万丈
2025-08-28 05:00:13
5063文字
Public 小説
 

天空の光、北の影

【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
インドラ様がシヴァ様にお仕えする前の話。
破壊神誕生により、インドラ様とミトラ様の状況が一変する話。
ミトラ様の出番が多いです。2人は仲良し設定。
次の話→雷帝インドラの半生


第三章:旅立ちの日

夜が明け、旅立ちの朝が来た。
インドラが身支度を整え、転送陣がある広間の扉を開けると、そこには数人の仲間が待っていた。

……インドラ、無理はするな。お前の代わりはいないのだからな」

上級神将であるアータバッカが、インドラの肩を静かに、しかし力強く叩いた。その実直な瞳には、優秀な後輩を過酷な運命に送り出すことへの、心痛と激励が宿っている。
インドラは、これが今生の別れになるやもしれぬと思いながら、深く頭を下げた。

……これまで、ありがとうございました。アータバッカ殿」

「いつでも、あなたの帰りを待っています」

調和神スーリヤは、インドラの手を優しく両手で包み込んだ。その母のような慈愛に満ちた言葉が、帰れないと自覚しているインドラの胸を締め付けた。それでも彼は、気丈に微笑んでみせた。

……スーリヤ様。御身、お健やかに」

ささやかな、しかし心のこもった見送りの言葉。その一つ一つが、インドラの心に温かい光を灯すと同時に、失うものの大きさを突きつけてくるようだった。

そして、仲間たちの輪から少し離れた場所で、ミトラが静かに待っていた。
前夜に全てを語り合った二人には、もう多くの言葉は不要だった。ただ、そこにいるだけで、互いの想いは痛いほどに伝わってくる。
インドラはミトラの前まで歩み寄る。
ミトラは、深い憂慮を隠せない紫の瞳で、インドラを見つめた。

「インドラ、ルドラの新しい王について情報が少なすぎる。決して油断するなよ」

それは智将としての冷静な分析であり、友としての心からの忠告だった。
インドラは、そんなミトラの不安を拭うように、精一杯の笑みを浮かべてみせた。

「お前らしいな、ミトラ」

そして、皆に聞こえるように、雷帝としての威厳を保った。

「心配するな。私はルドラの民を守り、王にお仕えするだけだ。シヴァ様がどんな方でも私の使命は変わらない」

二人は、言葉にならない想いを込めて、互いの視線を交わした。

やがて、インドラは仲間たちに背を向けた。
北の辺境、カーンダヴァへと続く、長く、孤独な道へと一人、歩みを進める。
もう、振り返らない。振り返れば、決意が鈍ってしまうから。
彼の後ろ姿が、転移陣に消えていく。見送りの者が帰ったあとも、ミトラはその場を動かなかった。その胸には、友の背負った過酷な宿命と、拭いきれない冷たい予感が、鉛のように重くのしかかっていた。

旅立つインドラの心には、仲間との思い出と、ミトラとの約束が、唯一の光として灯っていた。
その純粋な光を胸に、彼は故郷と民を守るという「雷帝」としての使命を果たすべく、前だけを見据える。

その光が、やがてシヴァという名の、底知れぬ深い闇と対峙することになるとは、まだ知らずに。
こうして、天空殿の光であった若き雷帝の物語は、一つの終わりを告げた。そして、北の僻地カーンダヴァで、破壊神の影としての、新たな苦悩の物語が始まろうとしていた。