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万丈
2025-07-10 12:24:53
9027文字
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小説
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千年の果てに
【AI生成】【二次創作】【天空戦記シュラト】
インドラ様とヴィシュヌ様、1000年の紆余曲折の話。
シュラト小説版のキャラクター、アータバッカさん登場。
前の話→
雷帝の贖罪
次の話→
月光の誓い
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第五章:千年の果てに
千年に一度の記念祭。その夜、天空殿は無数の灯籠に照らされ、地上の星々のように煌めいていた。平和を讃える民の歌声と楽の音が、雲海を越えて響き渡る。
大元帥明王アータバッカは、祝典の喧騒から少し離れた回廊で、遠く玉座に座すヴィシュヌの姿を眺めていた。その隣には、影のように寄り添うインドラの姿がある。
(千年、か
……
)
アータバッカの脳裏に、様々な光景が浮かび上がる。心を失った悪魔のようだった男が、少しずつ人間らしい表情を取り戻していった日々。
慈愛に満ちた女神が、一人の男に恋をし、その瞳に切ないほどの熱を宿らせていった日々。
長きにわたる時の流れが、確かに二人を変えた。アータバッカは、その変化を見守り続けてきた。
祭りが最高潮に達した頃、アータバッカは、そっとその場を離れるインドラの姿を認めた。彼は喧騒を好まない。それは千年前から変わらない彼の性分だった。アータバッカは、その後を追うように歩を進めた。
月光だけが差し込む静かなバルコニーで、インドラは一人、欄干に寄りかかり夜空を見上げていた。その背中に、アータバッカは静かに声をかけた。
「インドラ様」
インドラは驚くことなく、ゆっくりと振り返った。
「アータバッカ殿。貴方も、喧騒はお好きではないようですな」
「年寄りには、ちと賑やかすぎるのでな」
アータバッカはインドラの隣に立ち、同じように夜空を見上げた。千年の時を経て、二人の間に流れる空気は、かつての緊張感を失い、穏やかなものへと変わっていた。
「見事な祭りですな。これもひとえに、貴方とヴィシュヌ様のお力添えあってこそ」
「
……
私は、ただ役目を果たしたまでです」
またその言葉か、とアータバッカは内心で苦笑した。この男の不器用さは、千年の時を経ても健在らしい。アータバッカは、覚悟を決めた。これが、最後の問いになるだろう。
「インドラ様。以前、わしは貴方に問うた。ヴィシュヌ様を幸せにするのか、哀しみの道に引きずり込むのか、と」
インドラは何も答えず、ただ静かにアータバッカの言葉を待っている。
「その答えを、今、聞かせてはくださらんか。貴方は、あの方を幸せにする覚悟が、おありかな」
それは、千年の時を隔てた、最後の問いだった。インドラは、アータバッカの目を真っ直ぐに見返した。その灰色の瞳には、もはや千年前のような虚無の色はない。そこには、深い覚悟と、静かな愛情の光が宿っていた。
「
……
幸せにする、などと、大それたことは申せません」
彼は、ゆっくりと、しかし確かな口調で言った。
「ですが、ただ、お側に在りたいと。この命ある限り、あの方をお守りし、支え、その笑顔を見ていたいと
……
そう、願うだけです」
その答えに、アータバッカは千年の時の重みを感じた。それは、かつての「役目」という空虚な言葉ではなかった。一人の男が、愛する女性へ捧げる、偽りのない誓いの言葉だった。老将は、満足げに、そしてどこか寂しげに、深く頷いた。
「
……
そうか。ならば良い」
アータバッカは、インドラの肩を力強く叩いた。
「どうか、このまま幸せであってくだされ。そして、あの方を、お頼み申しましたぞ」
それは、上級神将としてではなく、ただの老爺としての、心からの願いだった。
祭りが終わり、静寂が戻った翌日の昼下がり。アータバッカは、庭園で寄り添いながら歩くヴィシュヌとインドラの姿を、偶然見かけた。
ヴィシュヌの表情は、これ以上ないほどの幸福に満ち溢れ、インドラの横顔もまた、アータバッカが千年間、一度も見たことのないほど穏やかな光に包まれていた。
その二人の様子から、昨夜、何があったのかを、アータバッカは静かに悟った。
(
……
本当に、良かった)
老将は、誰にも聞こえない声でそう呟くと、二人の邪魔をせぬよう、静かにその場を後にした。胸に広がるのは、孫娘の幸せを喜ぶ安堵感と、同時に、一抹の不安。
この幸せが、どうか永遠に続きますように。シヴァ復活の予言という暗い影が、いつかこの二人を飲み込んでしまわぬように。アータバッカは、ただ天に祈るしかなかった。千年の果てに結ばれた二人の愛が、未来永劫続くことを、心から願いながら。
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