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煩悩
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カラキョウいろいろ
カラキョウSSのまとめ
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✎¦お喋りなキョウヤくんとカラスバさん
俺の口はよく回る。小さい頃からそうだった。母に「お喋りが上手ね」と言われ、友人に「どうしてそんなにおしゃべりなの?」と聞かれ、学校の先生に「君がいると部屋が賑やかになるよ」と言われ育ってきた。ジェスチャー、アイコンタクト
……
等々コミュニケーションを取る方法は色々あるが、俺は言葉にして伝えることが人より何倍も上手かった。それに加えてこのハイテンションだ。マシンガントークとも揶揄される俺のお喋りが周りの人々を疲弊させたことも、一度や二度ではない。
ところで“お喋りな人の心の内面は非常にナイーブだ”という説をご存知だろうか。その怯弱や小心を隠すように上から言葉を塗り重ねる、というのは有名な話だ。かく言う俺もかの説に当てはまる者の一人であり、自身の脆い内側を誰にも見られぬようピエロを演じて生きてきた。
お隣に住むお喋りで元気なキョウヤくん。一つ上の学年の、いつも明るい陽気なキョウヤくん。しかし実際は、その心の奥底では情欲、執着、嫉妬──数々の重苦しい感情たちが、日の目を見るその時を今か今かと待ち続けていたのだ。
***
「カラスバさん、今日話していたあの人は誰ですか?」
日が沈み、明かりが消えたサビ組事務所の執務室。雲の合間から覗く月の光が、窓の外から静かに部屋を照らしている。部屋の真ん中に置かれた大きなソファに腰掛けるカラスバさんの瞳を、俺は入り口に立ったままじっと見つめていた。
「キョウヤ、おいで」
カラスバさんが小さく手招きしているのが見える。歓迎か、困惑か、複雑な表情をしており、またカラスバさんに迷惑をかけてしまったと少しの罪悪感を覚えた。
「アイツは組のモンや、オマエが知らんでもええ」
「
………
そうですか」
「聞き分けが良すぎるんも問題やなあ」
「あなたが言ったんでしょう 聞き分けええ子が好きや、と」
「愛しとう子がオレの言いなりなんは
……
冷めてまう」
「
……
白々しい どんな俺であろうと貴方が捨てるなんて有り得ませんよ」
「どうやろなぁ?」
売り言葉に買い言葉。腹の底の探り合いを続ける俺達の間に、愛は存在するのだろうか。
少しの時間が経ち、手招ねいていたカラスバさんの手が動きを止めた。そして、細くしなやかなその指がゆっくりと彼の首を締めつけていく。
「おいで、でないとオレは」
死んでまう、そう聞こえた気がした。コツコツと足音を鳴らしながら急いでカラスバさんの元へ歩み寄る。雪のように白い頬を両手で包み込むと、カラスバさんは“してやったり”というカオで笑っていた。
「ええ子、昼の生意気なオマエとは大違いやな」
「誰のせいだとお思いですか?」
カラスバさんが言うように、昼と夜で俺は別の人格を纏う。二重人格というよりは、心の奥底に閉じ込めていた我儘で醜いもう一人の俺がチラリと顔を覗かせる、といった程度だが。
「カラスバさん
あなただけ、あなたがいれば
俺はそれでいいんです」
「他には何もいらないの」
向かい合わせになるようにカラスバさんの膝に乗り上げ、黄金に輝く彼の瞳をじっと見つめた。
「ほんまに気の強い子やね」
「俺が欲しいのは、貴方だけ」
暗い静かな部屋に響く、熱を含んだ俺の声。その声がカラスバさんの耳を一生蝕むことを願いながらそっと目を閉じる。
貴方に出会い、街を守る良い子の俺は死にました。貴方に狂わされ、無邪気でお喋りな俺はもう居ません。貴方が殺したのです。
「責任取ってくれますか?」
「
…
ええよ」
カラスバさんの大きな手が俺の頭をゆっくりと撫でた。
俺は今幸せです。ねぇ、カラスバさんは幸せ?
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