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蜂宮
2026-01-26 12:07:58
7992文字
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教ルキの原稿尻叩き(🔞手前まで)
バレンタイン用の教ルキ。
直前まで魔トカゲは寝る時全裸なんじゃないかと悩んでいたけど、冬の寒さの中裸で布団にくるまってるのは流石に馬鹿なので服着てる。
1
2
3
吐く息が白い。手足の先がかじかみ、肺に吸い込む空気が内から体を冷やしていく。思考は緩やかに鈍くなり、何も手につかなくなる季節。
「
……
教授、」
私も昔からそうであったが、魔トカゲはその体の変化のせいかそれ以上に寒さに弱い。
通常の爬虫類と何ら変わらず冬になるとその動きと思考を鈍らせ、のろのろとベッドの上を占領して動かなくなる。
最初そんな姿を目にした時は冬眠でもするのだろうかと考えたりもしたのだが、魔トカゲにそういった機能は備わっていないらしい。
それが幸運なのかと問われれば、私としては首を傾げざるを得ないが。
「さむい
…
」
掠れた声に普段の覇気はない。熱を少しでも逃がさないようにと動物のように丸まり、その長い尾もくるりと丸めて纏められている。
その状態の魔トカゲが、夜になり試合が終わって戻ってきた私を寝床へ引きずり込もうと健気にも腕を伸ばしていた。
シャワーを浴びてきたばかりの私は普段よりも温かく、暖を取るのには最適なのだろう。
とは言え、このまま魔トカゲの求めに応じ続ければ私は冬の間ほんの少しすら研究を進めることができない。
一瞬、元々低体温気味の私よりも適任がこの荘園には数多くいるだろうという疑問が舌先まで出かかった。が、それは言い換えれば魔トカゲが他人に縋って他人をその腕に抱いて眠るという事に他ならない。
…
そんな事、何があったとしても絶対に認める訳にはいかないだろう。
「眠いのかい?」
「
…
ん」
仕方なしにベッドの中に潜り込んでやれば、待っていましたと言わんばかりの流れるような動作で彼の腕の中に閉じ込められてしまった。
魔トカゲは爬虫類に体質が限りなく似ている。その為、基本的に体温が私よりも低い。腕の中で私の体温に酔いしれている彼は鈍った思考で何も考えられていないのだろうが、全身をひんやりとした感覚に包まれるこちらはいつも身構えてしまう。
夏ならまだ良いのだが、変温動物に似ている魔トカゲは夏は試合で外に出るため体温が高めである。
…
なんともままならない事だ。
布団の中に包まっていた筈の魔トカゲの体温は私よりも幾分低かった。
そんな彼の顔が首筋に押し付けられ、すりすりと額を擦りつけてくる。
…
甘えている。そう感じるも、これはきっと無自覚だ。
魔トカゲとしては摩擦熱で少しばかり熱が上がる事の方が本命なのだろうが、人間の情緒としては恋人に甘えられていると誤認してしまうだけ。
それでも、冬の間は殆どを寝て過ごす彼と恋人らしい事が何もできない私にとっては刺激が強すぎる。
「
…
抱きたい。」
ふと漏れてしまった欲が、思っていたよりも低い声に乗って彼に届く。
全身で抱きついて私の体温を満喫していた魔トカゲの動きがピタリと止まり、数秒の熟考に映る。
「
…………
さむいから、いやだ。」
結局、返ってきたのは普段通りの素っ気ない答えだった。もう何十回と繰り返し、この返答を貰う度に私は仕方なしと諦めて目を閉じるのだ。
私が強硬手段に出ないと分かると、魔トカゲは改めて満足気に喉をグルル
…
と鳴らして長い尾を腰に巻き付けてくる。
煽るのは、大概にして欲しいものだ。
*
年が明けて、1ヶ月が経った頃。荘園に人が増えてきた事で今まではスルーされていた各季節毎のイベントが開催されるようになった。
クリスマスやら、ハロウィンやら。それから、バレンタイン。
最初渡す相手も居ないのだからといつものように試合の後魔トカゲの元へと帰ろうとしていた私は、サバイバーの一人に呼び止められていた。
「一緒に作ってくれるだけで良いからさ、頼まれてくれない
…
?」
「何故私が
…
他に適任者なら居るだろう?」
チョコレート作り。女性の数が増えてきた今、彼女たちは甘いものに目がないからと大量のチョコをナイチンゲールに発注したらしい。
それが、どうやら目測を誤ったそうでとてもじゃないが捌ききれない量のソレを目の当たりにして、少しでも男性陣にも消費してもらおうと言うのだ。
何をしにこの荘園に来たのだと呆れてしまう気持ちが殆どだが
……
ほんの少し。ほんの少しだけ、この時期は部屋に籠りきりで外にも出ない恋人の姿が脳裏を過ぎった。
何も彼に外に出ろと言っているのではない。
ただ、少しでも季節感のある事をしてやっても良いのではないか?という気持ちと、邪な感情がドロリと溢れてきた。
普段は私が我慢しているのだから、少しくらい私のワガママに付き合ってもらうのも悪くないかもしれない。
「
…
いや、そうだな
……
14日から数日、休日を貰えるのであれば構わない。」
「なぁんだ、そんなこと?良いよ良いよ!教授さんは面白い人だね、賞金が欲しくてこの荘園に来たんじゃないの?」
「
……
まァ、色々あるんだよ。ほら、ハンターの私なんてこの時期使い物にならないだろう?世話をしなくてはならない。」
「あっ
…
そっか。」
正直な話、この場所に来たのは新種の爬虫類について調べるためであって金なんてどうでも良いのだが、いちいち説明するのも億劫で曖昧な笑みを浮かべて頷いておいた。
そして早々に会話を切り上げるために魔トカゲの話題を出して忙しさをアピールしておく。実際は自室で彼の抱き枕をするだけなのだが、何でも正直に話せば良いというものではないだろう。
多少の嘘や事実を開示しないことは、人間社会で生きていく上でも重要だといけ好かない男が過去に教えてくれた。
あっさりとこちらの提案を飲んでくれたサバイバーは「それじゃあ当日食堂で」なんて言いながら他の人にも声をかけ始めた。
さて、どうやって魔トカゲに伝えたものか。そう考え始めた時、ふと魔が差してしまった。
「内容を告げずに距離をとったらどうなるのだろうか?」と。
多少は妬いたり怒ったりするのだろうか?そんな姿は想像できないが、もしかしたら何かしらのアクションはあるかもしれない。
具体的に言えば、多少のスキンシップであれば彼からの許可が降りる可能性がある。
「
…
案外、楽しいかもしれないな。」
留守にすると言ってもほんの数時間であるし、普段の試合の時間と相違ない。そんなに拗れることはないだろう。
面倒だとばかし思っていたバレンタインが、私はなんだか待ち遠しくなってしまった。
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