いを
2025-09-24 21:12:45
3074文字
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刀神
浮き島の魔法使い
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。


 空の島では華々しい店や華やかな店員がたくさんいるのに、イゾルデといえば少々襤褸――、いや、かなりの襤褸の店に間借りをしている、のっぴきならない事情もさほどなく、ただただそこで細々と占い屋を500年程続けている。
 占いを教えてほしいと数百年前にイゾルデをおとなった女性は、もはや立派な占い師である。それでも師匠としてはたまには心配をしてみたくなるものだ。
 路地裏にある彼女の店をのぞいてみると、今はお客がいないらしい。
「ライラ」
「!?」
 ぱっと顔を上げるそぶりをみせた。フードのむこうでは驚いた顔をしているのだろうと推測する。
「なんじゃ、師匠か」
 彼女はほんのすこし身を屈め、ちらりとこちらを見上げた。綺麗な紫色の宝石のような色が暗がりでもよく分かる。
 イゾルデもおなじように笑い、「見てもらおうと思ってね」と続けた。
「あれじゃな、抜き打ちというやつじゃ」
「そうだとも。それじゃ……なにについて占ってもらおうかな。今風にいうと……今日のラッキーカラー。いかがかな」
 手もとにはタロットや水晶玉がある。きっと彼女はていねいに使い込んでいるのだろう。
「今日は透明、と出ておる。何色、ではなく透明じゃ」
「透明か」
 先に自分で占うという意地の悪いことはしていない。占い師は自らを占わないのだ。視線を上げると、透明な雫が落ちてきた。
「雨か。幸先の良い一日になりそうだ。ライラ、ありがとう」
 雨は草木をうるおわせ、成長の糧となる。彼女に視線を戻すと、深く笑んだ。
「よい占い師になってくれて、わたしはうれしい」