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保科
2025-09-27 02:08:30
3848文字
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スタレ
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うわさばなし
同じ大学でなんとなく仲のいいサフェル(記憶あり)とファイノン(記憶なし)という概念を前に作ったんですけどその2人がお気に入りだなという謎のSS ファイサフェってあるんですか?
11/10 なんか二人の話追記した
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向かいのソファーに腰掛け、沈痛な表情を浮かべるファイノンが口を開いたのは、2人分のケーキセットが運ばれてからだった。
「
……
今日、君をわざわざ呼び出したのは。
その
……
大学で、噂が流れてる件について、だけど」
「噂ぁ?」
改まって話すようなことか、と、すでに呆れ気味ではあったけれど、サフェルは思いつく限りの学内の噂を脳内で指折り数える。くだらないものからセンセーショナルなものまで様々あるけど。ファイノンがわざわざ、サフェルを呼び出してまで話すような内容
――
といえば
――
……
。
……
思わず眉間にしわを寄せた。
「
……
坊やさぁ、まさかとは思うけど
――
」
「いやだって、スルーし難いだろう!僕とサフェルさんが
……
その
……
付き合ってるだなんて!」
わ、と顔を真っ赤にして叫ぶのに、初心かよ、とサフェルは呆れ返った。
「女の子20人くらい侍らせてそうな顔してるくせに何いってんのあんた」
「事実無根だよそんな偏見!」
そう、いま、学内においてファイノンとサフェルが恋人同士である
――
ということは、なぜか周知の事柄であった。
当然、そんな事実はどこにもない。学内でやけにファイノンがサフェルと行動を共にしていることや、サフェルがファイノンには砕けた態度を見せるためらしく、まあ、心当たりがあるサフェルとしては口を濁す他ない
――
前世の記憶があってなんて口が裂けても言えるはずもなく。
なんなら、サフェルの彼氏クンだけどさ〜、と周りから話しかけられたのも、サフェルにとっては一度や二度じゃないわけで。
「この前、友人からその話をされて
……
驚いたんだ。まさかそんなふうに言われているとは
……
」
「
……
ふうん?」
だから、今更だな〜と思っていたが、逆に知らなかったのか、とサフェルは密かに驚く。そんな彼女に向け、改まった様子で膝に手を載せると、ファイノンは静かに頭を下げた。
「すまない、サフェルさん。謝罪させてくれ。きっと迷惑をかけているよな
……
」
――
姿勢が真面目すぎる。そんなに肩ひじ張らなくても、と思いながらも、彼のそういうところが『ずっと』サフェルは気に入っているのだから、指摘もしづらい。
「謝罪って
……
。別にあんたが謝ることじゃないでしょ」
「そうもいかない。僕の軽率な行いのせいだし
……
。
本当にごめん。すぐにでも噂の沈静化に取り掛かるよ」
「だからいいってば
……
」このまま目の前で沈痛な顔をされ続けても、流石に困る。沈静化といっても、彼が腫れ物扱いになったらそれも困る。
所詮ただの噂だと、どうすれば頑なな彼を説き伏せられるか、サフェルは呆れ半分で思考を巡らせて、
――
ちょっとしたイタズラ心。
「
……
ああ、そうそう。なんなら、本当に付き合ってるってことにしてくれたっていいし?そうすれば困ることもないでしょ」
ぎょっとした様子のファイノンが、慌てて首を振る。
「いやいやいや!だめだって!それこそサフェルさんに迷惑だろう!?」
――
強い拒否は酷くないかね。サフェルはその言葉にため息を一つこぼすと。ぴ、とフォークの切っ先を向ける。きらりと光る先端に、ファイノンは思わずたじろいた。
「不合格、断り文句としては10点。
……
いーい?あたしのためとかそーいうおためごかしは結構だから。
ちゃんと、『あんたの意見』を言いなよ。ファイノン」
「
―――
」
珍しくも名前を呼ばれたものだから、ファイノンは言葉に詰まった。その言葉の真摯さから、いつも煙に巻くばかりの彼女が、どうしたことが、今は真っすぐこちらを見ているのが分かって。
――
ぐ、と、喉がなる。
「
……
、僕は、そりゃあ、
……
嫌なワケがない。
君みたいに素敵な女性が、隣に立ってくれる、というのは、偽りだとしても嬉しいよ
……
」
視線を泳がせながら口にするファイノンを、サフェルは見定めるようにじっと眺めた後。にま、と口元を緩める。
「そ。
あんたがいいってんなら問題ないじゃん。言わせておけばさ」
「いや、だけど
……
良いのかなあ?」
「いーよ、少なくともあたしは別に気にしないしね。二人とも気にしないならほっとけばいい。人の噂も七十五日って言うでしょ。
ま、それでも気になるってんなら、そう
――
ここのケーキ代をあんたが持ってくれるなら、別に?」
ぱくり、ケーキを口にしては幸せそうにするサフェルの考えを読みきれず、ファイノンは困り顔で肩をすくめた。
「
……
それくらいは呼び出したし当然だけど
……
。
なあ、サフェルさん。
なんで、そんな
――
そんなに、僕に甘いんだい?君は」
くわえたフォークを揺らしながら。べつにぃ?とサフェルは嘯く。何せ、この心の本当の由来は、きっと死ぬまで明かせない。
「気の所為だよ、坊や。
――
それを言うならあたしとしても同じ疑問はつねづね持ってたんだけどね。
なんであたしなんかを構うのかな〜って」
「それは
……
だって、友達だろう。君と僕は」
当惑気味に瞬くファイノンを、ほら、とサフェルはここぞとばかりに指差した。
「なら、あたしも同じ理由。
友達なんでしょ、あたしとあんたは」
「
―――
そう、か」
そう言われてしまうと、口にした立場上、反論し辛い。ファイノンは頭をかくと、仕方なく「分かった」と首肯した。
「その、これからも、迷惑をかけるかもしれないけれど
……
宜しく、サフェルさん」
「ん。はいはい、よろしくね〜」
ケーキを追加でかじりながら。彼との奇妙な腐れ縁が、今暫くは続きそうだな、ということに
――
密かにサフェルは心躍らせる。
ね、あんたは首を振ったけどさ。案外冗談でもないんだよ?
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