柚子茶
2026-02-14 22:41:04
4016文字
Public 私とリオルシリーズ
 

私とリオルとときどきいとこ 後

リノンのいとこがイッシュに来る回後編。
仲直りできるかな。


「来た!」
「まだ隠れてなって」
 ゼブライカの姿を見た瞬間、興奮して頭を出しそうになる女の子を、ちからずくで押しとどめる。行動力があるとは思ってたけど、ただブレーキがぶっ壊れてるだけなんじゃないの? ものすごい勢いで駆けていこうとするあたり、あのゼブライカと似た者同士だったのか?

(ゼブライカが現れたらアロマセラピー、リントくんのワタシラガってアロマセラピー覚えてたよね? 覚えてなかったらあまいかおりでもいいよ。とにかくゼブライカの勢いをそいで欲しいの。あのままじゃきっと倒れるまで止まってくれないから)

 ワタシラガの心地良い香りが辺り一帯に広がる。トレーナーとしては平々凡々の域をでないけれど、変化技の扱いだけならかなり自信があるんだ。
 これは自慢だが、僕のワタシラガの『アロマセラピー』は、ガラル屈指の農村地帯であるターフタウンの農家さんにも一目置かれてるんだ。さあ嗅げ、深呼吸しろ、そのまま存分にリラックスだ。
「よし、足が止まった」
「たてがみも落ち着いてる。行ってきます」
 ここまでは上手くいっている。それでも、その作戦を告げた時のリノンの言葉が過ぎる。

(その後は、お姉さんの出番です。……言い出しっぺが言うのもなんですが、危ないかもしれません)

……本当にやるの?」

(でも、これはお姉さんにしかできないことだから)

「やります。あたしはあの子のパートナーですから」
 まったく、年下の子にそんな覚悟決めた顔で言われたらさ、見送るしかないじゃん。
「分かったよ。ちゃんと二人で戻ってきな」
 いざと言う時の準備はしとくけどさ。