【Skeb】納品物

『ソープスクール』 現行未通過×
Skeb感謝 HO2さんのSS

 夏休みとは、学生にとって一種の無敵時間チートタイムなのだろう。授業が無い分、遊戯に身を任せる者。普段より伸びた時間で、部活に打ち込む者。より一層の勉学に集中する者。実に様々な過ごし方がある。

 だがそれは、生徒目線での話。教師には該当しない。子供たちがどう過ごすか胸を躍らせる間にも、教師たちは様々な準備をしておかなければならない。とは言え、だ。教師が夏休みに外出するというのは不可能な話でもない。


 そんな夏休みが始まったばかりの頃、都内の水族館。教師であるフィルアーはその入口に居た。黒一色のジャンプスーツで身を包み、日陰のベンチで涼みながら、彼女は待ち人を探す。


「よぉ、待たせたかダーリン?」


 フィルアーの背後から声をかけたのは、白シャツをラフに着こなす男。彼は両手にそれぞれ冷えた飲み物を持っており、その片方を彼女に差し出した。


「そんなに待ってないよ、ハニー」


 飲み物を受け取り、フィルアーは彼を……アユムをそう呼ぶ。満足気に、ほんの僅かに安心したように笑ったアユムは、一旦フィルアーの傍に腰を下ろす。水族館の開館まで、まだ少し時間があるためだ。


「水族館、か。何年ぶりかも分かんねぇや」

「オレも。一人で行くほど水族館に興味ないし」

「ならデートは別の場所にするか?」

「まさか。アユムとだから来たかったんだよ」


 水族館のパンフレットを広げ、意地悪くフィルアーは笑う。イタズラっ子が大人を困らせた時の表情で身を寄せ合い、二人は小さなパンフレットを共に眺める。開園の鈴が鳴るまで話し、笑い合っていた。