なえつき
2023-09-16 22:37:12
9780文字
Public 『うちの上司は情緒がヤバい』
 

『一色ひかる誕生祭2023』

『うちの上司は情緒がヤバい』の2次創作小説です。会話テキスト中心です。


◯おまけ.【熱海温泉2日目:安定純、一色あかり】

純「……ふむ、なるほど。この味付けは……そういうことか……再現可能だな……

あかり「再現可能なの……? この懐石料理を……? どこまで行くんだ安定くんの料理スキルは……

あかり「この間作ってたケーキも、すっげーうまかったし……

純「珍しく姉さんがご所望されてたからな。半端なクオリティのものをお出しするわけにはいかん」

純「ああ、その節は味見係をありがとう一色君。おかげで会心の出来栄となった。姉さんも褒めてたよ」

あかり「そっか。それはよかったけど……俺は当分、甘いものは食べたくないかな……。一生分のケーキを食べ尽くした気分だから……

純「なあ、ところで一色君」

あかり「なんだよ安定くん」

純「今更だが、どうして僕たちは温泉旅行に出かけているんだ? しかも一色君と……二人きりで……

あかり「何度も説明したけど安定くん、それは俺の姉ちゃんがチケットを譲ってくれたからだよ」

純「不思議なこともあるものだな一色くん。どうして君の姉さんはチケットを手放したんだ?」

あかり「それはね安定くん、俺の姉ちゃんが体型維持に失敗したからだよ。どうも食べすぎたらしい。今頃ジムで汗を流しているだろうね」

純「きっとその食べた料理がよほど美味しかったんだろう。その料理人の顔が見てみたいな。いったいどこの料亭だろうか……

あかり「……その料理人さぁ、割と俺の近くにいる気がするよ」

純「――なに? 心当たりがあるのか一色君。君の近くというと……この旅館周辺か……あとでググってみよう」

あかり「ん゛ん゛ッ! あー、安定くん、そこの醤油、取ってくれないかな?」

純「む、これか。醤油はかけすぎるなよ一色君。刺し身本来の味が死んでしまうからな」

あかり「ありがとう。気をつけるよ安定くん。美味しい……美味しいけど、うん、やっぱり緊張するな……。この懐石料理、果たして俺たちが食べていいものなのかな……

純「……あえて今まで言及してなかったが、相当な高級旅館だよな、ここは」

あかり「わかってる……わかってるよ安定くん……! どう考えても企業の社長クラスがターゲットなんだよこの旅館!」

あかり「俺たちのような高校生が浮きすぎてるのはわかってるんだ……! わかってたから気づかないふりをしていたんだ安定くん!」

純「……それにしたってソワつきすぎじゃないか?」

あかり「それは仕方なくない⁉ さっき温泉出たときにすれ違ったお姉様方を見たよね! 明らかにクラスの女子からはしないファビュラスな香りが、したんだ……!」

純「うん。気持ちはわかるけどね、一色君。……君が女子にモテない理由をなんとなく察したよ」

あかり「ええっ⁉ 今の会話で⁉ なんでだ教えてよ! やっぱり顔か⁉ 顔なのか⁉」

純「顔が全てと思ってるうちは教えてあげても理解できないと思うよ、一色君」

純「それにしても……本当に、君のお姉さんはどうやってこの高級旅館のチケットを手に入れたんだろうな?」

あかり「それはね安定くん……まだ怖くて聞けてないんだ……。姉ちゃん、今度はいったい何をしでかしたんだろう……

純「……大変そうだな、一色君……

あかり「そういう安定くんはどうなのさ。確か姉ちゃんいるんだよな? 大変じゃないのか?」

純「ああ、大変だな。姉さんの魅力に抗えない悪い虫を駆除するのはね……

あかり「そっかぁ。犯罪行為にだけは手を出すなよ安定くん」

純「はははっ。温泉も料理も最高だね一色君。来てよかったよ」

あかり「安定くん? どうして今話を逸したんだ安定くん? 目の奥が暗くて俺は怖いよ安定くん……

純「近くで花火大会があるらしい。一緒に観ようか一色君」

あかり「……そうだね……安定くん……

 ◆ ◆ ◆

あかり「ところで安定くん、この旅館にはゲームセンターとか、卓球台とかないのかな?」

純「一色くん。この高級旅館にそんな場所があると本気で思ってるのかい?」

あかり「まあ、ないだろうね……

純「……枕投げでもするかい?」


(了)