万丈
2026-01-25 21:41:55
5610文字
Public 小説
 

見守る会

【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
女官のみなさんが生暖かく双璧を見守るシリーズ。
調和神スーリヤ様もこっそり見守っています。

関連の話1→雨宿りと、触れたい衝動
関連の話2→その熱を知ってしまったから
関連の話3→光流治療と熱の在処

双璧の行方を見守る会

まだ天空界に破壊神シヴァの影が落ちる前のこと。
天空殿は、二つの若き光によって、希望に満ち溢れていた。

雷帝インドラ様と、幻帝ミトラ様。
その圧倒的な実力と、完璧な連携。そして何より、その神々しいまでの美貌は我々女官たちの心を鷲掴みにして離さなかった。

そして我々にはわかっていた。
あのお二人が、ただの「親友」ではないということに。

「ねえ、見た? 今朝の練兵場!」

昼下がりの洗濯場で、古株のリーラが興奮気味に切り出した。

「もちろんよ! インドラ様がミトラ様の髪に付いていた木の葉を、そっと取ってあげていたわ!」

若いニーナが頬を赤らめて答える。

「きゃあ! それだけじゃないのよ! その後、ミトラ様がインドラ様の汗を、ご自分の手巾で拭ってさしあげていたの!」

「まあ! なんてこと!」

洗濯の手もそっちのけで、我々の会話は一気にヒートアップする。
そう、あのお二人はいつだってそうなのだ。

訓練では火花を散らす好敵手でありながら、ひとたび二人きりになれば、その間に流れる空気は信じられないほど甘く、そして穏やかなものへと変わる。

「でも……!」

一人の女官がもどかしそうに呟いた。

……いつまで、あのままなのかしら」

そうなのだ。それが我々全員が抱える、唯一にして最大の問題だった。
あれほどまでに互いを想い合っているのが誰の目にも明らかなのに、あのお二人は決して最後の一線を越えようとはしない。

「まるで薄氷の上を歩いているようだわ。触れたくても触れられない、みたいな」

「わかる! この間なんて西の回廊で、インドラ様がミトラ様の手を握りかけたのよ! あと一寸というところで、後輩の神将が通りかかって……!」

「ああもう! じれったいわね!」

我々はまるで自分の恋路のようにやきもきしていた。
あの氷のようだったインドラ様が、ミトラ様の前でだけ見せるあの穏やかな笑顔。
いつも冷静沈着なミトラ様が、インドラ様を見つめる時の、あの熱っぽい眼差し。
もう、お互いの気持ちは分かりきっているはずなのに。

「インドラ様が朴念仁すぎるのがいけないのよ!」

「いえ、ミトラ様が奥手すぎるのが問題ですわ!」

「いっそ我々が、何かお節介を焼いてさしあげるべきでは!?」

議論はいつも平行線のまま。
だがその時、洗濯場の入り口の方から噂の的であるお二人が、談笑しながら歩いてくるのが見えた。
我々は慌てて口をつぐみ、何でもないふりをして洗濯を再開する。

……今日の夕餉は、お前の好きな木の実の菓子が出るそうだぞ」

「ほう。それは楽しみだ。ところで、お前はまた野菜を残すのではないだろうな」

……善処する」

そのあまりに穏やかで、夫婦のような会話。
そしてすれ違いざまに、インドラ様の指先がミトラ様のそれに、ほんの一瞬だけ触れたように見えた。

その瞬間、ミトラ様の耳が、かすかに赤く染まったのを、我々は見逃さなかった。

「「「(……頑張って……!)」」」

我々は心の中で熱いエールを送った。
どうかこのじれったくて、もどかしくて、そして誰よりも美しい二人の恋が、いつか実を結びますように。

天空殿の片隅で、女神様よりも熱心に二人の幸せを祈る我々女官たちの存在を、まだ誰も知らない。