いを
2025-09-24 21:12:45
3074文字
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タグまとめ27

刀神
浮き島の魔法使い
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。


 ソファの前に佇む。ボロボロになったソファなのだけれど、妙に愛着が湧いてしまって捨てるに捨てられない。
「菊司サン……何してるの?」
「このソファさあ、どう思う?」
 定之がきているというのにもっと気の利いたことばを出せればよかったのだが、出てきたのはとてつもなくどうでもよいことだった。
 劫罰狐の爪とぎの痕、コーヒーとエナドリを零したあと、工具をぶつけて凹んだ肘掛け。なかなかに名誉の負傷だ。ソファにとっては。
「俺は、見慣れてる……
「あはは。まあ、そうだよね。定之くんはじめてうちきたときからこのソファだもんね」
 思い出がある、と問われればあまりにもここにあることが自然すぎてうまく思いつかない。
 ソファをひとつくらい買えるくらいの貯金はあるけれど、さて、どうしようかと天井をなんとなく見上げる。
「けど脚が壊れてないし、まだ大丈夫かな」
「壊れたら、菊司サン、直せる?」
「直せるとも。泣く子も黙る峰柄衆だからね」
 胸を張ってみせる。そうだ、直せばいい。シミはどうにもならないけれど。せっかく一緒に過ごしてきたのだし、もうすこしがんばってもらうことにしよう。
……床、ちょっと広くなってる」
「定之くんくるから掃除してたんだ。もうちょい、いけそうな気がするんだよね。床の面積」
 ――と、本やら工具やらケーブルやらで埋まった床を指差した。