不破
2025-10-23 01:22:07
6071文字
Public 空戦
 

#26




 夜。貴族街との境目から見下ろしたパリの貧民街は不気味なほど静かだった。黒い雲が月を掻き消し、暗闇が支配した異世界のような街、アルコル隊と共にそれ望む。ベガ隊は別ルートでの突入となり、HADで位置が共有されている。闇の中で奈落のように口を開けている街衢を前に、指揮官を務めるロザリンドがエヴゲーニヤと連絡を取る。

「こちらアルコル1。ベガ1、そっちは問題ないかしら?」

『ああ、こっちはオーケー。これから第6区画を目指す』

 通信を介して返ってくるエヴゲーニヤの声に「了解」と返し、ロザリンドがこちらに視線を向けた。

「カノープス1。予定通り、私達は隊を3つに分けるわ。連携可能な範囲で距離を保ちながら第6区画を目指す。カノープスは私達本隊と同行を」

「了解。カノープス2……っ!?」

 と、ロザリンドの指示を受けて後方のフュゼを振り返った瞬間だった。自らの腹部に強烈な衝撃を感じ、ニオは遠退く意識の中で自分の身体が持ち上げられたのがわかった。