Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ムクロジカ
Public
Skeb
【Skeb】納品物
『ソープスクール』 現行未通過×
Skeb感謝 HO2さんのSS
1
2
3
4
漢字で海の月と書く幻想的な生物、クラゲ。そう呼ばれる種別の海洋生物を集めた区画は、仄暗い青色のみで照らされていた。丸い室内の中心には、テラリウムのような球体の水槽が鎮座している。ゆらゆらと泳ぐクラゲたちは、揺れ踊るようにも見えた。
こういったものに興味の薄いアユムも、何となく『これは美しいもの』と認識する程には計算された美術展だ。フィルアーもまた、アユムと同じ場所を眺めている。
ふと、フィルアーは思い出した。クラゲの一種には、不死と呼ばれる存在があったらしいこと。専門家でないため詳細までは知らないが、確か一定の成長後に赤子へ回帰するらしい。なるほど確かにそれは不死と語って違いない。
不老不死、永遠の命。そんなものに魅力は感じないが、手段の一つとして興味がある。死すらも自分たちを分かつには浅い。忘れない、忘れられないアユムという愛の傷。
「(死ぬ、か)」
人間である以上、自分も彼もいつかは死ぬ。それに怯えるほどフィルアーは臆病ではないし、かと言って軽視するほど愚かでもない。だからこそ彼女は今、アユムの死を考えて恐怖した。クラゲのように回帰することなく、自分を置いて逝く可能性に震えた。
「どうした?」
深く沈んでいた思考が、アユムの声で引き上げられる。安心させるように手を握られ、自分の視線を相手に絡ませた。表情には出ていないが、彼の声色には確かに心配が滲んでいる。
「
……
いや、幸せだなって思っただけだよ」
誤魔化しで出た言葉だが、これはフィルアーの本心だ。遠すぎる未来に息を呑むなんて自分らしくなかったなと、彼女は小さく笑みをこぼす。じっとフィルアーを見つめたアユムは、繋いだ手を更に強く握り話す。
「これから先も逐一そう考えてたら疲れるぜ」
きょとんと、彼女は目を丸くする。アユムは酷く真剣な顔だったが、すぐに笑ってフィルアーの頬を撫でた。未だ理解の追いつかない様子の恋人に、海底のような空間でキスをする。
「オレはもう、ずっと、ダーリンを離さねぇからな」
額を合わせながら、彼は彼女に誓った。神も悪魔も信じてなどいない彼が、自分だけを永遠にすると告解した。アユムの愛に疑念はないが、その一言で離別への恐怖が霧散していく。嗚呼全く、彼はどれほどフィルアーという存在を喜ばせれば気が済むのだろうか!
「ありがと、改めて安心した」
頬に添えられた片手を、フィルアーは両手で包み込む。涼しい室内で少し冷えた手、それでも命を証明する温度が使わってきた。そうとも、何を恐れることがあるだろうか。自分たちの愛は、森羅万象の何にも引き裂かせはしない。文字通り此れは永久不滅、不老不死の赤い糸なのだから。
【光彩陸離に赤い糸】
1
2
3
4
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内