「根本的なことは解決してないけどね」
 喜んだのもつかの間、リントくんが水をさしてきました。むむ、確かにまだ完全に解決ではないけれど、もうちょっと勝利の余韻に浸らせてほしいものです。
「その、一人暮らしをしようかと」
「キミまだ高校生なんでしょ。バイトだけで生活費賄えんの? お母さんが認めなかったら仕送りとかないでしょ。下手したら学費も」
「それは、えっと」
「それにあの体格だ。相当の運動量が必要になるよね。学校行ってバイトして、その上運動できる広さの場所に連れてくなんてできる? 現実的に考えて無理だよね。最初は良くてもいずれ破綻するよ」
 そうだけど、たしかにそうなんだけど言い方〜! 昨日から持ち越してしまった問題に頭を悩ませる私たち。そこに助け舟を出してくれたのは牧場のおばさんでした。
「それなら、うちで預かるってのはどうだい? ここなら広さも十分だから運動不足の心配はないでしょ?」
「でも、食費とか相応にかかるし」
「もちろんタダとは言わないさ。うーん、直接見てもらうのが早いかねえ」
 そう言って連れてこられたのはメリープたちの放牧地。たくさんのメリープが元気よく跳ね回っています。メリープたちのお世話をしていたおじさんが、こちらに気付いて一匹のメリープを抱っこして連れて来ました。……抱っこ?
「抱っこして大丈夫なんですか? 素手で触ってビリビリとか」
「それが大丈夫なんだよなあ。あいつがここに来てから」
「ゼブライカが? ……ああ、『ひらいしん』か」
 おじさんたち曰く、昨日たくさん『でんきショック』を使ったのに、メリープたちの毛はあまり電気を溜め込んでいなかったそうなのです。それで試しに今朝の放牧前にゼブライカの近くを通らせたところこの通り。素手で触っても大丈夫!
 メリープ毛は静電気を溜め込みやすいという性質上、出荷前に特殊な加工をしなければいけません。それには、結構な費用と手間と時間がかかるのだそうです。だから静電気を0とは言わずとも軽減できるゼブライカがいるのは、牧場にとってもメリットのあることなんだとか。
「本当にいいんですか? あたしたち、今回のことでもういっぱいお世話になってるのに」
「いいんだよ。若者はなんも心配しないで元気に過ごしてくれればさ! どうしても気になるってんならアレだ。これは先行投資ってことで」
「デザイナー目指してるんでしょ? 有名になったら、うちのメリープ毛をご贔屓にね!」
……ありがとうございます!」
 トントン拍子に色々決まってしまいましたが、ようやくこれにて一件落着!
 でも、なにか忘れてるような……
「あー! おばあちゃんに連絡してない!」
「やば」