いつも学校が遠いから行きたくないというヘンテコな理由で泣いていた僕の手を引いてくれたのは、僕の片割れで、幼馴染である乱太郎の役目だった。
物心がついた頃から家が隣で子どもが同い年でほぼ毎日のようにふたりで遊ばせていたということもあって家族間の仲も良く、いつも両親に双子みたいだねえ。とよく言われていた僕ら。
正直、物心がついた頃から乱太郎と一緒だったから双子だと言われてもおかしくないし、僕自身、自分の片割れだと思っている節はある。ずっと一緒にいたからか好きなことも嫌いなものもほぼ、一緒だった僕ら。
だけど、走ることがすきになったのは、乱太郎が走ることが好きだったからだ。あの日、僕が走ることを魅力的に感じ、走ることが好きになった日の事を今でも鮮明に覚えている。
小学校が家から遠いから歩きたくないと泣いてみっともなく玄関前でやだやだ!と自分が履いているズボンを握り締めて駄々をこねる僕に、乱太郎は僕の手を取ってこう言ったのだ。
「それなら、私と一緒に走って学校に行こうよ!」
走るのが早い私と三ちゃんなら風みたいに一瞬で学校に着くよ!と言われて僕の手を引いてくれた乱太郎。彼に手を引かれながら着いていくと、移り変わっていく景色が歩いている時より速く見えた。
歩くより走る方が速いからそれは当然なのだが、あの時の僕にとってはそれが魔法に見えて、それ以来走ることが好きになったのだ。乱太郎によって魔法にかけられたあの日から僕は、ずうっと僕の前を走るきみの姿を未だに追いかけている。
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