【Skeb】納品物

『ソープスクール』 現行未通過×
Skeb感謝 HO2さんのSS




 この水族館はそれなりの規模を誇っているらしく、メディアで見かけることもあった。夏休みが始まったばかりであることも起因して、館内はそれなりの人で溢れている。だが逆に夏休み序盤であることが幸いし、人混みはまだマシな密度である。
 冷房の効いた室内は、蒸し暑い外界から身体と心を守ってくれた。眩く熱い陽光も届かず、非常に心地良い涼しさだ。


 二人で手を繋ぎ歩いていれば、最初のスポットに差し当たる。まず人々を迎えたのは、海底に居るような錯覚を与えてくる水槽トンネルだった。小さめの魚たちが鱗を輝かせて舞い、自分たちがその中心にいる感覚。あまり水族館に興味の無かったフィルアーでも、軽く感心するほどの美しさがあった。


「おお…… 結構悪くないな」


 天井の魚を見上げながら頷いた彼女を、アユムは愛おしげに眺める。水槽には一瞥しかくれてやらず、彼は腕を絡ませる彼女に釘付けであった。

 共にいるという幸福に喜ぶフィルアーと、そんな彼女を隣りに置いて満たされるアユム。一見ズレているように見える彼彼女らは、それでも指を絡ませることを辞めない。


「次に行こうぜ!」


 水槽からアユムへと視線を移したフィルアーは、ようやく彼の瞳に宿る色を見た。自分に惹かれていることを隠さない愛の色に、彼女は耳を赤くする。彼の眼差しに歓喜しながら、同時に激しく動揺してしまう。その一挙一動すらアユムは笑顔で受け入れ、フィルアーの手を強く握る。鮮やかな魚たちが、それを祝福するように踊っていた。