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万丈
2026-01-16 22:39:13
2743文字
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誕生日にまつわる話
【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
正月を捏造した勢いで、誕生日にまつわるお話。インドラ様は誕生日不明なので勝手に書いてます。
前の話→
新生祭の夜
次の話→
気まぐれな神と、雷帝の献立
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始まりの日
あの、ささやかな花冠の夜から数日後。
塔の中には、以前のような、穏やかな静寂が戻っていた。
シヴァ様は、相変わらず気まぐれだった。
しかし、あの夜以来、私に向ける、その赤い瞳に、ほんの少しだけ、柔らかな色が混じるようになったのを、私は感じ取っていた。
その夜も、私は、主君の寝室で書物を読みながら、その眠りを見守っていた。
ふと、眠っているはずのシヴァ様が、静かに、その瞼を持ち上げた。
「インドラ」
「はい。お目覚めに、なられましたか」
「
……
眠れぬ」
彼は、そう言うと、その身をゆっくりと起こした。
そして、唐突に、こう、尋ねてこられたのだ。
「そなたの誕生日は、いつなのだ」
意外な問いに、私は一瞬、言葉に詰まった。
「私の、ですか
……
?」
「うむ。そなたは、私の誕生日を祝ってくれた。ならば、私も、そなたのそれを、知っておかねばなるまい」
律儀で、そして、彼らしい理由に、私は、どう答えるべきか、一瞬、言葉に詰まった。
「申し訳ございません、シヴァ様」
私は、静かに、首を横に振った。
「私には、誕生日と呼べる日は、ないのです」
その言葉に、シヴァ様の赤い瞳が、わずかに見開かれる。
「
……
ほう?」
「私は、物心ついた時から、親の顔も知らず、カーンダヴァの長老たちの手で、育てられました。いつ生まれたのか、それを知る者は、もう、誰もおりません」
私は、事実として、淡々と告げた。
私にとって、誕生日は、ただ、暦の上を通り過ぎていく、他人事の日付でしかなかった。
それを聞いたシヴァ様は、しばらく、何も言わずに、ただ、じっと、私を見つめていた。
その赤い瞳には、憐れみでも、同情でもない、もっと別の、深い色が浮かんでいる。
やがて、彼は、おもむろに宣言した。
まるで、世界の理を決める王のように。
「
――
ならば、私が、与えてやろう」
「
……
え?」
「そなたの、誕生日だ」
彼は、そう言うと、私の手を取った。
そして、その、完璧なまでに美しい顔を、ぐっと、近づけてくる。
「良いか、インドラ」
彼の赤い瞳が、すぐ間近で、私を射抜いていた。
「そなたが、この塔に来て、初めて、私にその名を告げたあの日」
「
……
」
「今日からその日を、そなたの始まりの日とする。私が、そなたを見つけ出した記念すべき日だ。異論はあるか?」
胸が熱くなった。
誕生日など、無意味だと思っていた。
だが、この、孤独な王が、自らの手で与えてくれるというのなら。
それは、どんな宝物よりも、価値のある一日に思えた。
「
……
いいえ」
私は、震える声で答えた。
「ありがたき幸せにございます」
彼は、満足げに頷いた。
そして、その赤い唇の端に、微かな笑みを浮かべたのだ。
「そうか。ならば、よい」
彼は、それだけを言うと、再び寝台にその身を横たえた。
そして、今度こそ、穏やかな寝息を立て始める。
一人残された静寂の中、私は、自らの手のひらをじっと見つめた。
そこに残る、彼の微かな温もり。
それは、彼から与えられた、初めての贈り物のような気がした。
始まりの日。
それは、私が、この、孤独な王の、唯一の光となるべく、見出された日。
その、身に余るほどの幸福の意味を、私は、夜が明けるまで、一人、静かに噛み締めていた。
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