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万丈
2025-08-28 05:00:13
5063文字
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小説
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天空の光、北の影
【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
インドラ様がシヴァ様にお仕えする前の話。
破壊神誕生により、インドラ様とミトラ様の状況が一変する話。
ミトラ様の出番が多いです。2人は仲良し設定。
次の話→
雷帝インドラの半生
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第二章:揺れる心と旅立ちの前夜
祈りの間からの帰り道、インドラは自分がどうやって歩いているのか、ほとんど覚えていなかった。
ただ、ミトラに強く握られた手の温もりだけが、現実との唯一の繋がりだった。光に満ちた天空殿の回廊も、仲間たちの朗らかな声も、すべてがひどく遠い世界の出来事のように感じられる。
頭の中で、スーリヤの言葉が何度も繰り返される。
――
貴方にしか果たせぬ使命なのです。
それは勅命であり、宣告だった。この光の世界からの、永久追放の。
自室に戻り、ミトラが手を離した瞬間、インドラの身体から力が抜けた。彼は壁に背を預け、ずるずるとその場に座り込む。
「
……
インドラ」
ミトラが心配そうに名を呼ぶが、インドラは答えることができなかった。
窓の外には、夕暮れに染まる壮麗な雲海が広がっている。
幼い頃から、ここで生きていくことだけを目指してきた。故郷の記憶はとうに霞み、この天空殿こそが彼の世界のすべてだった。ミトラと共に十二羅帝として立ち、この美しい世界を守ると誓った。その未来が、たった今、音を立てて崩れ去ったのだ。
やがて、インドラは立ち上がると、無言で旅の支度を始めた。その動きは機械的で、感情が抜け落ちているかのようだった。
ミトラは、そんな彼の背中をただ静かに見つめていた。無理に励ましの言葉をかけることも、問い詰めることもしない。ただ、インドラの心の整理がつくまで、静かに寄り添っていた。
一通りの支度を終え、インドラがぽつりと呟いた。
「
……
お前と共に、十二羅帝としてこの天空界を守ると誓ったのに
……
」
その声は、ひどくか細く、震えていた。
彼はゆっくりとミトラの方を振り返る。その灰色の瞳は、今までミトラが見たこともないほどに揺れていた。
「怖いんだ、ミトラ」
それは、候補生時代から支え合ってきた唯一の友の前でだけ見せる、十五歳の少年の偽らざる本音だった。
「何もかもを失うのが
……
もう二度とここへは帰れずに、お前と離れ、一人になるのが
……
怖い」
その告白を聞いた瞬間、ミトラはインドラの身体を力強く抱きしめていた。
「お前は一人ではない。たとえカーンダヴァに行こうと、私がお前の友であることに変わりはない。そして、ここがお前の帰る場所だということを、決して忘れるな」
ミトラの腕の中で、インドラの肩が小さく震えた。
彼はミトラの肩に顔を埋めるようにして、声を殺して嗚咽する。これまで誰にも見せたことのなかった、熱い涙が頬を伝った。ミトラはその背中を、ただ優しく、あやすようにさすり続ける。
どれほどの時間が経ったのか。
ようやく顔を上げたインドラは、潤んだ瞳でミトラを見つめ、囁いた。
「
……
ミトラ。私はもう、ここへは帰れないだろう。だから
……
頼みがある」
「なんだ」
「機会があれば
……
いや、必ず、私に会いに来て欲しい。お前だけが、私の
……
」
そこから先の言葉は、声にならなかった。
ミトラは力強く頷いた。
「
……
ああ、約束だ、インドラ。必ず会いに行く。どこにいても、お前を探し出す」
その瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。
ミトラの覚悟に、インドラは涙を堪え、自らの宿命を受け入れる決意を静かに固める。
友を、これ以上自分の運命に巻き込むわけにはいかない。
「
……
ありがとう、ミトラ。
……
私は、行くよ」
二人は夜が更けるまで、残り少ない時間を惜しむように、ただ静かに寄り添い続けた。
それは、二人が天空殿で過ごす、最後の夜だった。
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